はじめに
長野市民病院長野県長野市に位置する当院は、計30診療科、400床を有しており、北信地域の医療を担う急性期病院である。特にがん診療においては地域がん診療連携拠点病院として“がんの治療なら長野市民病院”と言われるほど全国でも有数の実績をあげている。
また、近年では心臓血管センターを開設し、心臓・血管診療を新たな柱に据える中で心臓CT検査をスタートすることになり、2016年10月に新しくGE Healthcare社製の最上位CT、Revolution CTを導入することとなった。
本稿では、Revolution CTの高い画質評価と、心臓CT検査の立ち上げについて述べたいと思う。
Key words
・心臓CT検査の立ち上げ、今は何の不安もなく検査を実施している
・院長・放射線科医・循環器内科医からの高い画像評価
・Smart Cardiac により、ローテーションで撮影を行っても全員同じレベルの画像を提出できている
心臓CT検査の導入・立ち上げ
当院では、従来16列のMDCT 2台体制でCT検査を行っていたが、Revolution CT の導入に伴い、新たに心臓CT検査を立ち上げることとなった。初めての心臓CT検査ということで、当初は緊張感が大きかったが、今はもう何の不安もなく検査を行うことができている。これは Smart Cardiac の恩恵によるところが大きい。
Smart Cardiac とは、GEの最新の心臓撮影技術の総称であり、撮影から最適心位相の検索、さらに必要に応じて時間分解能を向上させるアルゴリズムを使用した再構成まで、心臓検査の全てを支える重要な機能である。(図1)
現在心臓CT検査では、βブロッカーは医師の判断で使用しないことも多いが、診断に十分な画像が得られている。また、稼働から9か月現在で、約300件の心臓CT検査を施行しているが、今のところ最適心位相を探し直さなければいけなかったケースは少なく、循環器の医師から画像に関して指摘が出たこともない。そのため、Auto Gating、Smart Phase、SnapShot Freeze の機能に関しては高い信頼を置いている。
当院では、CTは数人のローテーションで撮影を行っているが、全員同じようなレベルの画像を提供できていることも、順調な立ち上がりを支える一因である。皆、新しい機械、機能を敬遠することも無く、積極的に Revolution CT を触りながら経験を積み重ねており、4月から入職した技師もすでに一人で心臓検査に当たっているというのは大変喜ばしいことである。多少機械の言いなりになっている部分もあるかもしれないが、検査結果をスムーズに出力することを重視しながら、皆で研鑽していきたいと考えている。
図1 Smart Cardiac 概念図
症例紹介
導入装置選定時、院長は他の装置を検討していたが、今では Revolution CT の高い描出力、高分解能画像を高く評価しており、GEにしてよかったとコメントをもらっている。
ここでは医師からの評価が高かった症例を紹介する。
図2は心臓CTの一例である。
この画像のポイントは、モーションアーチファクトで評価困難な症例がSnapShot Freeze(以下SSF)により高度狭窄と診断できた点であり、早急な治療につなぐことを可能にした恩恵は大きいと考えている。
図2 高度狭窄症例
図3はCTOの解析が容易に可能であった症例である。
SSFによる静止画像の有用性はもちろんのこと、高いトレース精度によってもたらされる閉塞長や閉塞断端形状の正確な情報が、術前ストラテジーに不可欠となっている。
図3 CTO症例
また、図4は Smart Phase が有効であった症例である。
本例ではスカウト、単純撮影時にPVCを観察したため、念のため2心拍の照射を行った。たとえ多くの位相を収集しても、最適静止画像を提供してくれる Smart Phase は作業効率を大幅に改善してくれている。
図4 Smart Phase による位相検索
最後に
お写真当院では新たに心臓CT検査を導入したが、非常に順調な立ち上がりで画質の評価もよく、満足している。
今後は、Revolution CT にかかわるメンバーそろって、より深く知識を深め、撮影件数を伸ばしていきたいと考える。