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Revolution CT

JB09279JA

※本カスタマーボイスはお客様の使用経験に基づく記載です。
製品の仕様値として保証するものではありません。


製造販売:GE ヘルスケア・ジャパン株式会社
販売名 マルチスライスCTスキャナ Revolution 医療機器認証番号:226ACBZX00011000
販売名 アドバンテージワークステーション 医療機器認証番号: 20600BZY00483000

SnapShot Freeze2.0の様々な症例に対する
有用性について

近畿大学病院
中央放射線部 井上 亮 様



病院紹介
当院は大阪府大阪狭山市に位置し、35の診療科・病床数919床を有する、南河内医療圏における3次救急病院です。2025年には創立50周年を迎え、堺市への移転も予定しています。
全スタッフ数は2462名で、医師510名、看護師978名、放射線技師53名で運営しています。
またCT装置は、通常診断用として3台、救急災害棟に1台の、計4台で診療に当たっています。
2022年1月、GEヘルスケア社のRevolution CTに更新され、救急を除いた診断CT3台では、単純と造影 を併せて約200件/日の検査を実施しています。


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当院で稼働しているRevolution CT



Revolution CTとSnapShot Freeze 2.0の相乗効果
GEヘルスケア社の256列CTであるRevolution CTを用いた心臓CTは、最大で1日14件程度の心臓撮影のうち、午前の予約枠で使用しています。
撮影後、自動で最適位相を探し出す『Smart Phase』は非常に優秀で、オペレーターの手を煩わすことなく、スムーズな検査へと繋がっています。
心臓撮影に従事される方なら、撮影後に「この収集フェーズで画像は大丈夫だろうか」という不安に駆られたことがあるかと思いますが、その悩みも『SnapShot Freeze(以下、SSF)』で解消されます。
モーション補正について、以前の『SSF1.0』のアルゴリズムで補正されるのは冠動脈のみでしたが、今回当院に導入された『SSF 2.0』では、冠動脈だけでなく心臓全体を認識し、大動脈弁や僧帽弁などの各弁や心筋など、心臓全体のモーションに対してもモーション抑制効果があり、画像提供のスピードや画質、そして診断の幅が広がりました。
また経カテーテル的大動脈弁置換術(以下、TAVI)の術前検査には欠かせない心臓造影CTですが、循環器内科・心臓血管外科の先生方にも好評を得ており、症例によっては『装置はGEで撮影』と指定が入ることも多々あります。



検査スループットの向上
Smart PhaseとSSF2.0に信頼を置けるので、撮影の設定には基本的には困りません。1年目の経験が数ヶ月程度の技師であっても、理論を理解していれば撮影は非常に容易です。また検査の所用時間も非常に短く、一連の肝臓Dynamic撮影より短時間で検査が完了する場合もあります。
Smart PhaseとSSF2.0の導入によって、大幅な検査時間の短縮が可能となりました。
撮影後の画像確認は、息止めと造影タイミングの確認で十分であり、Smart Phaseが自動で選定するフェーズとSSF2.0に依存しても、VR作成に困ることはほとんどありません。
また当院では、診察当日に紹介状を持って来られた初診の患者であっても、心臓造影CTが診察当日にオーダーと撮影できる枠を設定しています。
撮影の1時間以内には結果が判明し、即日入院や心臓カテーテル治療と繋がることもあり、迅速に診断ができる画像を提供することが可能なSSF2.0は、どの医師からも非常に好評です。


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図1 当院における心臓CT検査ワークフローの比較
※紫字部分は自動機能



検査スループットの向上
HR65 を超えるような場合、従来ではβ遮断薬を使用して心拍を低下させてから撮影することが多々ありました。
ところがSSF2.0が秀逸なため、β遮断薬が使用できない症例や薬を使用しても効果が得られないような高心拍症例においても、SSF2.0は期待を裏切らずにモーションを補正することが可能です。
図2は自身の撮影で最も高心拍かつ心拍も不規則な症例です。prep撮影時のHRが210以上で、撮影時HRが153~199の症例ですが、SSF2.0で見事に補正されていた症例です。

