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 核医学検査装置 お客様の声
 DiscoveryIQ.x『Q.Core Power』使用経験

 

さいたまセントラルクリニック
放射線技術部門 主任
島内 広志 様

 【はじめに】

さいたまセントラルクリニックは大宮駅とさいたま新都心駅からアクセスできる医療モール“さいたまメディカルタウン”に2009年6月に開設された(図1)。

さいたまメディカルタウン外観 1階エントランス
図1 さいたまメディカルタウン外観、1階エントランス

PET/CT、MRIを備えた画像診断センターとして、さいたまエリアを軸に首都圏の500施設を超える医療機関の画像検査の依頼を担っている(2016年度実績、年間PET/CT約3500件、MRI約4000件)。開院8年目を迎えた本年2月、GE社製PET/CT Discovery IQ.xを導入したので、その初期使用経験について述べたい(図2)。

図2 Discovery IQ.xとスタッフ
図2 Discovery IQ.xとスタッフ
(左から筆者、礒部技師、寺師技師、柴田医師)

 

 【PET/CT Discovery IQ.xの導入】

この度、当クリニックに導入したPET/CT Discovery IQ.xの特性は、PETカメラの体軸方向視野が26cmと広く、機種選定当時に発売されていたPET/CT機器のなかでも群を抜いており、PET/CT検査依頼が予約枠数上限まで達していた当クリニックにとって、スループット向上が見込める最有力候補であった。実際の臨床の場においても、頭頂から鼡径部までの全身収集を5ベッドで撮像でき、1ベッドあたり2~2.5分での収集とした場合でも、総検査時間は約15分に満たず、一世代前のPET/CT機器に比し、検査時間は約1/2に短縮された。導入後、患者さんから「以前は腕上げがきついと感じていたけれど、今回は楽だったよ」といった喜びの声もいただけたのは非常に喜ばしいことであった。疼痛に苦しむ患者さんの身体的負担を大きく軽減したことを実感できる機器である。そして、この度のPET/CT導入に際し、患者さんに「病院に来ていることを忘れてもらいたい」というコンセプトにより、GE担当者との打合せにより、新PET/CT室には大きな絵画やソファーを設置し、間接照明を加え、検査室を感じさせない癒しの空間を提供する工夫も試みられている(図3)。

図3 絵画のあるPET/CT検査室
図3 絵画のあるPET/CT検査室

この機種のもう一つの特徴は、画像再構成にQ.Clearを利用できることである。Q.Clearを用いた場合、従来のVUE Point HDに比べ肝臓や軟部組織などの生理的集積のノイズが軽減され、病変の辺縁もよりシャープに描出される傾向にあった(図4)。ファーストインプレッションとしては、TOF搭載の機器と同等の画質が得られていると感じた。

PET/CT画像再構成の比較
VUE Point HD Q.Clear
図4 当院PET/CT画像再構成の比較(MIP画像)
(投与量150MBq 体重63kg)

再構成条件
VUE Point HD:subset12,iteration4,matrix size192
Q.Clear:B値=400,matrix size192

40歳代女性、左乳癌の症例。
Q.ClearはVUE Point HDと比較すると全体的にノイズが軽減されており、病変の辺縁もよりシャープにみえる(赤矢印)。
また、肝臓や軟部組織などの生理的集積を認める臓器においてもノイズが軽減されているのが分かる。
VUE Point HDではSuvmax=6.02、Q.ClearではSuvmax=6.68。

 

 【導入時のQ.Clear使用印象】

導入当初、Q.Clearによる再構成では、1ベッドあたり約200秒(B値=400,matrix size=192)の時間を要するため、全身像の完成には17分かかる計算であった。そのため、検査中のDirect MPRでの画像確認にはQ.Clear は用いず、VUE Point HDを利用することとなった。時間的な余裕ができた時点で、Fusion画像の作成等の画像処理や放射線科医による画像診断用にはQ.Clearを使用するという2種類の再構成を併用する状況が続いた。当クリニックでは1日10件以上の検査をこなすため、検査が立て続けに行われるとJOBが溜まっていき、Q.Clearが終了するまでの時間も長くなり、読影開始に遅延が生じる弊害もみられた。PETがん検診の診療サービスの一つとして、検査終了後に放射線科医がすぐに読影を開始し、受診者の着替えが終わる時間にあわせてお待たせすることなく画像検査の結果説明をする当日面談がある。このサービス実施に際して、当初のQ.Clear再構成時間の親和性は非常に乏しく、VUE Point HDでの対応を余儀なくされた。面談を担当する放射線科医師からも、「折角もっと綺麗な画像が出せるはずなのに勿体ないね」、とのコメントがあり、放射線技術部としては歯がゆい思いをすることも度々あった。

 

 【待望のQ.Core Powerへのバージョンアップ】

しかし、3月にはQ.Clear のこうした問題は解消されることとなる。
Q.Coreシステムの強化版「Q.Core Power」が導入されたためだ。Q.Core PowerはQ.Clearの再構成時間を大幅に短縮する最新のハードウェアである。実際に使用してみて、その処理速度は驚愕であった(そのボディーサイズの大きさにも驚かされた)(図5)。

Q.Core Powerユニット外観
図5 Q.Core Powerユニット外観
(従来のQ.Coreユニットよりも2倍以上の大きさとなったが、奥行きはそれほど感じない形状。)

Q.Core Powerの処理速度は1ベッドあたり約70秒(B値=400,matrix size=192)と従来よりも1/3程度に短縮され、私たちが検査終了後に受診者を次の行程に案内し、操作室に戻った際には、すでに再構成画像が完成している。そのため画像再構成を待つ時間がほぼ無くなり、検査後すぐに画像を転送でき、画像処理や読影を直ちに始めることが可能となった。検査中の画像確認もQ.Clearが使用でき、これまで作成していたVUE Point HDは不要となり、ストレージ容量の圧迫も改善された。放射線科医師による当日面談においても、Q.Clear再構成画像を提供できる環境が整った。診療部長の柴田医師によれば、「Q.Clearで処理されたPET画像は、VUE Point HDに比較しノイズが低減されているため、特に小さな病変や軽微なFDG集積を示す病変については見つけやすく、読影精度の向上が期待できる。こうした画像を撮像直後に得られるのは大変助かる。」とのこと。より鮮明な画像を受診者に提供できる達成感と、より高い精度での診断が可能となる期待感が込められたコメントであった。

 

 【おわりに】

GE社製PET/CT Discovery IQ.xを導入して約3ヶ月の使用経験を述べた。スループットの向上とQ.Clear再構成画像による鮮明なPET画像が得られ満足のいく機種選定であったと思う。そして、Q.Core Powerの導入により、再構成処理速度の問題も改善され、検査から画像処理までの流れがスムーズとなり、放射線技術部スタッフのストレスも解消された。患者はもとより、医療スタッフにも優しい医療環境を手に入れることができた意義は大きい。

 

 

※Discovery IQ.xはGE社製Discovery IQシリーズの5ringシステムの製品名となります。
※お客様の使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

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