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 MRI お客様の声
 SIGNATM Explorer Lift revives our MR.

 

 

一般財団法人 恵愛会 聖隷富士病院
診療部 放射線科 部長 塩谷 清司 先生
放射線課技師長 杉村 正義 様

 当院の紹介

当院は1946年に静岡県富士市に開院以来、地域に密着した医療を提供してきました。2007年には急性期病院機能のさらなる向上を目的に、現在地に新築移転されました。
今後、日本の人口の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になる2025年に向かい、医療を取り巻く環境は大きく変化することが予想されます。当院は、病床数151床の小規模病院ですが、「私たちは人と人とのつながりを大切にし、地域に貢献できる医療を目指します。」という病院理念のもと、地域の医療機関との連携を強化し、高度な医療を提供できる設備を充実させることで、地域医療への貢献に尽力していきます。

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塩谷先生

 SIGNA Explorer Newgradeの経済的・臨床的有用性
 診療部 放射線科 部長 塩谷 清司 先生

MRI装置更新の理由

2015年6月に当院に赴任した私は、稼動していたMRI装置の性能、画質に落胆しました。それは、当時、静岡県には1.5T以上のMRI装置が113台(3テスラ20台、1.5テスラ93台)*1が稼動していましたが、2001年3月に導入された当院のMRI装置(GE社製Signa MR/i SmartSpeed 1.5T)はそれらの中で最も陳旧化していたためです。当時の当院放射線部職員の間では、「最新のMRI装置をスマートフォンとすると、当院のMRI装置は黒電話のようなものだ」と揶揄されていました。
そして、MRI装置の陳旧化による複数の弊害が実際に起こっていました。

画質に関する弊害
  • 当時のMRI装置は、最近のMRI装置と比較すると信号収集に時間がかかり、また体動補正技術もなかったため、特に胸部MRI検査では、呼吸によるアーチファクトにより診断可能な画像を得ることができず、検査自体を施行していませんでした。
  • 上腹部MRI(肝臓、MRCP)検査は、一度に広範囲の画像収集ができず、シークエンスごとに、上部、中部、下部と三分割して撮像するしかありませんでした。これにより、シリーズが分かれて再構成されるため、非常に読影しにくく、遠隔読影をしてくださっている先生からも、読影が難しいと何度も指摘され、改善を要望されていました。例えば、呼吸が安定しない患者さんの上腹部検査の場合、上部、中部、下部を別々のシリーズとして撮像すると、患者さんの息止めの状態がシリーズごとに異なってしまいます。そのような症例の中には、各臓器の連続性を確認することが非常に難しく、胃の背側に突出するような胃粘膜下腫瘍を疑われて、他の検査が追加施行された症例もありました(図1)。
  • 検査件数の多い頭部や椎体も、依頼医の要求に十分応えることができる画質ではありませんでした(図2、3)。

pic1

pic2,3

これらの問題は、経験年数の長い読影医であっても、MRI装置の性能、画質が低ければ、質の高い読影ができないだけでなく、むしろ誤診を招く危険性や、本来は必要がない検査を施行することにより医療費を高騰させる弊害もあると痛感したため、MRI更新の強い動機づけとなりました。

また上記以外に、以下のような弊害もありました。
  • 当院の放射線技師が学会や研究会に参加して、より進歩したMRIの話を聴講しても、当院のMRI装置が陳旧化しているため、聴講内容を日常診療に生かすことができず、学会や研究会に参加しないスタッフが多い状態に陥っていました。
  • 当院のMRI装置の陳旧化と同時に、周辺病院でのMRI新規導入や更新もあり、院外からの紹介患者の多くが他院へ流出し、10年以上前には満員だったMRI検査の紹介枠が、ほとんど埋まらないような状態となっていました。

MRI装置更新の選択肢 ―既存マグネットを有効活用したNewgrade―

新しい装置を導入することにより、これらの問題を解決することができると確信してはいましたが、一方で新しい装置への機器更新には非常に大きな投資を必要とし、これがボトルネックとなっていました。しかし、当初使用していたMRI装置は、マグネット以外の構成部品を一新することでGEの最新機種*2であるSIGNA Explorerへグレードアップ*3することが可能でした。GEではこれをExplorer Newgrade (以下単にNewgrade)と呼んでおり、新規入れ替えに比べて非常に経済的な解決策でした。

今回のMRI装置更新の最大の目的は画質の改善でしたので、既にNewgradeされていたご施設 みやぎ県南中核病院様 (GE SmartMail Vol. 142, 2016年3月号)を視察させていただきました。そして、Newgradeと、新規導入されたMRI装置の画像を比較し、画質に全く差がないことを確認しましたので、Newgradeを選択しました。
その上で、Newgradeによる費用対効果を試算しました。新規入れ替えには1億円以上かかりますが、Newgradeにかかる費用は新規入れ替えに比べ非常に経済的でした。さらに設置工事により装置を止める期間は、新規入れ替えでは2~3ヶ月かかるところ、Newgradeでは1か月未満におさえられました。いずれも新規導入に比べ初期投資を大幅に削減できました。

