はじめに
本稿では、当社DXA装置における全身体組成計測を行った際の各測定値の意味合い等を解説いたします。
計測に関わる用語
DXA法における体組成計測は、X線の吸収を利用して体内の脂肪量、非脂肪量、骨量の3つの計測を行います。
脂肪量 (g)
全身および各領域内で計測された脂肪量です。
非脂肪量 (g)
全身および各領域内での脂肪以外の軟部組織量を意味し、主に筋肉、臓器、血液、水分等が含まれます。
Lean Massともいわれます。
骨量 (g)
全身および各領域内の骨塩量です。
骨の中に含まれるミネラル分(大部分はカルシウムとリン)の量を示します。
BMC(Bone Mineral Content)もしくはBone Massともいわれます。
総重量(Kg)
脂肪量、非脂肪量、骨量を足し合わせた重さです。
全身および各計測領域別での総重量を出すことができます。
全身の場合、DXAで計測した被検者の体重に相当します。
DXA法で算出した体重となるため、別の体重計で測定した体重とは異なります(患者情報として入力された体重は、計測結果として算出される総重量に影響は与えません。)
脂肪量g+非脂肪量g+骨量gで求められます。
脂肪以外(g)
全身および各計測領域内での非脂肪量と骨量の総量(g)です。除脂肪体重(Lean Body Mass)もしくはFat Free Massともいわれます。
非脂肪量g+骨量gで求められます。
この指標は、アスリートにおけるパフォーマンス能力の評価の項目の一つとしても用いられます。
これらの計測結果から、DXA検査では以下2つの脂肪の割合を算出することができます。
軟部組織脂肪(%)
全身および各領域内での骨量(BMC)を除いた、軟部組織量における脂肪の比率です。
脂肪量g/(非脂肪量g+脂肪量g)で求められます。
領域内脂肪(%)
全身および各領域内の骨量(BMC)も含んだ、その領域内における脂肪比率です。
脂肪量g/(非脂肪量g+脂肪量g+骨量g)で求められます。
計測領域に関わる用語
領域
測定対象となる関心領域(ROI)です。GEヘルスケア社のDXA装置の場合、最大で22の領域別※での結果をみることができます。
アンドロイド
腹部にある関心領域です。
アンドロイドROIの高さは、坐骨頂カットラインから、頭部~坐骨頂カットラインまでの長さの20%上方となります。
被検者の体格を考慮した形でROI設定を行います。
ガイノイド
臀部領域にある関心領域です。
ガイノイドROIの高さは、アンドロイドROIの高さの2倍です。 ROI上縁の位置は、坐骨頂ラインから、アンドロイドROIの高さの1.5倍の下方に位置します。
診断指標に関わる用語
A/G比
アンドロイド/ガイノイド比(A/G比)のことです。
アンドロイド領域の軟部組織脂肪率÷ガイノイド領域の軟部組織脂肪組率から求められ、脂肪のつき方を示す指標の一つとなります。この比が1より大きい場合はリンゴ型肥満、1未満の場合は洋ナシ形肥満と判断されます。
またこの指標は、心血管疾患(CVD)のリスクとも関連するといわれております1)。
SMI(骨格筋量指数)
四肢(両腕・両足)の筋肉量の指標です。臓器がないため、筋量を評価する指標として用いられます。
Skeletal Muscle mass Index. もしくはRelative Skeletal Mass Indexの略語です。筋量低下に伴う身体機能の低下の疾患であるサルコペニアの診断基準の一つとして用いられています。
(両腕の非脂肪量+両足の非脂肪量 (Kg))÷ 身長2(m)
GEヘルスケア社のDXA装置の場合、このSMI指標は設定された領域や身長の情報から自動計算されます。
アジアサルコペニアワーキンググループ(AWGS)が2025年に発表したサルコペニアの診断基準2)には、65 歳以上のSMIのカットオフ値が、男性7.0Kg/m2 未満、女性で、5.4Kg/m2 と定義されています。50~64 歳 では、男性 7.6Kg/m2 未満、女性 5.7Kg/m2 未満と定義されています。
RMR(Resting Metabolic Rate)
安静時代謝量のことです。
安静時代謝量とは、身体を安静状態にしている中で消費されるエネルギーの量を指します。
RMR は安静状態でのカロリー消費量で、単位は、カロリー/日です。
基礎代謝REE ( Resting Energy Expenditure)と同意語です。
その計算方法には、下記のハリス ベネディクト式とMifflin-St. Jeor 式があります。
BMI(Body Mass Index):
計測時、入力された被検者の身長と体重より計算されます。また、結果のカテゴリーはWHOのBMI基準と対比されます。
肥満の判定基準としても用いられています。
リファレンス:
1) Wiklund et al. Abdominal and Gynoid Fat Mass Are Associated with
Cardiovascular Risk Factors in Men and Women. J Clin Endocrinol Metab,
November 2008, 93(11):4360 – 4366
2) 一般社団法人サルコペニア・フレイル学会 「新しいサルコペニアの診断基準(AWGS 2025)のお知らせ」
3) Harris JA, Benedict FG.A biometric study of basal metabolism in man.
Washington, DC:Carnegie Institute of Washington, 1919.(Carnegie
Institute of Washington Publication 279).
4) Mifflin, M.D., S.T.St Jeor, L.A.Hill, B.J.Scott, S.A. Daugherty and Y.O.Koh,
A new predictive equation for resting energy expenditure in healthy
individuals.Am J Clin Nutr, 1990.51(2): p. 241-7.
※一部の領域についてはDXAVisionソフトが必要です
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