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 核医学検査装置 お客様の声
 PET/CT 呼吸同期:Q.Freezeの使用経験

 

兵庫県立尼崎総合医療センター
放射線部 藤井 康司 様
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 はじめに

当センターでは、2015年7月PET/CT装置Discovery IQ(3ring)、呼吸同期装置Varian社製RPM Respiratory gating systemが導入された。通常PET/CTは安静呼吸下で撮像するため、呼吸性移動の影響からCT画像とPET画像とのずれが生じ、吸収補正のエラーや、特に横隔膜付近の病変への集積程度が正確に評価できない場合がある。呼吸同期撮像を行うことで、CT画像とPET画像とのずれが生じにくくなり、吸収補正のエラーの減少や病変部の定量性の向上が実現できることが報告されている。

当センターでは、通常の検査では検査時間の関係上呼吸同期撮像は行わず、必要時に追加撮像で行っている。
今回、呼吸同期撮像とQ.Freezeが有用であった症例を経験したので報告する。

 

 呼吸同期撮像法

当センターのPET/CTに用いられている呼吸同期撮像法は、Q.StaticとQ.Freezeである。
Q.Staticは、呼吸同期撮像時の呼吸データから安定した呼気相近傍のデータのみを抽出し加算処理し画像化する機能である。(図1)

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図1. Q.Static

Q.Freezeでは、まず呼吸同期収集したPETおよび4DシネCTをそれぞれ同じ位相で分割を行い、完全に位相が合致した状態で吸収補正を行う。その後、再構成されたPET画像の位相を指定し、他の位相からの画像を指定した位相の画像へ非線形的に合わせこむことで動きのない画像を作成しつつ、画質の向上を図る機能である。(図2)

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図2. Q.Freeze

 

 症例提示

70歳代女性、主訴はなし、現病歴は2013年に左上葉肺腺がんの手術施行し、病期はT2N1M0であった。
その後は胸部エックス線写真および腫瘍マーカーでフォロー。2016年にCEA11.0に上昇したためPET/CT検査の依頼があった。

撮像した画像を確認したところ肺野から肝臓にかけて淡い集積が認められた。(図3、4)

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図3.Static収集(呼吸同期なし) Coronal像   図4.Static収集 (呼吸同期なし)Axial像
※画像クリックで拡大します。

過去のCT画像がなかったため、Fusion用のCTで確認したところ肺野、上腹部に異常所見は認められなかった。集積部位を同定するため、呼吸同期撮像を追加撮像し、Q.StaticおよびQ.Freezeを追加処理した。収集が終わった時点で、Q.Staticの画像を確認したところ肺野に集積があった(図5)。

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図5.Q.Static
※画像クリックで拡大します。

横隔膜付近にバナナアーチファクトが認められ、その影響も考えられたのでQ.Freeze画像を確認したところ肝臓に集積がみられた。(図6、図7)

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図6.Q.Freeze画像   図7.Q.Freeze画像
※画像クリックで拡大します。

2週間後に撮像されたCTでもPETの集積と一致した部分に低吸収域があった。呼吸同期なし、Q.Static、Q.Freezeのコロナル画像を図8に示す。Q.Freezeを用いることでSUVmaxが上がっており定量性が向上していることがわかった。

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図8.呼吸同期なし、Q.Static、Q.FreezeのSUVmax比較
※画像クリックで拡大します。

 

 まとめ

今回はQ.Freezeが有用であった症例を提示した。
当センターでは通常ではCTは呼気にて撮像するが、今回息止めが難しかったため自然呼吸下でCT撮像を行ったことで位置ずれが生じたと考えられる。しかしながら呼気撮像を行っても横隔膜周辺の位置ずれは生じることはある。

Q.Freezeを用いることでPETの集積部位を正確に同定することができ、定量性の向上が図られたことからQ.Freezeの有用性が示唆された。

 

 

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