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Revolution CT

※本カスタマーボイスはお客様の使用経験に基づく記載です。
製品の仕様値として保証するものではありません。


製造販売:GE ヘルスケア・ジャパン株式会社
販売名 マルチスライスCTスキャナ Revolution 医療機器認証番号:226ACBZX00011000
販売名 アドバンテージワークステーション 医療機器認証番号: 20600BZY00483000

当院の心臓CT検査・治療を変えたRevolution CT / Smart Cardiacについて

一宮市立市民病院 放射線技術室
佐藤 勇人 様



導入
当院ではこれまで、診断用にGE社 Light Speed VCT(64列)を2台、診断・治療計画兼用としてGE社 Bright Speed(16列)を1台の計3台体制で業務を行ってきた。そして2015年11月心臓CT需要の高まりに合わせる形で循環器内科の要望により心臓CT検査をメインにGE社 Revolution CTを導入、またこの度新機能であるSmart Cardiacが搭載された。

本稿では「心臓CT検査における検査・運用の変化」を使用経験として報告する。


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Smart Cardiacとは
「Auto Gating」「Smart Phase」「Snap Shot Freeze」この3つの機能を主軸として、いかなる心拍状態にも左右されることなく1 beat scanで心臓CT検査を完結させようというものである。


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図1. Auto Gating概念


Auto Gating
従来の心臓CT検査では数心拍前のECG波形を元にX線曝射のタイミングを決定するため、突然の心拍変動や不整脈といったものに対応することができず、設定されたタイミングと実際のタイミングがずれるということが起こりえた。
しかしAuto Gating機能は直近の心拍情報を元に最適なタイミングを自動で決定するため不整脈への対応が容易なものとなった。(図1)



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図2. Smart Phase概念


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図3. Smart Phase



Smart Phase
3本の独立した冠動脈をそれぞれ抽出し、そのアーチファクト量から自動で最適静止位相を検索する機能であり、画像処理時間の大幅な短縮が可能となった。(図2、3)



Snap Shot Freeze
自動で冠動脈の静止画像を再構築する動態アルゴリズムであり、前後約60msecのデータから3次元的に解析することでモーションアーチファクトの大幅な低減が可能となった。(図4)


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図4. SnapShot Freeze



Revolution CTを導入して
Revolution CTの大きな特徴はやはり心臓全体を1volumeで撮影できることであろう。これにより心拍の変動を気にすることなく、さらにバンディングアーチファクトを考慮する必要が全くなくなったため全体的な画質は飛躍的に向上した。画質が向上することで処理時間の短縮・一次読影の時間短縮・読影精度の向上にもつながり、結果本来であれば必要のない無駄な追加検査・治療の必要がなくなった。

またVCTで行っていたmanual voiceを用いた撮影法を継承し、さらにdelay timeが大幅に短縮されたことで直前までモニタリングができるようになり最小限の造影剤のみでの検査が可能となった。VCT使用当時と比較して造影剤量は約30%減少、被ばく線量については検査全体で約80%減少した。

Revolution CTの導入によりこれらの恩恵を享受できるようになったわけであるが、それに伴いその運用方法も大きく変化した。(図5)


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図5. CT運用の変化


Revolution CT導入以前は、15:00から4枠を基本に多いときで7~9件の撮影を行っていた。さらにここから全ての処理・読影・レポートの作成を行うともなれば結果を出すまでに少なからず時間を要した。ゆえに、たとえ午前の早い時間に来院された患者様であっても、診察終了後10~15分の検査のために15:00まで待機し、翌日以降結果説明のために再度来院していただく必要があった。

またそこで緊急を要する有意狭窄やCTO等が見つかった場合には当直帯での治療となるため、患者様、ご家族の負担はもちろんのこと、病院全体で連絡体制も含め常に迅速に対応できる体制を整えておく必要があった。加えて当院では検査の質を担保するため2,3人の担当者で心臓検査を行っていたため、毎日の担当者への負担等様々な問題を抱えながらの運用であった。

