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 核医学検査装置カスタマーボイス
 PET/CT Discovery IQxの使用経験

名古屋放射線診断クリニック 画像技術課 小島 明洋 様

 【はじめに】

名古屋放射線診断クリニックは画像診断専門の医療機関として2001年に開設され、当初にPET、2004年にPET/CTを導入し、現在までに43,000件以上の検査を行ってきました。PET/CTは当院が日本で一番早く導入し、より臨床診断に有用な画像提供、読影診断を心がけてまいりました。2008年には、愛知県がんセンター中央病院の敷地内に第二施設として新たに東名古屋画像診断クリニックを開設するなど、名古屋市を中心とした地域医療に貢献すべく、努力を重ねております。

当院ではFDG-PET検査に加えて、O-15ガス脳血流検査を実施し、頚動脈狭窄の術前後評価などを行っております。さらに近年は、N-13アンモニアによる心筋血流検査を開始し、これまでに750件以上を実施しております。

導入前はDiscovery LSの一台で3種類の検査をこなしておりましたが、検査スケジュールが過密になったため、主にFDG-PET検査用として新機種導入を検討しておりました。そこで、後述の特長からDiscovery IQを導入することになりました。

 【幅広な検出器】

図1 1ベッドでの撮像範囲
(図はアンモニア検査)
当院が導入した装置は検出器が5リングタイプで、体軸方向視野が26cmと非常に広く、平均的な身長の患者であれば、頭頂~骨盤部までが5ベッドの撮像で収まります。FDG-PET検査は待機時間90分、1ベッドあたり2.5分(投与量:3.0MBq/kg)で検査をしているので、通常の検査であれば15分程度で終了します。また肝臓であれば1ベッドで十分に収まり、肺もほぼ収めることができます(図1)。高分解能な画像を得るためや、Delay像を撮像するときには、幅広な検出器の恩恵を実感します。

 【Q.Clear】

Q.Clear はBlock Sequential Regularized Expectation Maximizationを用い、逐次近似の繰り返し演算を収束するまで行う画像再構成です。空間分解能補正も組み込んであることや、イメージングフィルタを使わないところも大きな特長です。小さな結節状集積はより明瞭に描出され、SUVは小結節のみならず、腫瘤状の集積でも高値となる傾向があります(図2)。Q.Clearは繰り返し演算を数多く行うため、VUE Pointに比べて画像再構成に多少時間がかかりますが、検査終了後、次の検査を開始する頃には終了していますので、臨床使用でストレスにはなりません。当院では検査中の画像確認のために、VUE Point HD-Sも同時処理することで、スムーズに業務を進めることができております。

図2 再構成の違いよるSUVの変化(数字はSUVmax)

 【Q.Static】

呼吸同期はMotion Matchを利用したQ.Freezeも搭載されていますが、最も利用しているのはQ.Staticです。Q.Staticは全身撮像中の任意のFrameで呼吸同期撮像を組み込むことができ(図3)、その方法は非常に簡便です。呼吸同期のための追加CT撮影が必要なく、全身撮像の一環で呼吸同期撮像ができるのは、臨床の場において呼吸同期撮像を行うハードルを大きく下げることにつながります(図4)。

図3 Q.Stataicの収集タイミング


図4 Q.Static使用例

 【Daily QA】

Discovery IQの線源は環体ファントムと言う円筒の表面に線源が配置されており、中は中空になっています。そのため、片手で持てるほどの重さとなっています。また、表示付認証機器のため事前の届出が必要なく、毎日の使用記録も必要がありません。毎朝のDaily QAは数分で終了するため、特に複数台のPET/CT装置を有する施設では、非常に作業軽減に寄与します。

 【まとめ】

Discovery IQでは感度が良く検出器幅が広い特長を生かし、低投与量、短時間撮像が期待できます。当院でも従来機よりも投与量を4分の3に、検査時間も4分の3以上短くなりました。CTにおいても逐次近似法を応用した画像再構成法 ASiRを搭載しており、補正用CTによる被ばく線量の減少につながり(実測値: 3.43mSv)、患者様により優しい検査を提供することが可能となりました。今後も検討を重ね、さらなる検査の質の向上に努めていきたいと思います。

薬事情報

※お客様の使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

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