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 核医学検査装置 お客様の声
 I-123脳血流SPECTにおけるCDR補正(Evolution)を用いた短時間収集の検討

 

社会医療法人生長会 府中病院
梅木 拓哉 様
 【背景】

脳血流SPECT検査は、脳血管障害の病態評価や認知症の診断に有用であると報告されている。使用する薬剤にはTc-99mとI-123が用いられるが,当院では高血流領域の直線性が優れているI-123ヨード製剤を用いて検査を行っている。I123ヨード製剤を使用して検査を行う場合,使用するコリメータは拡張低エネルギー用汎用型コリメータ(extended low energy general purpose: ELEGP)を選択して検査を行うのが一般的である。
しかし、ペネトレーションの影響を考え、より隔壁厚の厚い中エネルギー用汎用型コリメータ(medium energy general purpose: MEGP)を用いて検査を行っている。MEGPコリメータを使用することで空間分解能の劣化が考えられるため、I-123脳血流SPECTにおけるcollimator detector response (CDR)補正(Evolution)の有用性について第44回日本放射線技術学会秋季学術大会にて報告した。結果としてはCDR補正(Evolution)を用いることで空間分解能は有意に向上し、部分容積効果の影響も改善されコントラストも向上した。しかもCDR補正(Evolution)は空間分解能の改善だけではなく、ノイズ低減によるS/Nも向上するため、骨シンチグラフィや心筋シンチグラフィでは短時間収集の検討が報告されているが、脳血流領域においては報告されていないため、今回検討を行った。

 

 【目的】

I-123脳血流SPECTにおけるCDR補正(Evolution)を用いた短時間収集の検討を行った。

 

 【使用機器】

装置はGE社製2検出器型SPECT装置Infinia 3を使用し,コリメータはMEGPコリメータを使用した。ファントムは株式会社京都化学社製Hoffman 3D Brain ファントムとCylindrical ファントムを使用し、11.3 kBq/mLの I-123水溶液を注入した(Fig.1)。解析ソフトウェアにはProminence processor ver 3.1を使用した。

Fig.1
Fig.1. The appearance of two types phantom

 

 【方法】

作成したファントムに対しSPECT収集を行った。収集条件は収集時間30min、画像再構成法はfiltered back projection (以下FBP法)を使用した従来の方法と、収集時間を10,15,20,25,30minと変化させ、画像再構成にはordered subset expectation maximization with CDR(Evolution)(以下OSEM with CDR法)を使用した二つの方法で行った(Table.1)。Hoffman 3D Brain ファントムの基底核レベル6スライスに対して後頭葉部分の灰白質と白質にROIを設置しコントラスト比の評価を行った(Fig.2a)。次にCylindrical ファントムの横断像6スライスに円形ROIを設置し均一性の評価を行った(Fig.2b)。均一性の評価はcoefficient of variance (CV)を用いた。

Table.1   Fig.2
Fig.2. The ROI setting for quantitative evaluation
Table.1. Acquisition protocols and image processing parameters
※画像クリックで拡大します

 

 【結果】

収集時間30minのFBP法と収集時間10,15,20,25,30minのOSEM with CDR法のコントラスト比の結果はそれぞれ1.36 ± 0.26, 1.69 ± 0.49, 1.74 ± 0.48, 1.80 ± 0.57, 1.82 ± 0.45, 1.83 ± 0.35となりOSEM with CDR法の方が高値を示した(Fig.3)。CVの結果は収集時間30minのFBP法では0.19 ± 0.01となり収集時間10,15,20,25,30minのOSEM with CDR法ではそれぞれ0.30 ± 0.02, 0.25 ± 0.02, 0.21 ± 0.01, 0.19 ± 0.01, 0.17 ± 0.01(Fig.4)となった。

Fig.3   Fig.4
Fig.3.
The contrast ratio between FBP and OSEM
with CDR correction
  Fig.4.
The CV between FBP and OSEM with CDR correction

Hoffman 3D Brain ファントムとCylindrical ファントムの結果画像を(Fig.5.6)に示す。

Fig.5
Fig.5. Transverse images of Hoffman 3D brain phantom
Fig.6
Fig.6. Transverse images of Cylindrical phantom

 

 【考察】

FBP法に比べOSEM with CDR法の方がコントラストは改善した。CDR補正(Evolution)を使用することで空間分解能は改善され、部分容積効果が改善したためと考える。均一性は収集時間30minのFBP法と収集時間25分のOSEM with CDR法は同等となった。CDR補正(Evolution)を使用することでノイズが抑制され、均一性が改善したためと考える。

 

 【結語】

I-123脳血流SPECTにおけるCDR補正(Evolution)を用いた短時間収集の可能性が示唆された.

 

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※お客様の使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

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