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Revolution CT

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循環器科ソリューション

JB13595JA

※お客様のご使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

製造販売:GE ヘルスケア・ジャパン株式会社
マルチスライスCTスキャナ Revolution 認証番号:226ACBZX00011000
アドバンテージワークステーション 認証:20600BZY00483000

高齢化社会における
弁膜症と心臓CTの重要性

神戸大学医学部附属病院
放射線診断・IVR科 准教授
橋村 宏美 様

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はじめに
人口の高齢化に伴い、弁膜症の有病率は著しく増加している。18歳から44歳では0.3%だが、75歳以上では11.7%と急増し、中でも大動脈弁疾患よりも僧帽弁疾患の有病率が高いことが知られている[1]。僧帽弁疾患のうち、かつて主流であったリウマチ熱を原因とする僧帽弁狭窄症は、衛生状態の改善により高齢者においても減少傾向にある。しかし、社会の高齢化に伴い、僧帽弁閉鎖不全症(Mitral Regurgitation: MR)の症例は増加の一途をたどっている[2]。



治療の最適化に不可欠な術前評価
症候性で重度のMRに対する主要な治療法は僧帽弁手術である[3]。特に、弁を温存する僧帽弁形成術は、置換術に比べ一般的に良好な予後と合併症が少ないことから選択されることが多い[4]。さらに近年では、経皮的僧帽弁接合不全修復術(Mitral Transcatheter Edge-to-Edge Repair: M-TEER)などの低侵襲な手術が台頭しており、術前の正確な形態学的・機能的特性評価が、治療成功の鍵を握る[5-7]。
当院における僧帽弁形成術では、loop techniqueによる人工腱索再建術が選択されることが多い。人工腱索再建に際しては、人工腱索を固定する乳頭筋の選択や形態の把握、ならびに推定人工腱索長の評価を、術前心臓CT検査を用いて行っている。形態のバリエーションが多い乳頭筋と弁尖・腱索との位置関係を術前に正確に把握することは、手術時間の短縮のみならず、僧帽弁形成術の成績向上および若手心臓外科医における手技の再現性確保の観点から極めて重要である。近年、低侵襲心臓手術(Minimally Invasive Cardiac Surgery: MICS)を希望する患者が増加しており、術前に精緻な形態学的情報を取得することは、僧帽弁形成術の完成度を高めるのみならず、手術時間の短縮や患者に対する手術侵襲の軽減にも寄与すると考えられる。



革新的なモーション補正技術が切り拓く心臓CT:
高精度な弁構造および弁下組織の可視化
僧帽弁は、弁輪、弁尖、腱索、そして乳頭筋を含む弁下組織からなる複雑な構造体である。これらの構造を包括的に把握することは、従来の二次元(2D)経食道心エコー(TEE)では困難であり、三次元(3D)TEEでさえも、その狭い視野に限界がある。これに対し、心臓CTは、左心室から左心房に至る広範な解剖学的構造を一度に評価できる強力なツールである。しかし、従来の心臓CTでは、心拍数や不整脈、そして心臓自体の動きに起因する画像のアーチファクトという大きな課題があった。
この課題に対応するため、心臓の動きを補正するモーション補正アルゴリズムが開発された。特に、新たにリリースされた第2世代モーション補正アルゴリズム「SnapShot Freeze 2.0 (SSF2)」は、その前世代のアルゴリズム(SSF)を凌駕し、従来の冠動脈に加え、その他の心臓構造もモーション補正の対象となっている。すでに大動脈弁や高心拍症例における冠動脈の描出能の改善が報告されている[8, 9]。
今回、当院で経験した僧帽弁閉鎖不全症術前CTのSSF2の使用経験について述べる。



僧帽弁閉鎖不全症術前の包括的心臓CTプロトコル
当院では、Revolution Apexを導入し、以下のプロトコルで撮影している。

(1) 胸腹部CT(単純)
(2) 冠動脈CTA
(3) 大動脈CTA
(4) 胸腹部CT(平衡相)
(5) 心筋遅延造影CT


冠動脈CTAは、冠動脈のスクリーニングのみならず、僧帽弁および弁下組織の解剖学的情報を得るため、One Volumeスキャンとprospective gatingによる心電図(ECG)同期を用いて全心位相のデータ収集を行っている。管電圧と管電流は、GE HealthCareのAuto Prescriptionを使用し、管電圧80 kVp、noise index 24の基本条件で自動的に設定、画像再構成にはpre-ASiR-V(GE HealthCare)70%を選択している。

我々の僧帽弁閉鎖不全症術前のCT検査に関する検討において、検査時心房細動の症例が34%であると報告しているが[10]、その高率に合併する不整脈は通常の心電図同期ヘリカルスキャンによる冠動脈および弁膜症の評価を困難にする。その点、Revolution Apexは、Z軸方向に16㎝という広い検出器幅を有しているため、1心拍での撮影が可能である。One Volumeスキャンで、prospective gatingによる心電図同期法を用い、さらに心電図R-R間隔の120%から最大で3心拍分を撮影することにより、冠動脈評価において急な心拍変動による至適心位相のデータ欠損の心配なく、確実にデータの収集が行える。また僧帽弁については良好なシネ画像が得られる。一方で、このprospective gatingによる心電図同期法では被ばく線量の増大が懸念される。しかし、我々の検討では、平均年齢は65.3歳、平均体格指数(BMI)は25.27 kg/m2という患者背景において、冠動脈CTAの実効線量は 4.58± 2.59 mSvであり[10]、本邦における診断参考レベル10.78 mSvに対して低線量での撮影を実現した[11]。



