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 核医学検査装置 お客様の声
 速報2! CZT半導体検出機搭載全身用SPECT/CT装置 臨床画像紹介!!
 ~骨シンチ編~

 

埼玉医科大学病院 中央放射線部
高橋 将史 様

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前回のスマートメールにて、アジアで初めて半導体SPECT/CT装置Discovery 670 CZT(以下D670 CZT)を導入したことを報告し、搭載されているテクノロジーについてお伝えしました。(図1)

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図1:Discovery 670 CZTの概観写真
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D670CZTは7月下旬に設置され、ファントム試験など種々の基礎検討の後、8月から本格的に臨床稼働が始まっています。現時点で150件以上の臨床検査を行い、その極めて高い画質に満足しています。今回は、当院でも比較的件数の多い骨シンチの検査についてご紹介したいと思います。
当院では、年間500件ほどの骨シンチ検査を行っており、D670CZTが導入されてからはほぼ全ての骨シンチをこの装置で撮像しています。

ルーチンとして、WBとSPECT/CTを1Bed撮像し、必要に応じてSPECT/CTを2~3Bedに増やしています。従来は、必要に応じてSpotを3分程度追加撮像していましたが、SpotはSPECT/CT に置き換わったため撮像していません。WBについてはStep&Shootで、1Bedあたり3分で撮像しています。ほとんどの方は5Bed(最大190cm)で納まるので、WBの撮像時間としては15分となっています。Step&Shootを用いている理由としては、Continuous(連続収集)で収集するよりも、像が流れないため分解能が保てることと、後述するリストモード収集を行うためです。SPECTの収集条件については以下に示します。1Bedあたりの収集時間は10分となります。(図2)

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図2:現在の骨シンチ収集条件
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ただしこれらはNaIタイプのアンガー型カメラを参考にした仮の撮像条件であり、現在は撮像時間短縮をまだ実施していません。実際には大幅な撮像時間短縮が可能だと感じていますが、もう少しデータが集まった段階で、リストモード解析を行い、どこまで撮像時間短縮が可能か多方面から検討を進めていきたいと考えています。

参考までに1例ですが、リストモード解析を用いた撮像時間によるWB画像の違いを示したいと思います。患者は78歳男性、前立腺がんで、肋骨、椎体、坐骨に異常集積が見られます。左から順に、15分のオリジナル画像、7.5分、5分、3.75分のLister解析画像となっています。(図3-1、3-2)

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  図3-1、3-2:収集時間別の骨シンチの画像
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3.75分(1/4の収集時間)では、画像はかなり荒くなってきますが、異常集積の判別は可能です。当院核医学科医師に画像を見てもらったところ、あくまでも視覚的な評価になりますが、5分までは短縮できる可能性があるとの助言を頂きました。さらにSPECTの時間短縮も可能であれば、ルーチン検査(WB+1BedのSPECT/CT)でトータル10分を切る骨シンチも決して夢ではなく、大幅なスループット向上が期待できます。また将来的には、WBを省略して全身SPECTというルーチンも視野に入れ検討を行っていきます。(図4)

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図4:骨シンチのワークフロー比較
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当院従来機種と比較した臨床画像を提示します。(図5)

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図5:従来機種との比較画像
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同一の患者で、3か月後のFollow up studyをD670 CZTで施行しています。表示条件を同一にするために、BONENAVI®を使用しています。コリメータが高分解能タイプになったこともありますが、D670 CZTの高いエネルギー分解能、空間分解能により、ほぼ同一の撮像時間でも画質が大幅に向上しているのが分かります。

操作性においても改善が図られています。例えばベッドサイド横にあるルーラー機能は、WBにおいて撮像開始地点と終了地点のボタンをそれぞれワンプッシュするだけで撮像範囲の設定が可能となっており、迅速に検査が開始できます。また、SpotやSPECTの際でもボタンを押した地点が自動的に視野中心にくるように寝台が移動します。このような機能が装備されているのはGEのSPECTのみであり、この装置の大きな特徴の1つであります。(図6)

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図6:ルーラー
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ここで2点ほど症例を提示したいと思います。

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図7:症例1
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当院の骨シンチは、転移検索だけでなく、整形外科的疾患の依頼もあります。最初の症例は、人工膝関節置換術後の患者で、関節の緩みがないかを調べる目的で施行されたものです。D670 CZTの高い空間分解能により、このような小さな集積でも明瞭に描出されているのが確認できます。(図7)
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図8:症例2
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次の症例は、大腿骨病的骨折疑いの患者で、CTとのFusionにより、骨外の軟部組織にまで集積が及んでいることが見てとれます。(図8)

そしてもう1つ注目頂きたいのは、CTの画質です。当院で行っているSPECT/CTは、Auto mAのNoise Indexを頭部で15、体幹部で35に設定しており、低線量で撮影を行っています。にもかかわらず、これだけの高画質なCT画像が得られるのはASiRの威力であり、今後は最適なパラメータの設定にも手がけていきたいと考えています。右側の画像は実際にD670 CZTにてFusion/吸収補正用に撮影した低線量CTで作成した3D画像です。CTDI(表示値)は1.57mGyでした。診断用CTに匹敵する高画質の3Dが作成でき、病変部が明瞭に確認できます。  以上、今回はD670 CZTを用いた骨シンチについてご紹介しました。次回は他の検査(脳血流、線条体、心筋など)についてご紹介したいと思います。お楽しみに。

※お客様の使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

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