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Revolution Apex Elite

JB11054JA

※お客様のご使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

製造販売:GE ヘルスケア・ジャパン株式会社
販売名 マルチスライスCTスキャナ Revolution 医療機器認証番号: 226ACBZX00011000
販売名 AWサーバー 医療機器認証番号: 22200BZX00295000
販売名 アドバンテージワークステーション 医療機器認証番号: 20600BZY00483000

より高精度と低侵襲性の体制で臨む、シン・時代

医療法人社団健心会 みなみ野循環器病院
放射線技術部 鈴木 政史 様



施設紹介
みなみ野循環器病院は東京都八王子市に位置し、「心臓血管の病気に対する検査から治療、生涯にわたる再発予防まで一貫して対応する」ことを目的に、地域医療に貢献すること目指しています。私たちは常に先進技術を追求し、最高水準の循環器医療をより非侵襲的に提供することを目指して業務に取り組んでいます。また、心臓CTは形態評価・機能評価を高い精度で行えるワンストップ検査としての役割を担っており、当院の心臓部として中心的な存在となっています。


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フラグシップCT・Revolution Apex Eliteの導入
当院では、2024年1月にGEヘルスケア・ジャパンのフラグシップモデルであるRevolution Apex Eliteを導入しました。
このCTは、高分解能画質・高速化・カバレージ・デュアルエナジーによる物質弁別(機能評価)・検査効率といったCTに求められる全ての要素を、世界最高水準で追求した機種です。
70kVpで最大1300mAの大線量出力やディープラーニング再構成による高画質化はもちろん、AIや自動化技術を活用した効率的な検査ワークフローの提供など、当院における多岐にわたる臨床ニーズに応えてくれています。


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心臓検査の包括的サポート機能:Smart Cardiac
Revolution Apex Eliteで最も特徴的なのは、最速0.23秒のローテーションタイム、160mmのカバレージ、ボリューム撮影と組み合わせることで、時間分解能の高い心臓検査を得意としていることです。心拍動によるブレを抑えることはもちろん、できるだけ低被ばくで1 Beat以内で心臓を撮影するために、以下のようなサポート機能も搭載されています。

Auto Gating:
患者様の心拍状況から撮影条件を自動選択する機能。
目的別に事前設定ができるため、撮影中の操作ストレスや操作時間を削減できる。

Smart Arrhythmia Management:
スキャン中に不整脈を感知し照射を回避/再撮影を行う機能。
心位相を撮り逃すことがないため安心してスキャンに進むことができる。

Smart Phase:
撮影後の画像より最適性心位相を自動再構成する機能。
心位相検索作業を行わないで済むので、業務時間が短縮し他の業務に集中できる。

SnapShot Freeze2.0:
指定の心位相でモーション抑制画像を生成する機能。
心構造を含め高精度な静止画像を得られるため、治療プランニングにも有用な画像を提供できる。



ワークフローへのインパクト:高レベルでの検査標準化
前述のSmart Cardiac機能のひとつであるAuto Gatingは、本スキャンの撮影直前の患者様の心拍数やその変動度合いを参考に、事前にパーソナライズされた撮影条件を自動適用する機能です。この機能を活用することにより、誰が撮影しても、最適化されたエキスパートの撮影条件を使用した検査運用ができるようになりました。
当院では、Auto Gating機能を心拍数に応じた異なる構成で設定しています。具体的には、心拍数60bpm以下の場合はターゲット心位相を70-80%に設定し、高心拍の場合は40-60%、不整脈のある場合には1心拍または150-1000msecなど20通りの構成を用意しています。さらに、通常の精査や術前精査などの目的別に設定を行っており、オペレーターに関わらず最適な検査を再現できるようになっています。
また160mmボリュームscanが可能となり、以前のCTよりも被曝線量を最大で1/10程度に減少することも可能です。そのため、心筋遅延造影などの追加撮影のハードルが低くなりました。
Auto Gating機能をオフにしてマニュアル設定を行うケースもあり、被曝をさらに低減するためにターゲット心位相を75%に限定したり(図1)、壁運動の情報が必要な場合には1心拍の部分をターゲット心位相以外で線量50%以下に設定することで(図2)、目的に応じた撮影を目指しています。


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(図1)ターゲット心位相75%のみCTDIvol:5.0mGy


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(図2)ターゲット心位相75%と線量50%低減の0-110% CTDIvol:16.1mGy



