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 核医学検査装置 お客様の声
 PET/CT呼吸同期撮影における分割数についての検討
松江市立病院 放射線部
田代 真人 先生
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【背景】

PET/CT装置Discovery PET/CT 710の呼吸同期収集法Q.FREEZE*は、PETとCT双方をそれぞれ呼吸同期で収集し、位相分割した後にMotion Matchで吸収補正を行ったPET画像をリファレンスの位相画像へ非線形加算処理する事でStatic収集程度の収集時間で動きのない静止画像を得ることが可能である(Fig.1)。
本機能は、位相分割再構成をおこなう際に分割数を1-20分割まで任意に設定することができるが、当院では装置の標準設定である6分割で行っていた。
今回、呼吸同期収集を用いた体動補正Q.FREEZEによる良好な静止画像を作成するために必要な分割数について検討を行ったので報告する。

*Option

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Fig.1 呼吸同期収集を用いた体動補正Q.FREEZE概念図

 

【使用機器・薬剤】

本検討に使用した機器、薬剤を示す(Table.1)。

Table.1 使用機器
PET/CT装置 GE Discovery PET/CT 710
ファントム NEMA IEC body Phantom (Fig.2)
呼吸同期装置 ANZAI MEDICAL Respiratory
薬剤 18F-FDG
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Fig.2 NEMA IEC body Phantom (HOT部)

 

【収集・撮影・呼吸同期条件】

本検討におけるPET(Table.2)、CT(Table.3)、呼吸同期(Table.4)それぞれの条件を示す。

Table.2 PET収集・処理条件
収集時間 3.0min
Matrix Size 192×192
Gaussian Filter 4.0mm
TOF (+)
PSF (+)
OSEM Iteration2, Subset 12

 

Table.3 CT撮影条件
Scan Type Cine
Rotation Time 0.5sec
Rotation Length Full
Detector Rows 16×1.25mm
Axial Thickness 2.5mm
Cine Time Between Image 0.5sec
Cine 管電圧 120kV
Smart mA 10-20mA
Noise Index 45
Cine Duration 6Sec
Recon Type Q.AC

 

Table.4 呼吸同期条件
移動範囲 20mm

 

【検討方法】

同一濃度の18F-FDGを封入したNEMA ICE body PhantomのHOT球部(37mm,28mm,22mm,17mm,13mm,10mm)を呼吸同期装置Respiratory Phantom(以下、呼吸同期装置)に固定し、呼吸同期装置を動かさずに収集を行い、次に呼吸数を10bpm、15bpmと変化させて収集を行った。
呼吸同期装置が動いていない画像を基準とし、呼吸数を10bpm、15bpmとした収集データを2-10分割してそれぞれSUVmean、SUVsd、体積を測定して検討を行った。

 

【結果】

  • SUVmean
    Phantomを静止させて収集した画像のSUVmeanを基準として、10bpm、15bpm時のQ,FREEZE画像におけるSUVmeanの誤差を%で表した(Fig.3)。10bpmでは7以上の分割数で値が安定し、15bpmでは6以上で値が安定した。

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    Fig.3 Q.FREEZE画像におけるSUVmean誤差の変化

  • SUVsd
    10bpm、15bpm時のQ,FREEZE画像におけるSUVsdを表した(Fig.4)。SUVsdは、分割数が増えるにしたがって高い値を示した。

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    Fig.4 Q.FREEZE画像におけるSUVsdの変化

  • 体積
    10bpm、15bpm時のQ,FREEZE画像における体積の誤差を表した(Fig.5)。体積の誤差はSUVmeanと比較して少ない分割数で安定した。

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    Fig.5 Q.FREEZE画像における体積誤差の変化

 

【考察】

  • SUVmean
    呼吸数によって値の安定する分割数が異なった。これは分割されたPETデータの時間分解能が呼吸数によって異なり、補正に影響したと考えられる(Fig.6)。呼吸の仕方や波形の形にも左右されるが、臨床では患者の呼吸数や波形に注意して分割数を決める必要があると考えられる。

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    Fig.6 PET、CTの時間分解能と考えられる影響

  • SUVsd
    分割数が増えるに従いSD値が高くなった。分割数が増える事により1位相あたりの収集時間が短くなり、カウントの低下、つまりはノイズの上昇を招くことになる。その結果として、SD値が高くなることが考えられる (Fig.7)。

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    Fig.7 分割数とSD値の増加

  • 体積
    体積はSUVmeanより少ない分割数で安定した。この事から、分割数が不十分であるとPET画像上で動きの影響が少なくなっていたとしてもSUVmeanには動きの影響が含まれている可能性があると考えられる。

【結語】

呼吸同期画像作成には、患者の呼吸数や呼吸の波形など患者にあわせた分割を行う必要があると考えられる。良好な呼吸同期画像を作成するには患者の呼吸数を把握し、吸収補正用CTの時間分解能と分割されたPETデータの時間分解能が近い値となるよう分割数を変更する事が必要である。

 

※お客様の使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

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