小児も例外ではありません。図3は、4歳の男児で、両大血管右室起始等で複数回手術している症例です。
子供は大人に比して高心拍であり、今までも心臓全体の構造や大血管の評価は比較的容易でしたが、冠動脈となるとやはりモーションが問題となっていました。
しかしSSF2.0では、図3のようにしっかりと補正され、起始部の他、冠動脈の評価ができる画像を得ることができました。これは川崎病患者における冠動脈の評価にも大変有用であると考えます。
Revolution CT導入前のHelical撮影の場合、特に高心拍症例ではヘリカルピッチを細かくデータを取得する必要があり、これが被ばく線量の増大に繋がっていました。
Revolution CTでは、高心拍であっても最大で1心拍撮影すれば画質に期待が持てるため、むしろ高心拍の方がX線の照射時間が短くなるため、逆に被ばく線量が低下することもしばしば認められます。
CTの診断参考レベル(DRLs2020、50~70kg)において、冠動脈CTのCTA本スキャンのDLPは1300 mGy・cmと示されていますが、これを上回ることはありません。
ただし、不整脈を伴う症例における撮影条件設定には少し注意が必要です。


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図2 SSF2.0を用いた高心拍症例(HR 153~199)


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図3 SSF2.0を用いた小児症例(4歳児)



FFRCTとの相性
FFRCTは心臓カテーテル検査に比して低侵襲でかつ簡便に判断できる冠動脈評価方法の一つです。
FFRCTは『2018年改訂版 慢性冠動脈疾患診断ガイドライン』において、クラスⅡbでエビデンスレベルBでしたが、『2022年JCS ガイドライン フォーカスアップデート版 安定冠動脈疾患の診断と治療』では、クラスⅡaでエビデンスレベルBとなりました。
なおFFRCT解析の所要時間は平均5時間とされています。良好なフェーズを1回送信するのみでスムーズに解析完了することが望ましいですが、SSF2.0を使用できない装置で撮影した場合、この『動きのないフェーズ』を探すのに苦労することがよく見られ、また解析不可で終わってしまうこともあります。これに対して、Revolution CTで撮影しSSF2.0を使用したデータでは、390症例中、解析不可となった症例は今までに2例のみで、解析率99%以上と高い精度となっております。



TAVIとの相性
TAVIにおいて弁輪の計測には心臓CTが欠かせません。当院の撮影では、単純+造影1心拍分+Aortaの撮影を行い、心臓全体とアクセスルートの評価をしています。
収集は1心拍分撮影することによって、大動脈弁の動きを4Dで表示することが可能です。4D画像作成のために、大動脈弁付近の拡大再構成でSSF2.0を使用せずに、1心拍分5%刻みでも作成しています。
次に弁輪の計測です。
大動脈弁の開放から閉鎖は、収縮期のⅡa~Ⅱbであることから、弁輪の計測には駆出期の25~35%において2%刻み、関数はStandard、Deep Learningのmiddleを使用し、SSF2.0を使用した画像を提供しています。

SSF2.0で作成された画像は、順次Advanced Workstationから自動で別の画像サーバーに送信され、医師が迅速に術前計画を行っています。これにより、緊急TAVIにも対応が可能で、患者のQOL向上にも寄与しています。
収縮期は心拍にもよりますが、HR60程度における収縮期の場合、冠動脈は静止した画像が得られにくい心拍です。
しかしSSF2.0を利用することによって、様々な心拍数・フェーズにおいてモーションの影響を受けにくい画像を提供することができます。これは緊急手術でTAVIとなる場合において、冠動脈評価を含め、石灰化の評価など、非常に役立っています。
またHR60において、冠動脈は拡張中期である75%付近でモーションの影響が少ないですが、画像のように、どのフェーズでSSF2.0の画像を作成しても冠動脈の評価が可能な画像を提供することができます。


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図4 SSF2.0を用いた各心位相でのAxial画像



総括
SSF2.0は心臓撮影のハードルの高さを下げるツールだけでなく、高心拍においても優れたモーション補正ツールであると言えます。
また、オペレーターがフェーズを探す必要がほぼ無く、全てのスループットの向上が見込まれます。
しかし現状では、Volume撮影でMetal Artifact Reduction(MAR)が使用できないため、ペースメーカー等のデバイス、胸骨ワイヤー等の症例には若干弱い面があります。これらが解決されることによって、SSF2.0はさらに強力なツールとなることは間違いないと確信しています。