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 CT お客様の声
 Revolution CTを用いたTAVI術前評価

 

上尾中央総合病院
吉澤 俊佑 様
hosp
 【はじめに】

経カテーテル的大動脈弁植込み術(Transcatheter Aortic Valve Implantation:TAVI)は大動脈弁狭窄症の治療法の1つとして2013年に日本でも保険償還され、当院では翌年2014年より施行されるようになった。

TAVIの適応は様々な要因を総合して決定する必要があるが、主に高齢、脆弱などを理由に外科的な大動脈弁置換術を行うことのできない患者が対象となる。また、解剖学的な適応の決定には大動脈基部の評価とアクセスルートの評価が必要とされており、「先天性心疾患、心臓大血管の構造的疾患 (structural heart disease) に対するカテーテル治療のガイドライン」1)によるとCTを用いた評価は推奨基準の最も高いクラスIに位置付けられている。

当院ではTAVI術前検査としてGE Healthcare社製Revolution CTを用いて撮影を行っている。 本稿ではTAVI術前検査にRevolution CTの低電圧及びGSI撮影が有用であった一例を報告する。

 

 【検査における造影剤減量の必要性】

■低管電圧撮影
Revolution CTでは管電圧を70~140kVpの範囲で設定可能である。実効エネルギーがヨードのK吸収端に近い低管電圧を用いることで造影剤のX線吸収が増加し、通常の120kVpに比べ造影剤のCT値は上昇することとなる。しかし、低管電圧撮影ではビームハードニングアーチファクトや画像ノイズ増加による画質の劣化が問題となる(図1) 。
これらの問題に対しRevolution CTでは焦点指向型3Dコリメータによる散乱線抑制、VHD、MMARによるアーチファクト対策のほか、新たな逐次近似再構成法であるASiR-Vにより画像ノイズを大幅に軽減でき、低管電圧撮影での画質向上に有用となる(図2)。

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図1 管電圧の違いによるヨード造影剤のCT値と画像SD
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図2 ASiR-VによるNPSの変化
※各画像クリックで拡大します

■Monochromatic Imaging
Revolution CTではGSI撮影により、連続したエネルギースペクトルのX線から特定のエネルギー(keV)のみを取り出した仮想単色X線CT画像を再構成可能である。40~140keVの画像が再構成可能であり、前述した低管電圧撮影と同様に造影剤の減量が期待できる。

 

 【症例紹介】

・患者データ
80歳台 男性  体重:48㎏ BMI:20.5

・患者背景と検査目的
慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)と診断され、直近に行われた採血データの結果によるとeGFR値は5.6と低値を示し、高度な腎機能低下を認めた。
Severe ASのためTAVIを施行予定。術前の大動脈弁計測とアクセスルートの評価が目的の検査であるが、腎機能不良のため造影剤投与量は最小限でとの要望があった。

・検査方法
大動脈基部の評価には心電図同期撮影が必要となるため、 80kVpの低管電圧を用いて撮影を行った。
アクセスルートの評価ではGSIを用いて撮影を行い、GSI ViewerにてアクセスルートのCT値が高く、血管と周囲臓器のコントラストが最も高い画像の検索を行ったところ40keVのMonochromatic Imagingが良好であった図3)。

・造影剤投与量の設定
当院では通常、TAVI撮影時の造影剤注入条件を18mgI/kg/sec前後としている(eGFR値調整)。本症例では造影剤のSpectral HU Curveより目標CT値を予想し、造影剤を半分まで減量した。これにより、造影剤の注入条件はおよそ9mgI/kg/secとなり、結果的に造影剤の総使用量は30mlに抑えることができた。
撮影開始タイミングの決定にはTest Injection法またはBolus Tracking法のいずれかを用いて検査を行っているが、Test Injection法ではTest撮影分の造影剤を多く使用することとなるため、本症例ではBolus Tracking法を使用した。

 
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図3 TAVI症例画像
 【おわりに】

本症例では低管電圧とMonochromatic Imageを用いることにより、造影剤を大幅に減量して検査を行うことが可能であった。また、Revolution CTのWide Coverageを活かし、1回の息止めで全身評価が可能であったことからも、患者に少ない負担で検査を受けてもらうことができたと考えている。

TAVI術前検査をはじめとし、その他の検査においても造影剤の低減を求められる場面は少なからず存在する。本稿のように低エネルギー領域での撮影・画像再構成は非常に有効である反面、画質の劣化も伴うため症例や検査目的を考慮して撮影方法を選択する必要がある。

今後も更なる造影剤の低減を目指すと共に、診断能を担保した良質な画像を提供できるよう検討を続けたい。

 

薬事情報

※お客様の使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

  1. Guidelines for Catheter Intervention for Congenital Heart Disease and Structural Heart Disease. JCS2014
  2. 社団法人日本腎臓学会・公益社団法人日本医学放射線学会・社団法人日本循環器学会 編著:腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関するガイドライン2012.株式会社東京医学社,2012.
  3. 林田健太郎:海外におけるTAVIの現状と展望.月刊心臓,2014;46(4):424-431.
  4. 後藤 剛:TAVIの合併症とその対策.月刊心臓,2014;46(4):432-438.

 

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