病院紹介
聖路加国際病院はルドルフ B トイスラー先生によって明治時代に創設され、1世紀以上にわたり東京都中央区にて医療を提供し続けております。2012年以来、国際的な病院評価機構であるJCI(Joint Commission International)の認定を3年毎に受け、世界のトップクラスの病院と同等の医療安全と質の向上に取り組んでおります。
また年間1万台以上の救急車受入台数を誇り、集中治療領域が充実した高度急性期病院でありながら、緩和医療や外来診療が中心となる分野までカバーする理想的な総合病院の在り方を追求しております。
Deep Learning 3Dカメラを活用したタスクシェア
当院ではCOVID-19感染対策として検査室内にパーテーション型空気清浄機を設置し、COVID-19感染疑い患者の撮影は、原則としてポジショニング担当者とコンソール操作担当者の二人で行うことにしている。日中の人員が確実に確保できる時間帯は二人での撮影が可能であるが、他の部屋で人手が必要な際や、夜間帯の夜勤者が二人ですべての検査に対応する時間などは、やむを得ず一人で対応する場合も多々ある。
検査ごとにアルコールまたは界面活性剤入りのクリーニングクロスを使用し清掃し、患者と接触する可能性のあるスタッフはマスク・ゴーグル・手袋・防護ガウンを着用している。またクロストリジウム・ディフィシル腸炎(CD)や結核・麻疹など、普段の検査でも気を付けなければならない感染症もある。
患者ごとの清掃はもちろんのこと、スタッフの感染リスクを低減させるためには接触時の防護具、接触時間の短縮が非常に重要となる。感染の疑いがある患者または陽性が確定している患者の対応の際は、接触するスタッフ数を最小にし、検査室内に留まる時間を可能な限り短くする一助となるのがRevolution MaximaのDLカメラによるオートポジショニング機能である。
天井に設置されたDL(Deep Learning)カメラにより体厚と体外指標を認識し自動でポジショニングする機能が搭載されている。タブレットに表示される右下のボタンをタップするだけの簡単な操作である。このDLカメラによるオートポジショニング機能(以下オートポジショニング)を用いることで患者の入室から退室の時間を短縮し患者への接触時間を大幅に短縮することが可能となる。
ガントリー横に設置されたタブレット
オートポジショニング:
1 Clickでスカウト開始位置までテーブルを自動で移動させることが可能
Deep Learning 3Dカメラを活用したタスクシェア
オートポジショニング自体は非常に便利な機能ではあるが、どのような特性をもった機能であるのかを理解した上で使用することが操作者として重要であると思う。オートポジショニングの精度に関する先行研究はいくつか発表されており、その精度の高さは技師によるマニュアルポジショニングを凌駕しているとの結果になっており、当院でも技師のマニュアルポジショニングとオートポジショニングが実際にはどのような傾向にあるのかを調べてみた。
胸部撮影において、オートポジショニングの方が寝台高さ方向のばらつきが少ないことが確認できた。
オートポジショニングはカメラによる画像と赤外線により患者の体厚や形態を認識しているため、DL カメラとの距離が近くなるよう寝台を上昇させてから行うことで高い認識精度が期待できるとされている。最終的なポジショニング位置は技師が目視で確認し、寝台の上下をマニュアルで動かすことで修正が可能である。
当院のCT検査室はCT装置1 台に対して技師1名と看護師1 名を配置している。患者呼び入れを看護師が行い寝台に寝かせた際にポジショニングOKボタンのタップをしてくれることも多々ある。このように看護師や看護助手・事務などのCT ポジショニングが不慣れなスタッフであってもポジショニングOK ボタンをタップすれば検査開始までの時間を大幅に短縮することが可能である。
このオートポジショニングを実際に行っている看護師複数名に操作感を聞いてみたところ、「初めは押して良いかわからなかったが、押すだけなので問題ない」「ぶつかりそうな場合は自動で(寝台が)上がることがないので安心して使用している」「早く撮影に移れるのでなるべく押している」などポジティブな意見が多く聞かれた。
総括
Revolution Maximaの導入に伴い、DLカメラを使用してみて感染症対策はもちろんのことCT検査室内におけるタスクシェアリングにも非常に有用であると感じました。DLカメラは放射線技師以外の職種の方が使用しても放射線技師と同等以上のポジショニング性能を兼ね備えており、被写体とガントリーが接触する可能性がある場合は、接触可能性のある部位を予測検知するなど、安全対策もしっかりと取られた機能であるといえます。