2017年10月19日(木)~21 日(土)の3日間、第45回日本放射線技術学会秋季学術大会が開催され、GEヘルスケア・ジャパン共催のランチョンセミナー「GE Advanced Technology in MRI & CT」(座長に金沢大学医薬保健研究域保健学系 教授 市川 勝弘先生)が開催された。
今回は本セミナーでの発表内容を抜粋し報告する。
Key words
・Single Energy CTと同様のワークフロー、被ばく量を実現
・Dual Energy CT検査の障壁が無くなり、ルーチン使用が可能
・高精度なヨード密度値計測が可能
・高精度な各種密度値を用い治療の効果判定へ
図1:各種密度値による性状評価についてMiletoらの論文紹介
Dual Energy撮影であるGSIで得られる画像は、大きく分けて単色X等価画像と物質弁別画像の2つがある。単色X等価画像は、低keV画像を用いた造影剤量低減、コントラスト強調、高keV画像を用いたアーチファクト低減等のメリットがある。当院でも2012年よりDiscovery CT750 HDが稼働をしており、単色X等価画像を用いた検討、臨床応用を行ってきた。
そして現在、Revolution CTでのDual Energy 撮像、GSI Xtreamが可能となり、特に注目しているのが、物質弁別画像を用いた研究、臨床応用である。
物質弁別画像ではヨード密度画像、脂肪密度画像等各種密度画像や各密度値の計測が可能である。Miletoらは副腎結節において、CT値では判別できないLipid Poor adenomasとnon-adenomasをヨード、脂肪、水の各密度値を用いることで弁別可能であることを報告している1)(図1)。
図2:ヨード密度値の計測精度について※投稿前データのため、具体的係数・数値は割愛
当院でもこの物質弁別画像を用いた定量解析を行うにあたり、ヨード密度値の精度をGammex社製Dual Energy Phantom(Model 472)を用いて評価を行った。結果として相関係数はGSIもGSI Xtreamも高い値を示した。ヨード密度値の精度に関してはGSIも高い精度であったが、 GSI Xtreamでは更に高い精度であり、ヨード密度の計測値を信頼して良いと考えている(図2)。
この高精度な物質弁別・計測を実現するために、Revolution CTでは従来より3倍の高精度スイッチングを実現した新型ジェネレーター、散乱線を効果的に抑制する3Dコリメーターらを搭載している。これらのハードウェア技術を有しているメーカーはまだなくGSI Xtreamの精度は群を抜いていると感じている。
講演内容のサマリー
また課題であったワークフローは飛躍的に改良しており、撮影速度は最速245㎜/秒、画像再構成時間は2500枚をわずか58秒と通常検査同等以上のワークフローであり、オペレーターも全く違和感なくGSI Xtream検査を行えている。
現在当院では、膵癌化学療法効果判定にヨード密度値を活用する研究を行っており、2017年のRSNAでその成果を報告した。ヨード密度値は腫瘍の性格・性状を評価するのに有用で、治療に移行する際の判断基準に大きく貢献できる可能性がある。
今後も日常検査に役立つ活用と、新たな画像表示・解析・定量化の検討を続けていく。
満席のセミナー会場
座長市川先生(右)と演者三好先生(左)