GE Smart Mail vol.142


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 核医学検査装置 お客様の声
 SUV定量ソフトQ.Metrixの基礎的検討

独立行政法人地域医療機能推進機構 徳山中央病院
吉永 憲正 先生

SPECT/CTにおける定量性を考える際に、重要なことは「減弱補正」「散乱補正」「部分容積効果」をしっかりと考慮することです。
SPECT/CTにおける放射能度(MBq/ml)算出は、OSEMをもとにCT減弱補正、散乱補正、分解能補正、システム感度を考慮して算出します。特に、Q.Metrixの優れている点はシステム感度にPlanar Sensitivityを用いていることです。
従来のCCF法では、SPECTを回してそのカウントと放射能濃度との比較を出しますが、再構成の条件やフィルターを変えればコリメーターなどの数値は変化してしまいます。しかし、Q.Metrixでは条件やフィルターを変えても一定になります。

 

 Q.MetrixのSUV精度の検証

今回、SPECT/CTを用いて、CTを利用した減弱補正・散乱補正・分解能補正を行い放射能濃度(MBq/ml)からSUVに変換するQ.Metrixの精度について検討した結果を紹介します。

各補正の組み合わせとして、

【1】 CT減弱補正(AC) のみ
【2】 CT減弱補正(AC) +散乱補正(SC)
【3】 CT減弱補正(AC) +散乱補正(SC)
    +分解能補正(RR)

を検討しました。またそれぞれにおいて空気、水、99mTc水溶液を用意し、SUVの変化を検討しました。
具体的な方法は、99mTc水溶液 HOT:Background=50:1、回転半球は24cm、収集マトリクスサイズ128×128、収集角度6°/step 360°収集、収集時間10s/step。使用機器はOptima NM/CT640。この条件で逐次近似再構成(OSEM)においてSubset:10に固定し、Iteration:1~5にて変化させました。

 

◆結果【1】CT減弱補正のみ
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画像はあまり差が認められません。
SUVと球体径の関係性を示すグラフでは右肩上がりになっています。

 

◆結果【2】CT減弱補正+散乱補正
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結果【1】とほぼ変わりませんが、グラフはY軸方向に少しシフトしています。

 

◆結果【3】CT減弱補正+散乱補正+分解能補正
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分解能補正を入れると明らかに逐次回数(IR)を上げたときの変化が確認できました。37mm球でIR:2とIR:3での違いが明瞭であり、Max値が上がることが予想されます。
グラフは右肩上がりではなく、22mm球付近でプラトーに達しました。今回は4cm以下の球体が対象です。よって脳血流や肝臓とは結果が異なるかもしれません。

 

また、IR:4の時の【1】~【3】を比較したグラフは下記の通りです。

pic7

CT減弱補正+散乱補正+分解能補正の値(緑)から、約30mm以下の小さいものを見つけるためには分解能補正は必須と言えるでしょう。

 

次に球体の周辺を散乱体別(空気、水、99mTc水溶液)によるSUVの違いを、IR:4回時のグラフです。

pic8

結論として、IR回数を増やすことによって小さいHot球はSUVが上昇します。また、AC+SC+RRを組み込むことでSUV=1.0に近づき、定量精度が上がります。しかし、37mm球ではギプス効果を伴うためにSUVの低下がみられました。
IR回数を増やすと小さいHot球のSUVが上昇するが、ギプス効果も強くなることが確認されました。
また、散乱体が異なる場合には、Tc水溶液では小さい集積がBGの影響によって散乱線成分を引きSUVが低下したと考えられます。

 

 臨床呈示

透析患者の骨シンチの取り込み量は、ほぼ倍になるという経験則がありましたが、Q.Metrixで検証して見たところその通りになりました。

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心筋では壁厚の差異や拍動が、IMPでは肺のクリアランスが課題になります。この観点から、Q.Metrixでは、物理評価の定量性を求めるではなく、代謝が論点になると思います。

pic10

Q.Metrixの課題は、部分容積効果と薬物動態を考慮していくことにあると思いますが、今後はさらに、臓器摂取率や臓器被ばく線量の定量化に期待しています。

 

薬事情報

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