GE Smart Mail vol.132


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 一般X線撮影装置 お客様の声
 胸部エネルギーサブトラクションを活用しよう








 北里大学病院放射線部
 関 将志 様
 はじめに

1971年に開院した北里大学病院は、2014年5月に建物を一新し、新たに開院しました。
当院では、2002年より他社製のCR撮影装置にてOne Shot法によるエネルギーサブトラクションの使用を開始し、以来、現在に至るまで約900件/月の胸部X線正面像におけるエネルギーサブトラクションを実施しています。
新病院開院に伴い一般撮影装置もCR(Computed Radiography)撮影装置からフラットパネルディテクタ搭載装置(Discovery XR656)へと移行し、エネルギーサブトラクションもOne Shot法からTwo Shot法に移行しました。

 胸部エネルギーサブトラクションの有用性

肺がんによる罹患率・死亡率は年々増加しており、早期発見・治療において胸部単純X線写真は大きな役割を果たしています。また、低侵襲かつ簡便であり情報量も多いことからスクリーニング検査として最も適していると考えます。一方で、肺野結節影は65.7%の病変で肺野の骨陰影に重複しているともいわれており、小さな肺野結節影は見落とされやすくなります。その原因は、骨・縦隔・.血管などの重なりが読影を難しくしているからです。

そこで医師の読影を補助する画像処理としてDiscovery XR656に搭載されているデュアルエナジーサブトラクション(以下DES)が活躍します。DESとは、骨と軟部組織のX線吸収差を利用し、単純X線写真に加えて骨組織像と軟部組織像を生成する手法です。今回われわれが経験した胸部DESの臨床的有用例をご紹介します。

 1. 骨に重なる肺野病変の描出に優れていたケース・・・40代女性

子宮頸癌に対し化学放射線療法を施行し、外来にて経過観察中。経過観察目的でCTを施行したところ、左肺舌区に結節を認めました(図1c)。通常の胸部X線正面像(図1a)では、結節の指摘は困難ですが、軟部組織画像(図1b,c)では、明らかな結節を認めます。その後気管支鏡検査にて肺生検され子宮頸癌の肺転移と診断され、胸腔鏡下部分切除されました。




図1:骨に重なる肺野病変の描出に優れていたケース(40代女性、子宮頸癌経過観察中)
a:通常画像。 左肺舌区の結節の指摘は困難。
b:軟部組織画像 左肺舌区に明らかな結節を認める。
c:軟部組織画像 拡大 左肺舌区に明らかな結節を認める。
d:CT 横断像 結節サイズ10mm 60HU

 2. 骨病変の描出に優れていたケース・・・80代女性

左S6の肺腺癌に対し化学放射線療法を施行し、外来にて経過観察中。経過観察目的で胸部単純撮影を実施したところ、右肋骨に2か所結節を認めました(図2a)。通常の胸部X線正面像(図2a)では、肋骨に重なる結節が2か所描出されています。軟部組織画像(図2b)では、明らかな結節は認めません。骨組織画像(図2c)では、第5,8肋骨に結節様陰影を認めます。骨シンチグラフィ(図2d)では、第5,8肋骨に集積を認め、骨転移と診断されました。




図2:骨病変の描出に優れていたケース(80代女性、肺腺癌経過観察中)
a:通常画像。 第5,8肋骨に重なる結節を認める。
b:軟部組織画像 明らかな結節は認めない。
c:骨組織画像像 第5,8肋骨に結節様の陰影を認める。
d:骨シンチグラフィ像 第5,8肋骨に集積を認める。

 おわりに

Discovery XR656を導入して、臨床的に有用であった2例を紹介しました。呼吸器内科医師からのお話では、骨に重なる肺野病変の描出、骨病変との鑑別にはDESが大変活躍しているとのことでした。
また当院では、外来経過観察で使用しているため、肺癌だけでなく、肺結核等の炎症性病変にもDESは活用されています。

最後まで読んでいただきDESに関心を持っていただけた方、ぜひDESを活用してみてください。 今後もDESの有用性を検証していき、肺野病変の早期診断、治療に役立てるように日々努力していきたいと思っています。

 

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