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 核医学検査装置 お客様の声
 肺定位放射線治療計画へのDiscovery PET/CT 710の利用

 

JA長野県厚生連 佐久総合病院放射線治療室
前島 友和 様

近年放射線治療において、PET画像を放射線治療計画に利用する機会が増加しています。一般的に治療計画はCT画像を利用しますが、現在は標的描出精度の向上を図りそこにMRI画像やPET画像をfusionし、治療計画を行っています。

当院では肺定位放射線治療計画に、Discovery PET/CT 710を使用しています。定位放射線治療は、限局した小さな腫瘍に対して、局所制御の向上と周辺臓器への有害事象の低減を目的に、標的に多方向から照射し、高線量を投与する一方で、腫瘍周囲の線量を急峻に落とすことが重要です。特に肺癌は、呼吸性移動を考慮する必要があります。これらの課題を解決するために、Discovery PET/CT 710に、治療用フラット天板と、放射線治療装置と同じVARIAN社の呼吸同期システム(RPM)を設置し、呼吸同期PETと呼吸同期シネCTを撮影し放射線治療計画を行っています。(図1)

図1
図1. システム体系

当初は、通常のPET検査で行われた画像をfusion に用いましたが、撮影体位が違うため良い結果が得られず、同一の固定具を使うようにしました。CTシミュレータ室で、固定具を作成、マーキング、呼吸同期シネCTを撮影して、後日PET/CT検査を行っていましたが、CTを2回撮影することの被ばくや、コスト、CTシミュレータとPET/CTとで別日にセットアップすることで生じる位置の誤差、呼吸の大きさや周期の違いなど、多くの誤差要因がありました。CTシミュレータのCT画像と、Discovery PET/CT 710のPET画像をfusionしますが、上記要因が複合され、腫瘍の位置が合わない事を何度も経験しました。

そこで現在は時間短縮とfusion精度向上のために、Discovery PET/CT 710の呼吸同期シネCTを治療計画用CTとするようにしています。術者の被ばくを低減するために、固定具の作成とマーキングはFDG投与前にCTシミュレータ室にて行い、実際の治療計画用シネCTの撮影からPET画像の撮像まで、患者さんは動くことなく一連の検査の中で完了するようになりました。しかし、検査開始から検査終了までの間に呼吸の状態が変化していく症例では、fusion精度に満足いかない結果になることはあります。

呼吸の安定化を図るため、胸腹部2点測定式呼吸モニタリング装置であるAbches (ApexMedical, Tokyo, Japan)と得られる呼吸信号をRPMシステムの呼吸波形に変換するLinear Indicator (ApexMedical, Tokyo, Japan)システムを組み合わせ、必要に応じて呼吸波形を患者さん自身に観察してもらっています。これにより、より確実に呼吸信号の取得が可能となりました。また、検査時間が長時間になると、呼吸が変化してくる患者さんも多いので、呼吸が安定している間に画像を取得するのが理想です。(図2)

図2
図2. 呼吸波形を見るためのゴーグル

呼吸同期が可能となる以前の肺癌のPET/CTは、CT画像は呼吸サイクルにおける肺癌のある一瞬の位置であり、PET画像は数分間の動いている集積を累積した画像であり、肺定位放射線治療の治療計画には使用できるものではありませんでした。Discovery PET/CT 710では単に呼吸同期の検査ができるだけでなく、搭載された「Motion Match」と「Q.Freeze」によって、より肺定位放射線治療計画に使いやすくなっています。「Motion Match」では、呼吸同期PETと呼吸同期CTの位相を合わせて吸収補正することにより、微小病変の描出と定量精度が向上しました。また、「Q.Freeze」では呼吸位相間の画像を任意の呼吸位相を基準として非線形処理を行い加算し、SNを確保することで、元来位相分割数によって時間がかかっていた呼吸同期PET撮像が、短時間に日常臨床の中で行える検査となり、患者さんの負担も少なくなりました。最も重要である、検査一連の中での呼吸安定性を維持するためにも、検査が短時間になることは大きな意味があると考えています。

実際の運用面では治療計画用の呼吸同期PET/CTも、通常のPET検査の予約のある中で、予約時間を調整しながら行っています。治療技師は患者セットアップと呼吸管理を担当し、PET担当技師が撮像、画像処理を行うことで効率化を図っています。検査後、放射線治療計画装置から必要な画像をDiscovery PET/CT 710にQuery/Retrieveをすることで、PET部門に手を煩わせる事無く必要な画像を取得しています。

最後にDiscovery PET/CT 710を治療計画用CTとして使えるよう、性能評価や調整をしてくださったGEヘルスケアの関係者の皆様にこの場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。

 

 

 

※お客様の使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

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