それがRevolution CT導入以降は、通常造影検査枠と同様に午前中から心臓CT専用枠を設けることで、診察後即検査→検査終了後1時間以内に結果をレポートにして外来へ出力→即診察といった運用が可能となった。(図6)


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図6. 患者様の動きの変化


以下に経験した一例を示す。

70歳台女性
1週間前に駅歩行中胸部圧迫感。
近医受診の後、精査の為当院循環器内科へ紹介となった。

HT(+) DM (+) HL(-)  家族歴:なし
CCT:LAD#6に高度狭窄疑い
即日CAG(PCI stand by)へ
CAG:CCTと一致する部位(#6 just)に75%~90%狭窄を認めた為、即時PCIに移行
PCIにて十分な拡張が得られたことを確認した後経過観察入院
翌日退院となった


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図7. CCTで有意狭窄を認め即日PCIとなった症例



これは前述の恩恵があってはじめて実現できたものであるが、これにより診察から結果説明までの一連の流れがスムーズになり患者様の時間的な負担は大きく軽減した。また緊急を要する治療が必要になった際も、日勤帯で稼動しているカテーテル検査室へそのまま移動できるため病院として特別な体制をとる必要もなくなった。
これに加え前投薬(βブロッカー)を使用しない運用に移行することも可能となり、使用することでの身体的・時間的負担・リスクを無くすことが出来たのも大きい。



Smart Phaseの導入
さて、ここまで検査の質の向上から運用そのものの改善について触れてきたが、どうしても機械の性能だけでは補いきれない部分がある。それが経験の差からくる処理時間のばらつきである。表に示す通り、経験の差がそのまま処理時間に反映されていることがお分かり頂けるであろう。
ここでの処理時間とは撮影終了から至適心位相を探し出しワークステーションに送信するまでの時間である。検査を受ける患者様がある程度時間を置いて検査に来る場合はさほど問題にはならないが、4人5人と続けて待っている場合には不慣れな担当者ではどうしてもこの作業に遅れが生じてしまう。先に検査終了後1時間以内に結果をレポートにして外来へ出力するという運用を行っていると述べたが、同じ1時間以内でも10分待たされるのと1時間目いっぱい待たされるのとでは患者様にとっては大きな違いとなる。


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図8. 担当者の違いによる処理時間の差



そこで新しく搭載されたSmart Phase機能である。
Smart Phaseは検査終了後から心拍数に関わらず5分前後で確認が可能となるが、症例によっては熟練した担当者が探した方が早いこともある。
しかしながら本質はそこではない。至適心位相を探す必要がないということはその分次の検査にスムーズに移行できるため、検査全体のスループットが大きく改善されることとなる。
また僅かなモーションアーチファクトがあったとしてもSnap shot Freeze機能により診断上なんら問題のない画像を得ることができる。

しかしながら、症例によっては静止していない画像を表示してくることもある。これは実際に至適心位相が存在しない場合がそのほとんどであるが、こういった場合でもSmart Phaseは全く無駄ではない。従来であればいくつかの可能性の中から手動で探し出す必要があったが、Smart Phaseにより再構成されたフェーズの前後を探すという最短ルートで最適位相に辿り着くことが出来る。


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図9. 担当者によるワークフローの違い



最後に
Revolution CTを導入して一年、ハード面とソフト面それぞれの特徴を最大限活かすことで検査そのものの質の向上に加え、運用面においても診療科、患者様双方のニーズに十分応えることができるようになった。
さらに今回、新しくSmart Phaseが搭載されたことにより、経験の有無に関わらず誰が検査を行っても高水準な検査の質を担保できるようになったことは、我々現場だけでなく、病院全体、患者様等心臓CTに関わるすべての人に大きなメリットをもたらした。
そして今後Smart Cardiacをひとつのシステムとして搭載したRevolution CTは、これまでにあった心臓CTの特殊性や敷居といったものを取り払ってくれるであろう。


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