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Revolution CT

JB09124JA

※本カスタマーボイスはお客様の使用経験に基づく記載です。
製品の仕様値として保証するものではありません。


製造販売:GE ヘルスケア・ジャパン株式会社
販売名 マルチスライスCTスキャナ Revolution 医療機器認証番号:226ACBZX00011000
販売名 アドバンテージワークステーション 医療機器認証番号: 20600BZY00483000

Revolution CT導入で進化した検査が生み出す
経済的メリット

西尾市民病院 画像情報室
室長 池田 江美子 様



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病院紹介
当院は愛知県の西三河南部に位置しており、温暖な気候、矢作川がもたらす豊かな土壌と川霧に恵まれた西尾は全国生産量約20%を占める日本有数の抹茶の里です。
西尾市民病院は昭和23年6月1日開設され、平成2年2月26日に現在の地に移転しました。
病床数321床の市立の病院で、診療科目は22科です。 放射線科診断医1名、放射線治療医1名、診療放射線技師24名、助手1名、事務員2名の構成で、CT装置2台を17名の技師でローテーションしています。2020年12月に2台稼働しているCTのうち1台をRevolution CTに更新しました。
本誌はRevolution CTで得られた今までにない臨床価値だけでなく、結果的に増加した検査件数や、削減できたコストを中心にその経済的価値についてまとめてみました。


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とある一日のCTメンバー



増加するGSI検査:造影全例GSIと救急患者の積極的GSI撮影へ
当院では、 Revolution CT導入を機に、造影検査はRevolution CT優先へ変更し、すべての造影検査をGSI(ガーネット検出器を使った超高速kVスイッチングのデュアルエナジー検査)にて撮影しています。ルーチン的に出力している画像は、68kev画像と、ヨード密度画像を自動作成しており、状況に応じて様々がな画像を提供しています。救急対応ではGSI撮影を優先することでCT担当のすべての技師がRevolution CTの操作とAWSによるGSI画像処理可能となりました。救急担当の医師からも『DEで』『デュアルで』といったコメントが入るようになり、積極的にGSI撮影を行っています。特に脊椎圧迫骨折等整形領域は従来のCT画像では圧迫骨折の有無は不明なことも多く、必ずMRI検査も施行したうえで診断されていました。
現在はGSI撮影による水密度強調画像から圧迫骨折の新旧の判別ができ、MRIの前に診断がつくと評価されています。(Fig1)
また造影では肺塞栓症や急性腹症等、すべてGSI撮影によりヨード密度強調画像を活用しています。

77歳女性
検査コメント:
「転倒し腰背部痛主訴の方の骨折否定目的です。
よろしくお願いします。デュアルもお願いします。」

整形外科:
Th12新規骨折と診断され、MRI追加検査なし


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Fig1. 胸椎の通常CT画像とGSI画像比較



GSI検査における造影剤低減
装置更新以前では、腎機能低下患者の造影依頼は少なく、依頼があった場合は2割減を基本として生食後押し追加で行っていました。これは、低電圧撮影でのノイズ増加やビームハードニング増加等の問題もあるため限界がありました。Revolution CTでのGSI検査では、True Fidelity2.0を使用した低ノイズの画像再構成が低keV画像との相性も良く、実質臓器の造影検査においても、より多くの造影剤を低減することが可能になりました。
腎機能低下患者では造影剤量を減らしてもGSI撮影であれば、通常量と同程度まで造影効果を向上できることを各科医師へ勉強会など企画しお伝えすることで、各科医師から『造影剤減量で』、『造影剤半減で』、『造影剤極力少なめに』などのコメントがつくようになり、腎機能低下患者の造影件数は年間20件前後から4倍の83件へ増加しました。(Fig2)


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Fig2. 造影剤低減検査の増加



以下にフォローアップ検査で造影剤低減を指示された画像を提示します。
双方Revolution CTのGSI検査で、使用造影剤量と出力画像のkeVが異なりますが、肝の画像SDは68kev:6.21、55kev:6.86と同等の画質を担保できています。(Fig3)


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Fig3. 6割造影剤検査での画像比較(過去画像比較)



