日常診療でたまたま撮影された胸部単純X線写真にて、肺腫瘤が見つかってびっくりすることがあります。このような腫瘤は肺野の真ん中にあると比較的見つけやすいですが、肺尖部にあると肋骨や鎖骨に重なり見つけにくいこともあります。また、腫瘤の大きさも小さくなればなるほど気づきにくくなります。胸部単純X線写真で、小さな腫瘤の良悪性を鑑別することは難しいです。しかし、まずはその存在に気づかなければ次の検査に進むことができません。大きくなってから見つけるのでは、手遅れになってしまうこともあるのです。
今回は、Standard画像とSoft Tissue画像にて肺腫瘤の見え方の違いを紹介したいと思います。
Case 1
Standard画像を提示します。
どこに腫瘤があるかわかりますか。
どんな小さな、わかりにくい病変でも、一度気づけば見逃すことはありません。しかし、その病変を気づくまでが大変なのです。

Soft Tissue画像を提示します。
Standard画像では肋骨や鎖骨などで濃度が高くなっている肺尖部や、肋骨が重なっている肺野に病変があるかどうかわかりにくいのですが、Soft Tissue画像では骨が除かれることで確認しやすくなっています。また、Soft Tissue画像では軟部組織のコントラストがつくことで、腫瘤性病変がより明瞭に描出されるようになります。

両側の肺尖部を比較してみましょう。
右肺尖部に小さな腫瘤性病変があることがわかります。再度Standard画像を見ると、確かに腫瘤性病変が写っています。

CTの冠状断像を提示します。
10mmにも満たない腫瘤を肺尖部に確認することができます。形態から肺がんが疑われ、呼吸器内科にて精査が行われました。
Case 2
Standard画像を提示します。
右横隔膜の挙上が見られ、肋骨横隔膜角(costophrenic angle, 以下CP angle)の鈍化が見られます。これらの画像所見は、陳旧性の右胸膜炎を疑わせるものです。

Soft Tissue画像を見てみましょう。
CP angleの頭側、胸膜に接する腫瘤性病変が出現しました。

右下肺野の腫瘤のみならず、両側肺野に多発する腫瘤性病変も認められます。この小さな病変をStandard画像で見つけるのは、至難の業です。


胸部単純X線写真にて、右肺がんと多発肺転移が疑われ、ただちにCTが行われました。
CTでは、右胸膜に接する肺がんと5mm以下の多発肺転移が診断されています。


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