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 核医学検査装置 お客様の声
 Q.Metrixによる定量化の最適プロトコルの検討

 

医療法人豊田会 刈谷豊田総合病院 放射線技術科
竹内 誠 様

 【はじめに】

当院では、2016年3月にSPECT/CT装置として、Discovery NM/CT 670 Q.Suite Proを導入され、Q.Metrixによる定量解析が可能となった。

今回、99mTcを用いたPhantom実験を、

  • 島根大学医学部附属病院(以下Shimane Univ.)
  • 熊本大学医学部附属病院(以下Kumamoto Univ.)
  • 医療法人豊田会 刈谷豊田総合病院(以下KTGH)
の3施設で、同一条件下で行った。 

得られたデータに対し、Q.Metrixを用いて定量解析を行い、SUVについて、

  1. 再構成条件の違いによる影響
  2. 施設間における定量値の違い
を検討した。

 

 【検討方法1 再構成条件の違いによる影響】
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図1 使用機器、SPECT撮像条件   図2 再構成条件

使用機器を図1に示す。
SPECT撮像条件については、各施設の臨床条件に近い条件として決定した。

再構成条件は、図2の通りで、OS-EMのIteration回数については、
2・3・4・5・6・10・20
の7パターン変化させ、Subsetは10で固定とした。

そして上記7パターンのデータに対し、再構成条件を以下の3パターンに分類し、

  1. ACSC(吸収補正+散乱補正)
  2. ACRR(吸収補正+分解能補正)
  3. ACSCRR(吸収補正+散乱補正+分解能補正)
合計21パターンの画像を作成し、定性評価および定量評価を行った。

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図3 Phantom作成条件
(※画像クリックで拡大します)
  図4 定量評価におけるVOIの設定方法
(※画像クリックで拡大します)

各施設におけるPhantom作成時の条件を図3に示す。
SUVの測定方法として、図4で示すようにCT画像上で、球状VOIを設定し、定量値を算出した。

 

 【結果1~画像(視覚評価)~】
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図5 画像(KTGH)~ACSC~
(※画像クリックで拡大します)
  図6 画像(KTGH)~ACRR~
(※画像クリックで拡大します)
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図7 画像(KTGH)~ACSCRR~
(※画像クリックで拡大します)
  図8 画像(Shimane Univ、Kumamoto Univ) ~ACSCRR~
(※画像クリックで拡大します)

図5~7に当院で撮像したPhantom画像を示す。
Iteration回数は代表的なもののみ示し、再構成条件は以下の通りとなる。

図5:再構成条件 ACSC
図6:再構成条件 ACRR
図7:再構成条件 ACSCRR

また、図8に島根大学附属病院と熊本大学附属病院における再構成条件ACSCRRの画像を示す。

○Iteration回数による違いについて
 ・どの再構成条件においても、Iteration回数が多いほどNoiseが目立つ。
 ・Iteration回数が多いほど、小さい球が判別しやすい。

○再構成条件による違い
 ・ACSCにおいて、球体内部が不均一に描出され、全体的にNoiseが目立つ。

 

 【結果1 ~Profile Curve(定性評価)~】

図5~7における、37mm球と17mm球のLine上でProfile Curveを作成した。

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図9 Profile Curve(KTGH)
(※画像クリックで拡大します)

○RRの有無による違い(ACSC vs ACSCRR)について
 ・ACSCにおいて、視覚評価と同様、37mm球のProfileが安定せず、球体の濃度が不均一となり、Back Groundにおいても濃度のバラつきが目立つ。

○SCの有無による違い(ACRR vs ACSCRR)について
 ・どちらもIterationが4以上で、37mm球においてGibbs Artifactが強調される。
 ・ACSCRRにおいて、Back Groundのカウントが低くなる。

 

 【結果1~SUVによる評価(定量評価)~】

SUVによる評価について、部分容積効果の影響を考慮し、37mm球にて比較を行った。

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図10 SUVmaxの比較(37mm球)
(※画像クリックで拡大します)
  図11 SUVmeanの比較(37mm球)
(※画像クリックで拡大します)

