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 核医学検査装置 お客様の声
 速報!
 CZT半導体検出機搭載全身用SPECT/CT装置 Discovery NM/CT 670 CZT が
 アジア地域で初めて埼玉医科大学病院に導入される!!

 

埼玉医科大学病院 中央放射線部
高橋 将史 様

当院は埼玉県西部に位置する私立大学病院で、年間3,000件を超えるSPECT検査を行っています。

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図1.病院外観

半年ほど前、装置の老朽化に伴い、新たにSPECT/CT装置の導入が決定し、ちょうど機種選定が始まったタイミングで日本における当該装置の販売が開始されました。
全身撮像に対応した半導体SPECT/CTはDiscovery NM/CT 670 CZT が世界初の製品であり、そのインパクトは非常に大きく、ぜひアジア第1号機として当院に導入したいと思い、高画質や短時間撮像といった有用性をアピールした結果、導入が認められました。

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図2.装置搬入の様子 図3.半導体SPECT/CT装置 CZT検出器部分

装置は2017年7月10日より稼働し、ファントム実験など一連の基礎データを取得後、翌週より臨床での使用が開始され、現在では骨、心筋、脳血流、線条体といった検査を主に行っています。今回は、実際に使用した感想を中心にご報告したいと思います。
まず最初のインパクトは、画像の鮮明さです。実験の詳細な検討はまだこれからですが、臨床画像を見ると半導体検出器の効果は明らかです。その要因として、半導体検出器の持つ物理的な性能が大きく寄与していると思われます。図4.に示すように、アンガー型従来型検出器のNaIシンチレータでは、ガンマ線が被検者から放出され診断画像となるまでの間には、蛍光への変換、電子化、光電子増倍管(PMT)での増幅、などいくつかの過程を経ており、空間分解能はPMTサイズやフォトンの到達率にも影響しますが、半導体検出器では一本の放射線から得られる電気信号が多いうえ、直接変換されたデジタル信号です。それにより、高いエネルギー分解能、優れたSN(Signal to Noise Ratio)、空間分解能が実現できており、すでに実施した一連の基礎実験の結果がそれを裏付けています。今後、アンガー型の最新型装置と性能の比較ができたらと考えています。

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図4.従来タイプ検出器と半導体検出器の違い

コリメータについては、WEHR(Wide Energy High Resolution)の1種類となっているため、交換の手間はありません。ただし、固有均一性などの性能を測定できるように、コリメータカートが付属しています。当院従来機種で汎用コリメータを使用していた検査をDiscovery NM/CT 670 CZTでは高分解能型で行っていることも、画質向上の一因となっています。
Discovery NM/CT 670 CZTは対応エネルギー幅が250keVまでなので、対応核種は99mTc、123I、201Tl、111In、81mKrに限定されます。当院ではガリウムシンチの依頼が多いのですが、現在ではまだ施行していません。現時点では前述の対応エネルギー幅のこともあり、Discovery NM/CT 670 CZTを用いたガリウムシンチ撮像の試みについての報告はありませんが、今後エネルギーウィンドウを工夫するなどしてガリウムシンチの撮像ができないか検討していきたいと考えています。
また、視野外縁のデッドスペース(ブレインリーチ)が7.5㎝から2.5㎝へとアンガー型装置に比べて大幅に小さくなっており、特に頭部の検査において、小脳まで撮像範囲に含めるために肩を入れる必要がなくなりました。これにより、回転半径を13cm程度まで小さくすることが可能となり、画質向上に大きく貢献しています。

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図5.頭部撮像の様子

またこの装置の特徴の1つとして、リストモード収集が可能なことが挙げられます。リストモード自体は従来から存在する技術ですが、この機種では、収集時間のみならずエネルギーウィンドウまで調整することが可能であり、撮像条件の設定に威力を発揮するものと思われます。高いエネルギー分解能を持つこの装置の特性を生かして、従来のアンガー型カメラでは不可能だった123IとTcの2核種同時収集も現実味を帯びてきました。特に当院では認知症やParkinson病患者の脳血流や線条体の検査依頼が多いため、これらを同時に施行し来院回数を減らすことで、患者サービスにもつながると考えています。今後、このリストモードを活用して、2核種同時収集における至適条件の検討も進めていきたいと考えています。

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図6.Lister画面

最後にX線CTの性能についてです。アンガー型のDiscovery NM/CT 670と同様に16列の0.5秒回転が可能なMDCTが搭載され、高速撮影が可能となっています。静止困難な患者でも、motion artifactの少ない鮮明なCT画像を得ることが可能です。またSPECT/CT検査では、CTの被ばく量低減も大きな課題です。これを解決する画期的な技術が、逐次近似を応用した再構成法であるASiRであり、CZTにも標準で搭載されています。低線量撮影でもノイズの少ない画像が得られ、当院ではCTDIが概ね頭部で3.5mGy、体幹部で0.5~1.5mGyという被ばく量に抑えることが可能となっています。
まだまだ大いなる可能性を秘めたDiscovery NM/CT 670 CZT。世界的にもまだ数台しか稼働していないため、今後エビデンスを多く蓄積していくことが必要です。そしてその性能を最大限発揮できるよう、我々も更なる検討を進めていきたいと考えています。

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図7.ASiRの効果(GE Healthcare提供)

次回からは臨床画像を紹介していきたいと思います。お楽しみに。

 

※お客様の使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

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