GE Smart Mail vol.138


Voice and Image
 一般X線撮影装置 お客様の声
 Discovery XR656搭載アプリケーション
 胸部Dual Energy Subtraction画像の臨床症例紹介
zu   東京都保健医療公社
大久保病院
放射線科 服部 貴行 先生
doctor

 【はじめに】

一般エックス線撮影装置 Discovery XR656に搭載されているアドバンストアプリケーションの一つにデュアルエネルギーサブトラクションがあります。デュアルエネルギーサブトラクションでは2種類の異なる管電圧で2枚の画像を撮影し,これらの画像を差し引きすることで,通常のエックス線写真(以下,Standard画像とします)に加え,骨を除いた軟部組織画像(以下,Soft Tissue画像とします)と骨強調画像(以下,Bone画像とします)を作成することができます。
前回に引き続いて,デュアルエネルギーサブトラクションで撮影された胸部単純エックス線写真について、東京都保険医療公社大久保病院放射線科医師の服部貴行先生に症例を紹介していただき、画像の特徴や読影のポイントを解りやすく解説していただきます。

 

 【見逃したくない気胸】

胸痛を主訴に来られた患者に対して,胸部単純X線写真はよく行われる画像検査のひとつです。胸痛の原因は,肺・胸膜病変,肋骨病変,心大動脈病変と多岐にわたります。臨床所見など加味して診断を絞っていくのですが,気胸の確定診断は胸部単純写真で行うことができます。
典型的な気胸の胸部単純X線写真の診断は簡単です。しかし,少量の気胸や術後癒着がある場合は診断に難渋し,CTにて診断されることもあります。気胸が進行すると肺機能や心機能が低下し,チアノーゼや血圧低下など危険な状態になる場合もあるので,そうなる前に診断を行わなければなりません。
今回は,Soft Tissue画像で気胸がどのように見えるのか紹介したいと思います。

Case 3
左胸痛の症例です。
Standard画像を提示します。
通常の画像診断方法に従って,肺炎像はないか?胸水はたまっていないか?心大血管病変は指摘できないか?と胸痛の原因なる画像所見を探していくのですが,Standard画像ではよくわかりません。

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Soft Tissue画像の左肺尖部拡大像を提示します。
気胸の所見が明瞭に描出されています。

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Standard画像を見直しても,気胸のラインを見つけるのは一苦労です。Soft Tissue画像では,気胸と肺実質のコントラストがつき,気胸と診断することがより簡便となります。

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Case 4
心臓ペースメーカーを留置した,翌日の胸部単純X線写真です。
Standard画像を提示します。
ペースメーカーのリードの断裂は認められず,リード先端位置も適切です。気胸や胸水もないと診断されそうになりました。

pic4

ところが,Soft Tissue画像を確認したところ,左気胸を確認することができます。

pic5

Standard画像を拡大して確認しても,診断できません。Soft Tissue画像では,肋骨の辺縁が無くなることで気胸のラインをより観察しやすくなります。

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薬事情報

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