クリニカルへのインパクト:ステント内腔を高分解能に評価
撮影時にHigh-Resolution modeを選択することで、X線焦点を偏向させながら秒間8914viewのサンプリング収集による高分解能画質を得ることが可能です。このモードでは高精細な画像を取得でき、高度石灰化やステントに対してもアーチファクトの少ない画像が得られています。
特にステント評価に対しては、高周波強調関数HD Edgeを使用することで、通常関数のHD Stndに比べてステント内腔の描出能が向上しました。これにより、冠動脈造影(CAG)と比較して、より精度の高い画像を医師に提供できるようになりました(図3、4)。空間分解能の評価としてTTFを計測すると、HD Edgeは高空間周波数帯域で優れた性能を示し、アンダーシュートが発生しない特性を持つことが確認できます(図5)。
患者様の体格によってはノイズが増加することがあるため、ステント留置後の症例に対しては必ずHD EdgeとHD Stndの二つのデータで用いて解析しています。胸部の診断を縦隔条件と肺野条件で行うように、冠動脈も非石灰化プラークや石灰化、ステント内腔評価など目的に応じた画像再構成を実施して診断する必要があると考えています。医師からもHD Edge画像を要望されるケースも増えており、ステント内腔の評価が不十分なためにCAGが実施されるケースは減少しています。


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(図3)
左:HD Stndで再構成した画像
右:HD Edgeで再構成した画像


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(図4)
HD Edgeでステント内再狭窄を認められ、
CAGにおいて同部位に狭窄が確認された。


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(図5)
Stnd : Normal Modeの関数
HD Stnd, HD Edge : High-Resolution Modeの関数



オペレーションへのインパクト:検査全体での業務効率の向上
GEHC CTには心臓撮影後のモーション抑制技術として、動態ベクトル解析を用いたモーション抑制アルゴリズム「SnapShot Freeze 2.0」(以下SSF2.0)があります。SSF2.0では、ターゲット心位相とその前後の心位相、合計3つの心位相のデータを用いて、心臓を構成する各ボクセルの動態を3次元的にベクトル解析し、変化量をフィードバックして静止画像を生成します。これに0.23秒ローテーションを組み合わせることで、より高精度な静止画像が取得可能となりました。
当院では、心拍に依存せず、多くの症例でβブロッカーを使用せずに撮影を行っています。その効果として患者様がCT室に滞在する時間が5分以上短縮することができています。また、以前のCTでは、モーションアーチファクトにより評価が困難である症例では、しばしばCAGによる精査が必要でしたが、0.23秒ローテーションとの併用により、ほぼすべての症例でモーションアーチファクトがない画像が得られ、不必要なCAGを減少させることができました(図6、7)。
心臓CTの件数は前年度と比較して増加傾向にありますが、診療放射線技師の負担は軽減されたと感じています。Smart Cardiac機能の一部であるSmart Phase機能により、撮影後に手動で位相を探す必要がなくなり、特に当直などで1人で検査を実施する際には、自動的に最適な位相を検索してくれるため、その間に他の業務を行うことができ、業務効率が向上しています。
また、高画質なデータから画像解析が可能となったことで、慢性完全閉塞のカテーテル治療などにおいて、側副血行路が明瞭に描出できるなど、当院の医師からも有用性を理解していただいています。


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(図6)
・平均心拍数107bpm、不整脈(+)、息止め困難の症例
SSF2.0処理を施した結果、
冠動脈および心筋のモーションアーチファクトが補正された。



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(図7)
・Bentall術+上行置換術後、背部痛の症例
単純CT施行後、下行大動脈に新たな解離所見が認められた。
全身のHelical scanによる造影検査を行う前に、上行大動脈も含めて評価するため、
模擬心電図を用いてAxial Scanを追加した。
これにより、上行大動脈や冠動脈の評価も可能となった。



最後に
前述のβブロッカー使用対象の減少と検査効率の向上について、当院のβブロッカー使用本数は、前年度同期間(1月~8月)で調べた結果、2023年は303本、2024年は182本でした。心臓CT件数あたりの使用頻度は、2023年が約20%、2024年が約10%であり、短期間で使用頻度が半分に減少しました。また、βブロッカーの使用は、心拍低下によって被ばくの低減が可能になることを目的としたケースに限られてきています。このようにさまざまな相乗効果によって検査のスループットの向上と、より低侵襲な検査の実施によって、検査件数の増加が見込まれています。
当院ではRevolution Apex Eliteの導入により、0.23秒ローテーション撮影とSSF2.0の併用による時間分解能の向上に加え、Hi-Resolution ModeでのHD Edgeの使用によって空間分解能が向上し、高精度な心臓CTが行えています。この効果として、より低侵襲な心臓CTの実施と不必要なCAGの減少により、患者様の経済的負担や身体的負担が大幅に改善できていることを実感しています。

今後、 我々はRevolution Apex Eliteを用いた心臓CT検査を極めて行くことで形態評価のみならず、心筋負荷perfusion検査やモーション解析などから得られる機能評価を加えた、「シン・心臓CT検査」を実施することを目指していきます。


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(図8)CTスタッフの皆様