Explorer Newgradeの利点

NewgradeによりMRI装置の性能と画質が格段に向上したことにより、当初抱いていたMRI読影へのストレスは激減しました。MRI装置のNewgradeは、誤診や見逃しを減少させていることを実感しています。
Newgradeは画質向上だけでなく、検査時間も短縮できるため、患者さんの負担を軽減でき、緊急検査にも即時対応可能となり、医療安全にも貢献しています。そして、検査時間の短縮は、1日に施行できる検査件数を増加させ、これは病院の増収につながっています。
当院のMRIの検査件数は、Newgrade前には1ヶ月に約240件(12件/日 × 5日/週 × 4週/月)でしたが、Newgrade後は1日あたり最低3件増やすことができており、現在では1ヶ月あたり約300件(15件/日 × 5日/週 × 4週/月)まで検査件数が増加しています。
この様に検査件数が増加した背景には、Newgradeにより病院の集客力が向上したことも挙げられます。NewgradeされたMRI装置は病院の魅力となり、紹介患者を増加させました。院内と院外からの両方の検査依頼件数が増加したため、前述のように検査枠を増やしたにもかかわらず、既に予約待ち期間が延長し始めています。今後、1日あたりの検査件数をさらに増やす予定です。
当院のNewgradeの場合、人件費、保守費用などを考慮しても3年以内に減価償却可能であると見込んでいます。
また、Newgradeは人材育成にもつながっています。MRI装置で実施できる検査の幅が広がることにより、若手放射線技師が勉強する動機づけとなり、知識、技術向上に役立っています。

 

杉村先生  SIGNA Explorer Newgradeによる上腹部検査の画質改善
 放射線課技師長 杉村 正義 様

MRCP

以前の装置ではMRCPは2D Fast Spin Echo (FSE)を用い撮像していましたが、今回導入したSIGNA ExplorerではParallel ImagingのASSET併用 3D Fast Recovery FSE (FRFSE) によるMRCPが撮像可能となりました(図4.)。3D FRFSEはFast Recoveryにより短いTRでも縦磁化を強制回復することで信号強度を高める事が出来ます。かつASSETを併用することでFSEのEcho Trainを減らすことができ、その結果T2減衰によるbluerを低減することが可能です。また3D撮像は画像処理で多方向からの観察も容易になります。さらに呼吸の動きに対しては呼吸同期と横隔膜同期が選択でき汎用性も向上しました。

図4

実際に導入から1ヶ月で撮像されたMRCP画像 約40症例(胆石胆嚢炎20、膵腫瘍性病変11、その他9)をReviewしました。男女比は男:女=18:22、平均年齢65.8歳(最高85歳、最低36歳)です。評価は良好で、再撮像の必要性の評価を3段階で行ったところ、結果は良好が27、再撮の必要なし10、要再撮3となり、若干のアーチファクトは認められるが再撮までは必要ないものは約90%でした(図5)。

図5

要再撮となった場合でも若干の分解能(スライス厚)を厚くすれば呼吸停止下で3D FRFSE撮像が可能でした。3D FRFSEは画像のIn-PlaneはSingle Shotで信号収集しているため、撮像時間短縮のためにはスライス枚数を減らす、またはTRを短縮する必要があります。スライス厚を厚くすることは分解能を落とすことにはなりますがSNは向上します。TRの短縮はFast Recoveryを使用したとしても縦磁化の回復が十分ではないためSN低下につながります。それらの点を考慮し、当院では息止め時間が25秒以下になるようにスライス厚、スライス枚数、TRを調整しています(図6.)。

図6

今回の評価ではすべて呼吸同期で行いましたがMRCPについては横隔膜同期Body Navigatorの併用も可能であり、これにより画質が改善するという報告もあります。

LAVA FLEX

T1WIについても2Dの撮像からLAVA FLEXを用いた3D撮像が可能となりました。LAVA FLEXは2point Dixon法を用いた撮像でIn-PhaseとOut-of-Phaseのタイミングで信号収集した際に、あるpixelを基準として、その信号強度から水信号優位か脂肪信号優位かを推定し、近接するpixelからすべてのpixelの磁場不均一度を計算しています(Region Glowing)。それをもって各pixelの信号強度を同定することで、均一な水画像(脂肪抑制画像)と脂肪画像(水抑制画像)を計算で得ることが可能です。
LAVA FLEXを用いる利点として、3D撮像であるためスライス厚を薄くできること、均一な脂肪抑制画像が得られること、脂肪抑制の有り無しの画像が一度の撮像で得られることなどが挙げられます。以前の装置では2D FSPGRで肝臓、胆嚢、膵臓を撮像するには5mm厚で2~3回に分けて撮らなければならなりませんでした。かつ脂肪抑制有り・無しを必要とする場合は、その倍の回数の息止め撮像が必要でした。しかしLAVA FLEXを用いた場合には、3.2mm厚のギャップレスで、1回の息止めで同様の範囲を撮像でき、脂肪抑制の有り・無し画像も同時に得ることができます(図7)。

