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 核医学検査装置 お客様の声
 骨SPECT定量解析法

島根大学医学部附属病院 放射線部
山本 泰司 先生

 骨SPECT定量法の概要

SPECT画像は患者によってバラつきが極めて大きいカウント値を有しているため、定量評価には不向きだと言えます。そこで、SPECT値からキャリブレーションし放射線濃度Bq/mlの画素値に変換できれば、PET同様に投与量と体重で正規化した半定量的指標のSUVの算出が可能になります。
このキャリブレーションの方法は各社毎に特色があります。

日本メジフィジックス社の提供するGI-BONEでのSUVは、円柱型の発泡スチロールを中心に既知放射線濃度のシリンジを置き、SPECT撮像します。そのSPECT値とDoseキャリブレータ実測値との換算値からSPECT値をBq/mlに変換するソフトです。
一方、Q.MetrixでのSUVとは、CT吸収補正、分解能補正など各補正を加味した再構成条件を使い、SPECT画像からの値を最大限に収集して、算出します。
また、xSPECT QuantでのSUVは、CT画像を使って512×512で画像再構成し、コバルトを使ってキャリブレーションを行います。このように各社でキャリブレーションの方法に特徴があります。(図1)

図1
図1

 

 エビデンス構築に向けて(最適な画像性のために)

骨SPECT定量法におけるエビデンス構築のために、特に重要なことは最適な骨SPECT画像を作成することです。そのためには、安定した定量値を算出しなければならないため、各装置別、各解析法で、画像再構成法、再構成フィルター、キャリブレーション、分解能補正などを検討する必要があります。
そこでQ.Metrixを使用し、次のような検討を行いました。再構成条件は図2に示します。

図2
図2

フィルターを使うと周波数を変えるだけで値が変わってしまいますので、フィルターは変動因子と考え使っていません。IRは2もしくは3です。図3に各種条件によるSUV変動を示しますが、注目していただきたいところは、右下のプロジェクションカウントの影響で、プロジェクションカウントを下げてもSUVには影響を与えないということがわかります。

図3
図3

図4に逐次回数によるSUVの変動を示します。骨の場合、Iterationが多くなるとギブスアーチファクトが大きくなりますので、多くしない方が良いようです。そのため、2から3で検証しています。

図4
図4

最後に分解能補正の有無による結果を図5に示します。22~28mm球では10%前後の誤差で収まっていますので、骨では分解能補正を使用した方が良い結果が得られました。

図5
図5

 

 Q.Metrixの特徴

Q.Metrixの特徴をまとめます。
まず、SUV算出方法は次の3つが代表的なものです。PETでも代表的なSUV算出法ですが、同様に求めることが可能です。

  1. SUVbw(SUV Body Weight)
    薬剤が全身に均一に分布すると仮定し体重を用いて正規化した半定量的指標。
  2. SUVlbm(SUV Lean Body Mass)
    FDG-PET(治療効果判定等)で提唱された半定量的指標。
    FDGは脂肪に集積しないので除脂肪を用いて正規化した指標。
  3. SUVbsa(SUV Body Surface Area)
    SUV体表面積。

Q.Metrixの最大の特徴は、

  1. すべての核種に対してSUV測定が可能。
  2. User FriendlyなVOI設定機能

です。各社の提供するソフトは、今のところ骨SPECTでの対応に限定していますが、Q.Metrixはどの検査にも適用できる点は優れていると思います。例えば、肺や肝臓など臓器のセグメント毎にSUVを算出するなど、臓器のバイアビリティを客観的に評価できるので、治療方針を決定する上で有用なツールだと考えます。

 

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