GE Smart Mail vol.142


Voice and Image
 MR お客様の声
 SIGNATM Explorer Newgrade
みやぎ県南中核病院 放射線部
佐藤 一志 様
pic1

みやぎ県南中核病院様(宮城県)は、2015年9月にこれまで13年ご使用頂いていたSigna Horizon LX 1.5Tシリーズからマグネット以外の全てのコンポーネントを入れ替えSIGNA Explorerにグレードアップ*する、SIGNA Explorer Newgradeを国内第一号機として導入頂きました。
その新しくなった外観、装置性能についての使用経験をお伺いしました。

 

 当院について

みやぎ県南中核病院は2002年8月に開院し、2013年には救命救急センター、腫瘍センターを開設、主に宮城県仙南二次医療圏での救急医療とがん診療に力を入れています。
開院当初は1.5T MRI装置2台でのスタートでしたが、脳卒中センターの開設、近隣地域医療機関からの検査依頼等、MRI検査の需要が年々増加したため、2013年7月には3台目のMRI装置を導入しました。病床数は310床ですが、救命救急センターや脳卒中センターを開設しているため休日・夜間を含め救急患者のMRI検査依頼も多く、24時間対応しています。
当院に導入されている3台のMRI装置はいずれもGE社製MRI装置で、1.5T装置2台、3.0T装置1台の構成です。

  • Signa Horizon LX 1.5T(2002年7月より)
  • Signa Excite HD 1.5T(2006年10月より)
  • Signa HDxt 3.0T Optima Edition(2013年7月より)

今回、13年間使用したSigna Horizon LX 1.5T(以下「Horizon LX」という。)をSIGNA Explorerへとグレードアップ*しました。今回の装置更新に至った経緯は、装置導入後10年以上の月日が経っていたこと、循環器科から心臓MRI検査を行いたいという強い要望もあり、工事期間や経済性を考慮してSIGNA Explorer Newgradeへグレードアップ*という選択をしました。
SIGNA Explorerは、2015年1月に発売されたばかりで、SIGNA Explorer Newgradeとしては当院が国内一号機の導入先となりましたので、グレードアップ*後の運用への効果や初期使用経験等を報告します。

病院外観
みやぎ県南中核病院様 外観
 

 

 使用してみての感想

Horizon LXと比較すると、コンソールやインターフェイス等一新していますが、先に導入したSigna HDxt 3.0T Optima Edition(以下「HDxt 3.0T」という。)とほぼ同様の操作性でスムーズに取り組み始めることが出来ました。また、HDxt 3.0Tで不便さを感じていた部分も改善されており扱い易さを実感しています。
画質の面でも、送受信Coilの性能が格段に上がっており、前装置より高画質であることは言うまでもなく、今まで以上の画質を保持した上で撮像時間が一検査あたり5~10分程度短縮しました。
また、実際使用して最も変化を感じた事はハードウェアです。IDEALやCOSMIC等一部の3Dシーケンスでは多少時間を要する場合もありますが、画像処理がとても速く、3Dシーケンスを多用しても2~3秒あれば全画像の表示が可能で、画像確認や画像処理等すぐに行うことが出来てとても助かっています。

Fig.1 グレードアップ前との比較
 

 

 運用上の効果

当院では、神経内科や脳神経外科からASL(Arterial Spin Labeling)やPlaque Imagingの依頼が多く、今まではHDxt 3.0Tでのみ撮像可能でしたが、今回のグレードアップ*により静磁場強度の違いで画質に若干の違いはあるものの、2台の装置で撮像可能となりました。 また、腹部骨盤部の検査に関しても、グレードアップ*以前はSNRや検査時間の関係からSigna Excite HDやHDxt 3.0Tで行っていましたが、グレードアップ*後は3台の装置全てで検査を行えるようになりました。 特殊検査の撮像が可能になったこと、検査時間が短縮したこと等から検査を効率良く進められるようになり、装置更新前と比較して1日あたりの検査件数は5件程度増加しています。装置更新後は、当日検査希望の依頼もほぼ全て実施出来るようになり検査予約待ち日数も短縮しました。

ここからは、稼働後約4か月間使用した中で、特に有用と感じられた下記の4つアプリケーションに関して紹介致します。

  • FOCUS DWI
  • PROPELLER 3.0
  • 心臓MRI
  • Navigator

 