図7

ここで課題となるのが、息止めが十分にできない場合の対処法です。このような場合、通常は息止め時間を短縮するため、スライス厚や、位相エンコード数を調整し分解能を犠牲にして撮像してきました。しかしExplorerではNavigator gatingが併用できます。これは3D MRCPで使用する横隔膜の動きをtriggerするNavigator triggeringではなく、Gate Scanに用いることで、自由呼吸下で3DのT1WIを得ることができるというものです。LAVA FLEXにNavigator gatingを併用することで、息止めが不十分、もしくは息止めが出来ない患者さんにも3DのT1WIを脂肪抑制有り無しで撮像することができるようになっています。(図8.)

図8

Parallel imagingの応用

従来Parallel ImagingのASSETは撮像時間短縮のために用いられてきました。しかしExplorerでは折り返しアーチファクト低減にも活用することができます。元々ASSETはデータ収集量を間引くことで時間短縮を行うパラレルイメージング法です。本来、データ収集量を間引いた場合には折り返しアーチファクトが現れますが、ASSETではその折り返った部分の信号強度から、計算式を用いて折り返しアーチファクトのない画像を得ることができます。この時の計算を、もともと折り返しアーチファクトのある画像(被写体より小さいFOVの設定)に用いたとき、ASSETのReduction Factorを1とすることで折り返しアーチファクトのない画像を得ることができます。そもそも折り返しアーチファクト対策としてはNo Phase Wrap(NPW)を用い、データ収集をOver Samplingして対処してきましたが、NPWはOver Samplingする技術であるため撮像時間が延長してしまいます。このような場合でもASSETを用いることにより、時間延長なしでデータ収集することが可能となります。ただしシーケンスによっては、1NEXの場合Half NEXを使用しデータ数を減らしNPWを用いても、完全に倍のデータを必要としない場合があります。しかしIDEALなどFull Echoが必要な場合はNPWを用いると撮像時間が倍になってしまいます。図9はファントムに対しIDEALにて撮像した画像です。撮像はCoronal断面で被写体より小さなFOVにて撮像しています。aが元画像、bがNPW使用、cがASSETを用いReduction Factor 1とした画像です。撮像時間はaが3:36、bが6:00、cが3:36となり、cは元画像と同等の時間で折り返りアーチファクトのない画像が得られています。

図9

まとめ

以前使用していた装置では以上に挙げたような新しい撮像法による画像を得られず、最新のMRIでの画像情報が診療科に提供できませんでした。このことにより院内におけるMRIの検査オーダーは頭打ちの状態となってしまっていました。しかし導入後1ヶ月が経過した6月には、過去最高件数をこなすことができるまでになりました。
通常であれば新しいアプリケーションによる最新画像取得のためには装置を更新するしかありませんでした。しかし今回のようなNewgradeという手法を用いることで、コストを大きく抑え最新の画像を得ることが出来ます。またそのような新しい画像を得る場合も、検査時間の延長なく撮像できる事もメリットのひとつであると感じています。
これらのことは病院経営的にも、診療の質の向上についても大きな意味があると考えています。
現在の診療報酬の制度の中で、磁場強度による差は付けられていても、得られる画質、画像情報に対して大差はありません。言い換えれば、古い装置でも新しい装置でも同様の画像情報を提供する必要があると思っています。しかし装置の新旧では、その差は大きく、そのような状況の中で、SIGNA Explorer Newgradeは最新の装置導入を、以前よりも容易にすることでMRIによる画像情報の質を向上し社会に貢献するmodelとなると思われます。

 

放射線科の皆さま   一般財団法人 恵愛会 聖隷富士病院
放射線課


当院は、大型診断機器として、CT1台、MRI1台、血管造影装置1台を設置しており、放射線課には計8名の診療放射線技師が在籍しています。当院の診療は、救急、癌、慢性疾患、そして終末期医療と多岐にわたっています。
放射線課の行動目標は、安全、迅速に患者さんの画像データを収集し、病態が正確に理解されるようにそれらを加工することで、診療に最大限貢献できる画像を提供することです。

 

※本記事のPDF版は、こちらからダウンロードいただけますpdf(980KB)

 


    *1 2015年新医療データ
    *2 2015年12月現在
    *3 グレードアップでは、既存MRのマグネットを残し、その他のコンポーネントを交換しております。グレードアップ後は製品の薬事販売名称・薬事番号なども変更になります。

 

薬事情報

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