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Revolution Maxima

JB09919JA

※本カスタマーボイスはお客様の使用経験に基づく記載です。
製品の仕様値として保証するものではありません。


製造販売:GE ヘルスケア・ジャパン株式会社
販売名称:全身用X線CT診断装置 BrightSpeed 医療機器認証番号: 217ACBZX00002000
販売名称:Revolution Maxima(レボリューションマキシマ 医療機器認証番号: 301ACBZX00013000

市中民間救急病院における
多岐にわたるRevolution Maximaの活用

一般社団法人巨樹の会 新武雄病院
医療技術部 放射線科 萩田 智明 様



病院・CT室紹介
一般社団法人巨樹の会新武雄病院(以下当院)は、2010年2月に佐賀県武雄市立武雄市民病院から運営委譲され開設し、2011年6月に現在の佐賀県武雄市内の中心部である国道34号線沿いに新築移転しました。
現在の病床数は195床(急性期141床、回復期54床)であり、放射線科には一般撮影装置、MRI装置、および血管造影装置各2台、CT装置、透視装置、マンモグラフィー装置、および骨密度測定装置各1台の設備があります。CT装置は2022年10月に3D Deep Learningカメラ(以下3D DLカメラ)が搭載されているGEヘルスケア社製64列多列検出器CT装置 Revolution Maximaへ更新しました。(Fig. 1)

CT検査は月に約1000件行っており、その内容は脳卒中・発熱患者・全身多発外傷患者などの救急処置室 (ER) 依頼の検査から頭部CT Perfusionや心臓CTAなどの精密検査まで、多岐にわたっています。当院ではそのすべてをRevolution Maxima1台で行っています。


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Fig.1 (上) 当院外観
(下) 当院に設置されたRevolution Maxima



救急医療における活用

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Fig. 2 3D DLカメラの挙動



当院は佐賀県杵藤地区(佐賀県武雄市・鹿島市・嬉野市、杵島郡大町町・江北町・白石町、および藤津郡太良町)の救急医療を担う中核病院であり、24時間365日体制で年間約2000件の救急車を受け入れています。CT室は救急車搬入口およびERのすぐ隣に位置しており、一般外来患者とは異なる動線で迅速な検査が可能となっています。

Revolution Maximaは7.0MHUの大容量管球と560mAの最大管電流、1890mmのテーブル移動距離を擁しており、多発外傷患者の全身の造影CT検査や多くの患者の連続した検査もスムーズに行うことが可能となっています。また、天井には自動ポジショニングを行うための3D DLカメラが設置されています。3D DLカメラは自動で撮影範囲決定のための基準点設定や、被写体厚を加味した高さ設定を行う機構です。(Fig. 2) ガントリ横のモニタ画面を1度タップするだけでオートポジショニングが完了し、スループットの向上に寄与しています。なお、3D DLカメラは患者に接触する回数・時間が少なくなることから感染対策に、寝台の高さが安定することからFOVや被ばく線量の適正化・安定化にも寄与しています。

多発外傷症例などにおいては3D作成を行っています。新たに可能となったボリュームイルミネーション処理は、均一なライティングによって精密に三次元構造を再現する処理方法です。 以前のボリュームレンダリング処理よりもより実物の骨に近い質感を表現可能となっており、光沢が抑えられ、表面構造がより詳しく観察できるため、ズレのない微細な肋骨骨折の評価などに有用であり、整形外科医師より高い評価をいただいています。(Fig. 3)


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Fig. 3 骨3D画像 ボリュームレンダリングとボリュームイルミネーション



CT-Perfusion
Revolution Maxima でのCT-Perfusionは、ボリュームシャトル撮影を使用することによって従来の2倍である8cmまで観察領域が広がりました。解析は同じくGEヘルスケア社製ワークステーションAdvantage Workstationのアプリケーション・CT Perfusion 4Dで行い、Cerebral Blood Volume (CBV), Cerebral Blood Flow (CBF), Mean Transit Time (MTT), Time-to-maximum (T-max) などの各パラメーターのカラーマップに加え、各パラメーターから予測される
脳梗塞領域・ペナンブラ領域の画像を作成することができます。その処理時間も以前よりかなり短縮されており複雑な処理をすることなくほぼ自動的に作成することができます。(Fig. 4)
現在当院においては急性期脳梗塞症例の他、バイパス術前・術後の評価、
クモ膜下出血術後のスパズムの評価などに活用しています。


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Fig. 4 CT-Perfusionカラーマップと脳梗塞・ペナンブラ領域表示画像



冠動脈CTA
Revolution Maximaでは冠動脈CTAも撮影しており、ステント内の詳細な評価には高解像度再構成モードを使用するなどの工夫を行っています。Work Stationに搭載されたSnapShot Freeze 2.0(以下SSF2.0)機能を用い、不整脈や高心拍のために画像がぶれた場合でも補正することが可能です。SSF2.0は心構造全体をターゲットとして3次元的にボクセルのトラッキングを行い、時間軸での変化量を、方向依存性とともに導き出してモーション補正を行う、GEヘルスケア社の特許技術です。SSF2.0では複雑な処理を行う必要はなく、撮影後、目的のphaseに加えてその前後のphaseの再構成、ワークステーションへのデータ転送、ワークステーションで補正された画像が作成されるまでがすべて自動で行われます。これまでに我々がSSF2.0の処理を行った画像と行っていない画像を比較検討した結果では、呼吸停止が出来ていない症例を除いてはすべての症例においてぶれが補正されており、特に動きの大きい右冠動脈においてより効果が認められました。(Fig. 5)


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Fig. 5 SnapShot Freeze2.0(SSF2.0)技術と実際の症例画像



まとめ
Revolution Maximaはスループットが求められる救急外来における検査から、高い精度・画質が求められる精密検査まで、多岐にわたる臨床ニーズに1台で応えることができます。今後も機能を最大限に活用し、よりよい検査を行っていきたいと思います。


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萩田技師とRevolution Maxima