心臓CTA造影剤低減
心臓CTAに関して2021年6月1日から除脂肪体重60㎏以下の場合、撮影管電圧を100kVpへ下げ、体重当たりのヨウド量設定を24.5㎎I/㎏/secから21.0㎎I/㎏/secへ減量しました。さらなる造影剤低減指示に対しては、注入時間を12秒から10秒へ短縮し対応しています。TAVI術前検査においても21.0㎎I/㎏/secへの減量で検査可能となりました。(fig4)


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Fig4. 造影剤減量指示のTAVI術前検査



Revolution CT導入前後での造影剤使用量比較を表します。平均使用量が大きく引き下げられました。(fig5)
これにより、現在取り扱いのない少量シリンジのニーズが生まれ、造影剤を再検討することで入院時造影剤コスト抑制を効率的に行えることが示唆されました。


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(Fig5)2020年4月9日から2022年12月15日の期間に
入院中に施行した心臓CTについて使用造影剤



心臓CTA検査におけるワークフロー改善と検査数増加
64列CTの頃の心臓CTA検査は、テストインジェクションを行っていたこともあり、scan操作も煩雑な上、撮影後の静止位相を探す作業に時間のかかることが多く、担当技師は限られた少人数で行いこのころの心臓CTA検査は予約のみとしていました。 Revolution CTは1心拍撮影、Smart PhaseおよびSnapShot Freeze2の使用により、検査効率が格段に良くなり、現在ではCTを担当する全ての技師で心臓CTA検査を行うことが可能となり、緊急依頼も受けることが可能となりました。
更新後心臓CTA検査件数は倍増となり、救急患者の緊急検査件数も増加し、年間でひと桁しかなかった緊急心臓CT検査数は57件、178件、215件と年々大幅に増加しました。(Fig6)


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Fig6. 心臓CTA検査の推移



通常は検査数が増加した一方で件数増加に伴う撮影時間や後処理時間が伸びてしまうことで残業時間の増加につながります。ところが、Revolution CT導入前の心臓検査で発生した月間累計残業時間は平均93分からRevolution CT導入後には平均10分未満へ短縮し働き方改革に大きく寄与し残業費用を抑えることができました。(Fig7) βブロッカー内服のため検査の1時間30分前を来院時間としていましたが、内服の必要性がなくなり、患者さんにとって検査にかかる時間が大きく削減されました。


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Fig7. 心臓CTA検査による月間累計残業時間の移行*
*過去残業データの関係で8月~9月データのみでのまとめ



総括 Revolution CTは診断に有用だけでなく経済的メリットが高い
Revolution CT導入後、心臓検査の簡便さや今までにないGSI検査の実施といったメリットから検査の増加傾向がみられており、特に造影検査の増加が収益増に寄与しています。また、入院患者の造影件数も年間で約100件ほど増加していました。 このままでは入院患者の造影検査では資材持出支出の増加となってしまいます。 現時点での当院における使用造影剤は、濃度4種類240・300・350・370、容量は75ml,80ml,100ml,135mlと4種類あり、外来では先発品、入院では後発品と体重(除脂肪体重)ごとに使い分けています。
今回、心臓CTA造影剤使用量の検証により、実際の使用量は50ml未満が多くなっていることが判明しました。 現在採用している後発品のシリンジは100mlのみであり、これを50mlへ変更することで造影剤の廃棄軽減とコスト削減につながると考えられます。 また、腎機能低下による減量指示の場合、GSI撮影では大きく造影剤減量となりました。使用造影剤の変更を加味すると持ち出しコストは現在の約30%に相当するコスト削減を見込める可能性があります。また、心臓検査で不整脈や高心拍時の静止位相検索に最大90分ほどかかっていたのが、更新後Smart Phaseにより目視による検索はほぼなくなり、SSF2の静止画像からすぐに解析画像作成へ移行できるため、残業時間削減の効果が確認できました。 (Fig8)


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Fig8. Revolution CT導入後の経済的効果



GSI検査における今後の課題
現在、通常量の造影では100kvp相当の68kev、6割量へ造影剤減量時、55kevで画像提供していますが、通常量と減量時のどちらも、より造影効果を強調した低keV画像(40keV等)の活用をと考えています。また、各種物質密度画像の活用も追及できるように、GSIデータファイルをAWSへ自動転送していますが、十分に活用できていないのが現状です。 今後、各科医師へAWSで解析できる内容を改めて伝えていくことで、さらなる活用ができるように努力していく所存です。