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核医学検査装置 お客様の声 定量解析ソフトウェア「Q.Metrix」の臨床応用~肺血流SPECT~ |
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一般財団法人 住友病院 |
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当院ではSPECT/CT装置として,新たにDiscovery NM/CT 670 Q.Suite Proを導入した.本装置は従来のSPECT/CT診断に定量評価を加えることが可能であり,核医学の強みである機能評価をより客観的に評価できるようになった.その定量評価はQ.Metrixソフトウェアで可能となるが,SPECTとCTのSegmentationツールを利用し,放射性医薬品の摂取量をMBq/mlで表すことができる.さらに,患者情報(身長や体重など)を合わせることで,PET検査のようなSPECT SUVも算出できる.これにより,治療前後のフォローアップ検査や術前予測等を客観的に評価出来ることが期待される. SPECTの収集条件を下記に示す.
肺血流と肺換気検査を同一日に連続して行うことが多い為,肺換気シンチ(81mKr)に合わせコリメータはELEGPを用いている.また,30秒の息止めを複数回行うため,より安定的に呼吸停止が行えるよう酸素投与(1L/min)を行っている. 次に,CTの撮影条件を下記に示す.
上記プロトコールにて実施した呼吸停止下肺血流SPECTにおけるQ.Metrixの結果を示す(図1).SPECT画像とCT画像間にco-registrationのミスマッチは見られず,精度よく肺葉分けを行うことができた.また,肺葉分けはCT画像上の葉間に沿って行った. 一方,肺血流に限らず呼吸停止下SPECT検査は,1回の呼吸停止で1つのprojectionデータ(もしくは,1step)を収集するため比較的短時間のデータが複数回分必要となる.そのためprojection加算する際において問題となるのが,呼吸停止時に患者の吸気量が変動することである.当院では呼吸モニタニングシステムAbches(APEX Medical社)を所有しており,これを利用しSPECTとCT共に吸気呼吸停止下で施行した.Abchesを使用することによって患者は自身の吸気量を確認しながら呼吸停止ができるため,安定した呼吸停止が可能となる.
しかし,呼吸停止下SPECT収集は患者にとって大きな負担となる.肺血流SPECTを施行する患者は多くの場合肺疾患を患っており,複数回の吸気呼吸停止ができないケースが多々ある.そこで,SPECTの加算回数の最適化を定性・定量的な指標で検討した(図3,図4).図3はSPECTの加算回数による視覚評価である.今回の症例では7-8回加算以上で良好な画像が得られた.図4はQ.Metrixを用いて,定量値の変化を検討した結果である.5回加算から定量値がプラトーに達した.これらは,コリメータをLEHRより感度の高いELEGPを用いていることや,放射性医薬品を185MBq(正午検定)のもので午前中に検査を施行しカウントが十分に得られたため,3-4分相当のSPECT収集で良好な結果が得られたと考える.
最後に,吸気呼吸停止下収集と安静呼吸下収集の差を画像にて示す(図5).全ての症例で,AC(吸収補正),SC(散乱補正),RR(分解能補正)は行っていないため,純粋なSPECT画像とCT画像とのhardware co-registrationである.図5左上がSPECTとCT共に吸気呼吸停止下にて撮像した例である,co-registrationのミスマッチがほとんど無く,精度よい重ね合わせができている.その他に示す例では,SPECTとCT共に安静呼吸状態で撮像した.安静呼吸時の撮像では吸気呼吸停止時に比べると多少co-registrationミスマッチはあるが,筆者が予想していたほどの差はなかった. 今回,Q.Metrixによる肺血流SPECT定量の初期検討を行った.コリメータはELEGPを用いDynamicSPECTで7-8回以上の加算SPECT収集を推奨する.また,必ずしも吸気呼吸停止下SPECT収集を用いなくても安静呼吸下での収集で定量データが得られる可能性が示唆された.今回書ききれなかった所ではあるが,肺血流SPECT定量を行う上で問題も幾つか存在する.今後は症例を重ねながら,そういった問題を一つ一つ改善し,「患者さんにとって負担の少ない検査手法」で「精度の高い定量値」を追求して,臨床現場に活きる検査結果を提供していきたいと考える.
※お客様の使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。 |
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