![]() |
公益財団法人 東京都保健医療公社大久保病院 放射線科 池田 章人 様 |
はじめに | ![]() |
![]() |
当院では2016年5月よりSIGNA Explorer 1.5Tが設置され、豊富に搭載されたアプリケーションを様々な検査に積極的に活用しています。 ここでは、当院での取り組みとしてSilentブレインドックの試みとMAGiCの使用経験についてご紹介させていただきます。
|
Silentブレインドックの試みについて | ![]() |
![]() |
当院では、近隣の医療連携施設のご依頼を受けて一日に4名の脳ドックを実施しています。脳ドックの年間の撮像件数は全体のおよそ15%にあたり、実施件数の多い検査のひとつになっています。そこで、患者がより快適に検査を受けられるよう静音技術を積極的に取り入れています。 ![]()
このシーケンスはT2強調画像、T2-FLAIR画像、拡散強調画像に使用することができます。 ![]() 健常者であっても動いてしまうケースはたびたびありますが、「静音」+「体動補正」のメリットを持ち合わせていることにより再撮による時間ロスをなくすことが出来ています。
「Silenz」は3D Radial SamplingによるZero TE(ZTE)によって、電流がほぼ一定となり、コイルにほとんど振動が生じないため、静かな撮像ができます。このSilenzはT1強調画像や位置決め画像で使用することができます。他の静音技術に比べても非常に音が静かで、操作室にいるとまったくと言って良いほど音が聞こえません。 ![]()
以上の「Silent PROPELLER」、「Silenz」、そして従来の「ART」を組み合わせて、脳ドックのルーチンを構成しています。小児や乳幼児の検査に積極的に使われていた静音技術を、脳ドックなど成人の検査に取り入れることは患者の負担軽減のための大きなポイントになりました。前述したアーチファクト軽減など静音化以外のメリットがあるのもとても魅力的です。
|
MAGiCの使用経験 | ![]() |
![]() |
MAGiCは一回の撮像で複数のコントラスト画像を作成することができます。各ピクセルのT1, T2, PD値の定量値を推定し、TRやTE, TIをあとから設定することで理論信号強度の式から任意のコントラストの画像を作成することができます。 当院では、MAGiCを頭部のスクリーニング検査に使用しています。おもに頭痛や頭重感、ふらつきといった症状が多く、様々な疾患に対する「ふるい分け」の検査で、使用しています。およそ4分半でデータを収集したのち、T1強調画像,T2強調画像,STIR画像,T2-FLAIR画像の4種類の画像を再構成し、診断に利用しています。(図4) ![]() これらの画像は撮像前にデフォルト設定することで、スキャン終了と同時に自動的に作成されるほか、検査終了後でもTR, TE, TIなどの設定値を変えて別のコントラストの画像を作ることも可能です。作成可能な画像をすべて画像サーバに転送するのは読影医の負担にもなるため、必要に応じてT1-FLAIR画像、プロトン密度強調画像、DIR画像なども後から再構成しています(図5)。 ![]() パラメータ設定ではARTやZIP512、ASSETを使用することができます。ZIP512やASSETの設定はユーザー側で設定ができますが、当院の20分枠での使用を考えると時間短縮のために必須であるように感じます。当院のMAGiCは撮像時間を短めに設定していますが、診断医には時間と画質の両方を加味したうえで満足のいく評価を得ています。 MAGiCを使用してみて、4分半の撮像時間で得られる情報量の多さに大きな魅力を感じています。従来の頭部スクリーニング検査では、STIR画像やDIR画像は撮像していませんでした。DIR画像を再構成することによって白質病変が発見しやすくなり(図6)、また副鼻腔や乳突蜂巣の炎症などではSTIR画像を再構成することによって、頭部領域以外にも臨床に役立っています。MAGiCを使用することにより、これらの画像を検査時間が増えることなく取得し、情報を増やすことができたことは臨床的に非常に有用性が高いと考えています。当院でのプロトコルの工夫として、MAGiCを用いたT2-FLAIR画像の横断像を再構成するとともに、従来法のT2-FLAIR画像を冠状断で撮像して加えています。これにより、MAGiC像と従来法で比較するほか、撮像方向を変えることで、情報を多く得る工夫を行っています。今後、臨床症例を集め評価を重ねていくことによって有用性はさらに期待できると考えています。 ![]()
|
おわりに | ![]() |
![]() |