僧帽弁描出におけるSSF2の評価
僧帽弁閉鎖不全症の診断に寄与する収縮期の前尖・後尖の各セグメントの描出能について、我々が行った5段階の視覚評価(4: 弁尖全体がブレなく描出される~0: 描出されない)では、motion correctionを施行していない画像(以下、STD)および第一世代のSSFよりもSSF2の画質スコアが有意に高かった[10] (図1,図2)。第一世代のSSFは冠動脈のブレのみを補正するのに対して、第二世代であるSSF2では冠動脈に加え心臓内の他の構造物の動きも補正の対象としており、僧帽弁の描出能が向上したものと考えられる。


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図1  僧帽弁逸脱症術前症例 心拍数 110 bpm.
a-c: 心電図R-R 30 % (収縮期)におけるA2/P2三腔断像 
d: 左房から僧帽弁を見たsurgeon’s view
e: 僧帽弁から左室内腔を見たsurgeon’s view
本症例では、三腔断像および3D surgeon’s viewともに後尖P2の逸脱が確認できる。
撮影時心拍は高かったが、STD(motion correctionなし)、SSFと比較して、
SSF2では後尖のアーチファクトが低減し、弁尖全体が描出されている。



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図2 僧帽弁各セグメントにける再構成方法による画質スコアの比較
ns, not significant
** P < 0.0001
*P < 0.05



心拍数および不整脈による影響
心電図R-R間を5%間隔に分割し作成した20心位相の画像のうち、僧帽弁閉鎖不全症の診断に寄与する収縮期画像を用いた我々の検討では、僧帽弁の描出能に心拍数による有意差を認めなかった[10]。
僧帽弁閉鎖不全症で高率に合併する心房細動に関しても、SSF2では心房細動の有無と画像スコアに有意差を認めなかった[10]。


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図3 異常乳頭筋を伴う僧帽弁逸脱症症例
a: 二腔断像
b: 左室短軸像
後交連部には逸脱と5㎜のmitral annular disjunctionを認める。
前・後乳頭筋の間に低形成の異常な乳頭筋を認める。



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図4 閉塞性肥大型心筋症に対する径大動脈心筋切開術前のCTで乳頭筋異常が指摘された症例
a: 三腔断像
b: 二腔断像(矢状断像)
前乳頭筋が腱索を介さず、直接僧帽弁前尖に付着している



今後の展望
SSF2がもたらすモーション補正技術は、心臓の動きによるブレを抑制し、心拍数や不整脈に依存しない高精細な弁構造の描出を可能にしたと考えられる。Revolution ApexによるOne Volumeスキャンは、低被ばく化技術と相まって、遅延造影においても良好な心筋画像の獲得に寄与することが今後期待される。近年の弁膜症診療は、弁の形態だけでなく、予後を規定する心筋の線維化を捉える「心筋疾患としての評価」が不可欠な時代にある。SSF2を基盤とした術前CT診断は、一度の検査で弁と心筋の両面を解明する次世代のスタンダードとなり、弁膜症診療の質をさらに向上させる鍵となるだろう。



参考文献
1. Nkomo, V.T., et al., Burden of valvular heart diseases: a population-based study. Lancet, 2006. 368(9540): p. 1005-11.

2. Iung, B., et al., A prospective survey of patients with valvular heart disease in Europe: The Euro Heart Survey on Valvular Heart Disease. Eur Heart J, 2003. 24(13): p. 1231-43.

3. Vahanian, A., et al., 2021 ESC/EACTS Guidelines for the management of valvular heart disease. Eur Heart J, 2022. 43(7): p. 561-632.

4. Kim, J.H., et al., A Review of the Use of Cardiac Computed Tomography for Evaluating the Mitral Valve before and after Mitral Valve Repair. Korean Journal of Radiology, 2017. 18(5): p.773.

5. Shanks, M., et al., Mitral valve morphology assessment: three-dimensional transesophageal echocardiography versus computed tomography. Ann Thorac Surg, 2010. 90(6): p. 1922-9.

6. Barreiro-Perez, M., et al., Imaging in Transcatheter Mitral Valve Replacement: State-of-Art Review. J Clin Med, 2021. 10(24).

7. Otto, C.M., et al., 2020 ACC/AHA Guideline for the Management of Patients With Valvular Heart Disease: Executive Summary: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Joint Committee on Clinical Practice Guidelines. Circulation, 2021. 143(5).

8. Zhang, Y., et al., New Whole-Heart motion correction algorithm enables diagnostic CT of aortic valve and coronary arteries in systolic phase for transcatheter aortic valve implantation candidates. Eur J Radiol, 2023. 168: p. 111141.

9. Liang, J., et al., Second-generation motion correction algorithm improves diagnostic accuracy of single-beat coronary CT angiography in patients with increased heart rate. Eur Radiol, 2019. 29(8): p. 4215-4227.

10. Hashimura, H., et al., SnapShot Freeze 2.0, a second-generation motion-correction algorithm, improves mitral valve image quality in preoperative cardiac computed tomography for mitral regurgitation. Japanese J of Radiol, 2026. doi:10.1007/s11604-025-01940-0.

11. 医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME), 日本の 診断参考 レベル(2025年版). 2025.




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