top お問い合わせ 印刷
 核医学検査装置 お客様の声
 PET画像と呼吸停止下CT画像の位置ずれアーチファクトへの対策:
 低線量自由呼吸下CT追加撮影の有用性

 

 

三重大学医学部附属病院 様
 はじめに
pic11
三重大学医学部附属病院 RI検査室スタッフ一同

三重県にある三重大学医学部附属病院は、日本で一番短い地名「津」市に位置する、県内唯一の大学病院です。当院の核医学検査室は、SEPCT装置3台(うちDiscovery NM/CT 670 1台)およびPET/CT装置2台(うちDiscovery 690 1台)を使用して日常の検査および研究を行っています。

今回は、日常のPET/CT検査で見られるアーチファクトについて検討しましたので報告します。

 

 背景
pic1

当院のFDG PET/CT検査において、PET画像上でしばしば横隔膜周囲にアーチファクトが生じる経験する。

過去にはFDG PET/CT検査で、PET画像と減弱補正に用いるCT画像の位置ずれがある場合に、不適切な減弱補正によって上腹部でアーチファクト(curvilinear artifact)を引き起こし、定性および定量評価に影響を及ぼすと報告されている。

また現在は減弱補正用としてのwhole-body CTは、浅い呼気での呼吸停止下CT(breath-hold at shallow expiration (EBH-CT))を採用している。以前の報告では安静自由呼吸下CT(free breathing (FB-CT))を使用することでcurvilinear artifactが減少すると報告されている。

 

 目的

Whole-bodyの減弱補正用にEBH-CTを用いた際に上腹部にcurvilinear artifactが生じた場合、さらに加えてFB-CTを撮影することによる影響を検討した。

 

 使用機器&方法
対象者:
  • 18F-FDG PET/CT検査を行なった連続622名
  • - 男性370人、女性252人
  • - 年齢63±14

 

検査準備:
  • 検査の6時間前から絶食 (血糖値150 mg/dL以下)
  • 1時間の安静待機
  • abdominal belt (横隔膜の呼吸性移動の抑制のため)

 

PET/CT system:
  • GE Discovery 690 VCT
  • - 3D mode
  • - LYSO crystals

 

Study protocol
pic2
  1. 浅い呼気での呼吸停止下CT (EBH-CT)
    • Whole-body scan
    • 0.4-s rotation, 1.375:1 helical pitch, 3.75-mm slice, 300 mA, 120 kVp
  2. 3D-PET
    • Whole-body scan
    • 18F-FDGを3.7 MBq/kg投与し、1時間後に撮影
    • 2min/bed position x 6-8
  3. PET/CT画像評価
    • EBH-CTで減弱補正したPET画像ができる
    • Curvilinear artifactの有無を評価した
  4. 安静自由呼吸下CT (FB-CT)
    • もしcurvilinear artifactがあった場合、加えて上腹部の低線量FB-CTを撮影
    • 0.4-s rotation, 1.375:1 helical pitch, 3.75-mm slice, 50 mA, 120 kVp

 

画像再構成
  • EBH-CTで減弱補正したwhole-body PET画像
    • 3D-OSEM+PSF+TOF
    • Iteration 2, subsets 24, Gaussian filter 6 mm
  • FB-CTで減弱補正した上腹部のPET画像
    • 上記と同じ再構成条件
  • 減弱補正していないPET画像
    • PETとCTの位置ずれを測定するために作成した
    • 上記と同じ再構成条件

 

解析方法
Curvilinear artifactの定性評価
pic3

Curvilinear artifactの程度を高さ()で分類し、冠状断と矢状断画像で評価した
Grade 0 (none) : curvilinear artifactなし
Grade 1 (mild) : 椎体の高さの50%未満
Grade 2 (moderate) : 椎体の高さの50%以上で、椎体の高さ未満
Grade 3 (severe) : 椎体の高さ以上

 

PETとCTの位置ずれの定量評価
位置ずれの測定(減弱補正していないPET画像とCT画像)
  • X軸(ΔX)、Y軸(ΔY)、Z軸(ΔZ)で測定した。
  • Total differenceとして、(ΔX2+ΔY2+ΔZ2)0.5を用いて算出した。
  • EBH-CTとFB-CTのそれぞれで測定した。

 

 結果

Curvilinear artifactの発生率
・EBH-CTで減弱補正をしたPET画像において、622人中35人(5.6%)で観測された。

 

Curvilinear artifactの程度
pic4

 

EBH-CTとFB-CTにおけるcurvilinear artifactのgradeの変化
pic5

 

Case 1. 51歳男性
pic6

 

Case 2. 75歳男性(肝臓に病変*
pic7

 

PETとCTの位置ずれの定量評価
pic8

 

Total difference
pic9

 

Supplemental data:定性評価と定量評価の関係
pic10

 

 結語

FDG PET検査では、上腹部でしばしば発生するcurvilinear artifact(PET画像と浅い呼気での呼吸停止下CT画像の位置ずれに起因するアーチファクト)は、さらに安静自由呼吸下CTによって大きく減少させることができた。

 

薬事情報

※お客様の使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

お電話以外でのお問い合わせの場合は、こちらをご利用ください。
info
(お問い合わせ例)
GE製のPET/CTについて詳細の質問がしたい
GE製のPET/CT導入済みの施設を見学したい