DaTQUANTの解析方法を、解析ROI、計算式、解析過程、データベースと比較可能な点をアプリケーションAと比較しながら説明する。
・解析ROIおよび計算式の違い
解析ROIのうち線条体ROIの設定として、アプリケーションAは線条体だけでなく線条体の周りを含めて広めの設定となる。一方、DaTQUANTはアプリケーションAと異なり、線条体の中を尾状核部、被殻の前部と後部の三か所に分かれた設定となる。したがって線条体全体の定量値だけでなく、尾状核部や被殻部も算出可能となり、その各値が算出可能な点が重要となる。またバックグランドROIの設定として、アプリケーションAは線条体ROIの箇所を除いた脳全体を、DaTQUANTは後頭葉をバックグランドとして解析が行われる。(図.1)
|
図.1 解析ROIの違い |
計算式については、アプリケーションAは特異的結合濃度と非特異的結合濃度を除して算出する。つまり線条体とバックグラインドの濃度比を見ている。一方DaTQUANTは線条体の各ROI内の平均カウントからバックグランドを減算、バックグランドで除して算出している。こちらは単純なカウント比を見ている。(図.2)
|
図.2 計算式の違い |
・解析過程の違い
解析はSPECT撮像した投影データに対して、まず画像再構成を行う。その際矢状断、冠状断、横断の三軸全てを用いて、頭部の傾きを補正した横断像を作成する。アプリケーションAは、その後ROIの設定、VOIの位置設定、頭部輪郭設定等を全て手動にて行う。一方DaTQUANTは、投影データに対して頭部の傾きを補正した横断像を作成するところまではアプリケーションAと同じであるが、(図.3)
|
図.3 解析過程の違い |
その後のROI設定等の解析は全て自動で行う。よって自動解析であるため再現性に優れている。実際には頭部の傾き補正した横断像のデータを用いて、30秒~40秒程度で自動的に解析が完了する。(図.4)(図.5)
|
図.4 DaTQUANTの解析過程 |
|
図.5 DatQUANTの解析結果 |
DaTQUANT内での処理は、ROI設定された標準脳を有しており、撮像した患者データをその標準脳に合わせ込むことでROI設定を自動的に行う。また標準脳に合わせ込む際に頭部の傾きの補正も同時に行う。そのため、たとえ画像再構成の際に頭部の傾きを補正していなくてもある程度適切な解析が行われる。
・データベースと比較可能
DaTQUANTの特長にデータベースと比較可能な点がある。それは尾状核部、被殻の前部、後部の三箇所に分かれたROIに合わせて、正常データベースをもとに集積差の標準偏差をスケール化しカラー表示する(図.6)。よって青色になればなるほど正常との集積差が小さい、つまり集積低下はわずかである。一方、赤くなればなるほど正常との集積差が大きい、つまり集積低下を示している。これらカラー表示することでデータベースとの集積差が視覚的に分かりやすい。ただ注意点はデータベースと比較するためSPECTの収集条件や画像再構成条件をデータベースのそれと同様にする点である。
|
図.6 DaTQUANT データベースとの比較 |
DaTQUANTの特長は三点あり、解析ROIが尾状核部、被殻の前後部と分かれている点、標準脳を用いた自動解析が可能な点、データベースと比較が可能な点となる。
|