 FUCUS DWI
 局所励起技術による高分解能撮像法。

撮像対象の任意の部分だけを励起し、撮像領域とすることが出来るため、折り返しアーチファクトが発生しにくく、歪みも低減することが出来ます。しかしながら、胸髄など撮像部位によっては、画像の端に若干の折り返しアーチファクトが発生してしまうケースもあり、さらなる改善を期待しています。
設定にもよりますが、FOCUS DWIは撮像枚数15枚程度で撮像時間は約3分位かかります。ある程度の撮像時間はかかりますが、今まで脊髄など不均一磁化率のために歪んでしまい診断に有用な画像の提供が難しかった部位に関しても、FOCUS DWIの導入により歪みの少ない良質な画像の提供が可能となりました。
それに加えて、空間分解能も高く、高画質である為、微小な病変の検出能も上がり、医師より好評価を頂いています。
歪みが少ないというのが最大の魅力であり、関心領域の不均一磁化率のため、アーチファクトで高信号になっているのか、それとも異常所見なのかを判別するのにも有用であると思います。

Fig.2   Fig3
     

 

 PROPELLER 3.0
 全身領域に対応した体動補正技術。

未だ撮像していない部位もありますが、特に体幹部におけるPROPELLERは非常に素晴らしいと感じています。例えば、肝臓内における血管拍動によるモーションアーチファクトや、腹壁、腸管からのアーチファクトの対策として効果絶大でありました。呼吸同期による撮像を行うため撮像時間は従来法と変わりませんが特に延長はなく、画質の改善が非常に大きいので多用しています。

Fig,4
 

 

 心臓MRI

今回のグレードアップ*を選択した理由の一つでもある心臓MRI検査に関してですが、当院では12ch Body Array Coilを使用して撮像しています。心臓専用Coilとの比較は出来ませんが、12ch Body Array Coilでも良質な画像が得られています。
グレードアップ*後から、心臓MRI検査は週2例程度行っていますが、現段階ではCine MRI, Black Blood image(Triple-inversion recovery法を用いた脂肪抑制T2強調画像), Perfusion MRI, 遅延造影像をルーチン検査として行っています。
遅延造影像では、3D MDE(Myocardial Delayed Enhancement)で撮像していますが、最適なTI値(Inversion Time)の設定に苦慮することがあり、良質な画像の取得が困難な場合があります。
その様な場合には検査時間が延長しますが、3D MDEの代わりに2D PS MDE(Phase Sensitive MDE)を撮像する場合もあります。2D PS MDEは、TI値の設定を行うことなく正常心筋と造影された障害心筋の描出を行うことが可能な近年開発された技術です。

Fig.5
 

 

 Navigator
 横隔膜同期による、自由呼吸下での体動補正技術。

Navigatorは、現時点ではまだ使用例が少ないのですが呼吸停止下での撮像が困難で、なおかつ呼吸が安定している患者の場合には大変有用でありました。
肝臓、膵臓、腎臓等、腹部造影検査などの呼吸停止下での撮像が基本である部位の撮像において、稀に呼吸停止困難な症例があります。このような場合には、今までは良質な画像の提供が困難でありましたが、Navigatorが導入されてからは自由呼吸下でも良質な画像の提供が可能となりました。しかし、Navigatorは撮像時間が長くなるためDynamic Studyには不向きで、今後使用方法を含め検討していきたいと思います。

Fig.6
 

 

 おわりに

今回のグレードアップ*は、すでに導入しているMRI装置のマグネットのみを再利用するNewgradeによる装置更新でしたが、まるで新規に装置を導入したかのように感じました。それでいて経済性にも優れているので、Newgradeという選択をして大変良かったと感じています。
装置やアプリケーション自体は、細かい点で改善の余地もありますが、扱い易く、普段のルーチン検査や休日・夜間等、救急患者のMRI検査の際には、MRI装置の操作に不慣れな者でも取り扱い可能な装置であり、非常に可用性が高い装置だと思います。
稼働から日が浅いため、アプリケーションを含め装置の性能を最大限引き出せてはいませんが、稼働から4ヶ月間、実際に使用してみて今回のグレードアップ*には大変満足しています。

pic   pic

 

PDF版はこちらをご参照ください。
http://gecommunity.on.arena.ne.jp/merumaga/smail/data/142/images/voice_img_mr_02.pdf(565KB)

 

薬事情報

※本グレードアップでは、既存MRのマグネットを残し、その他のコンポーネントを交換しております。グレードアップ後は、製品の薬事販売名称・薬事番号なども変更になります。
※お客様の使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

資料請求などのお問い合わせがございましたら、
↓こちらまで

   
 
このページを印刷する