○SUVmaxについて ~37mm球~
 ・ACSCにおいて、他の再構成条件と比較し、定量値が低い値を示す。
 ・ACRRにおいて、Iteration回数の違いによる定量値の傾向が、施設間で異なる。
 ・ACSCRRにおいて、Iteration回数が少ない場合、施設間で同じ傾向を示す。

○SUVmeanについて ~37mm球~
 ・すべての再構成条件において、施設間で同じ傾向を示す。
 ・ACSCにおいて、他の再構成条件と比較し、定量値が低い値を示す。
 ・ACSCRRにおいて、Iteration回数が少ない場合、施設間で同じ傾向を示す。

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図12 SUVmaxの比較(Back Ground)
(※画像クリックで拡大します)
  図13 SUVmeanの比較(Back Ground)
(※画像クリックで拡大します)

○SUVmaxについて ~Back Ground~
 ・Iteration回数が少ないほど、定量値が低い値を示す(真値:1に近づく)。
 ・ACSCRRと比較し、ACRRで定量値が高い値を示す。

○SUVmeanについて ~Back Ground~
 ・Iteration回数による差は見られない。
 ・ACSCRRと比較し、ACRRで定量値が高い値を示す。

 

 【考察1~再構成条件について~】

○定性評価より
 ・Iteration回数が多いほど、小さい球が判別しやすい。
 ・Iterationが4以上で、Gibbs Artifactが強調される。
  これらより、Iteration回数『3』が推奨される。
 ・再構成条件がACSCの場合、球体内部が不均一に描出され、全体的にNoiseが目立つことから『RR(+)』が推奨される。
 ・ACSCおよびACSCRRにおいて、Back Groundのカウントが低くなることから、『SC(+)』が推奨される。

○定量評価より
 ・37mm球のACSCRRにおいて、Iteration回数が少ない場合、施設間で同じ傾向を示す。
 ・Back GroundのACSCRRにおいて、Iteration回数が少ないほど、低い値を示す(真値:1に近づく)。

以上より、再構成条件は、

『ACSCRR、Iteration:3、Subset:10』

が推奨される。

 

 【検討方法2 施設間における定量値の違い】

【検討方法1】で得られた結果を踏まえ、
Iteration:3、Subset:10
の条件下における、各定量値の比較を行う。

 

 【結果2~SUVによる施設間誤差(定量評価)~】
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図14 SUVmaxの比較(Iteration3)
(※画像クリックで拡大します)
  図15 SUVmeanの比較(Iteration3)
(※画像クリックで拡大します)

・SUVmax、SUVmean共に、施設間差は少なく、3施設で同様の傾向が見られた。

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図16 SUVmaxの真値比(Iteration3)
(※画像クリックで拡大します)
  図17 SUVmeanの真値比(Iteration3)
(※画像クリックで拡大します)
表1   表2
表1 SUVmaxの真値比(ACSCRR、Iteration3)
(※画像クリックで拡大します)
  表2 SUVmeanの真値比(ACSCRR、Iteration3)
(※画像クリックで拡大します)

○SUVmaxについて
 ・大きな施設間誤差は見られない。
 ・ACRRおよびACSCRRにおいて真値と比較し、割合は100%を超えた。
 ・ACSCにおいて、37mm球で真値に近い割合を示した。

○SUVmeanについて
 ・大きな施設間誤差は見られない。
 ・ACSCRRにおいて、37mm球で真値に近い割合を示した。

 

 【考察2~施設間誤差について~】

○定量値について
 ・施設間で同様の傾向を示し、定量評価としては、同等の評価が可能であることが示唆される。
 ・施設間誤差については、大きな差は見られないが、ファントム作成条件や、撮像条件による影響で多少の誤差が生じていると考えられる。
 ・今回は3施設のみの検討であったため、今後検討施設を増やして比較をしていくことが望まれる。

以上より、ACSCRR、Iteration:3、Subset:10における施設間誤差については、大きな差は見られなかった。

 

 【まとめ】

99mTcによるQ.Metrixを用いた定量評価において、再構成条件は、

『ACSCRR、Iteration:3、Subset:10』

が推奨される。
また、上記条件における施設間誤差は少ない結果が示された。

 

 

※第4回Q.Metrix RoundTable Meetingでの発表を元に一部内容を追加したものを報告
※お客様の使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

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