超高齢社会にある本邦では中高齢者女性に骨粗鬆症患者が増加傾向にあると言えます。
産婦人科領域で骨粗鬆症を早期から診療するために2014年2月にGE社製DXA骨密度測定装置PRODIGY-Cを導入された宮崎県都城市の北原医院 産婦人科 吉山賢一先生からのお話第3回をご紹介いたします。
知ってほしい、GE装置の簡単操作
先ず一連の操作は間違いなく簡単です。 当院では私自身で全て操作しています。技師は一人も雇っていませんが、支障ありません。 装置の動き自体は、スムーズに行くCaseでは、およそ5分間で終わります。
こちらに測定風景を扱ったGE作成の動画(説明付き)を添付しますので、是非、ご覧ください。
導入当初は解析がスムーズに進められずに時間が掛かっていましたが、日々、スムーズになってきています。当時は、長く掛かるCaseでは15分間位かかった様な気もします。長く掛かるCaseというのは、私が不慣れなせいで腰椎の変形で解析に手間取ったり、判断と対応に迷ったりしてしまうCaseです。今でも色々と知識とKnow-Howを習得している日々が続いています。
患者も満足、脚上げ脚下げ無しのGE DXA測定
別の整形外科クリニック様でGE社以外のDXA装置で大腿骨・腰椎BMD測定を受けられた複数の患者様方が、当院(産婦人科)のGE DXA装置で測定検査を受けられると、「この前、受信した整形外科では検査中の待ち時間が長い上に、測定も腰と大腿骨が別々で少し苦痛だった」ということをよく耳にします。当院では、OneScan機能を活用して脚上げ脚下げ無しで測定していることと、医師が測定した直後に装置の横で、結果説明ができるからだと思います。
学会発表SCAN AREA方式によるDXAの測定の実際
2014年11月、日本女性医学学会の一般演題で発表させていただきました。 演題名は、「操作が簡便であった腰椎と大腿骨頚部連続的測定骨密度測定装置の使用経験」です。骨粗鬆症を産婦人科診療所の立場で予防するために有用な、簡便な操作のPRODIGY-Cを、更年期を専門にする会員にも知って頂きたいと思いました。発表の概要を示します。
最初にDXAの測定原理を説明しました。2種類の異なったエネルギーのX線を骨領域と軟部組織領域にかけて照射し、骨領域でエネルギーの減衰に差が生じます。軟部組織領域のベースラインを合わせて、プロファイルカーブとし、骨量を計算します。
DXA機種によるベースライン設定法には、2種類あります。
GE社では、SCAN AREA方式が採用され、他社では、global ROI方式が採用されています。
DXA測定におけるベースライン領域の設定法
(1)SCAN AREA方式:GE社
(2)global ROI方式:HO社、HA社
(1)SCAN AREA方式:GE社
GE社のSCAN AREA方式によるベースライン設定は、NARROW-ANGLE FAN BEAMのmulti scanで、SCAN終了後ROI(region of interest)が設定され、図のとおり緑の領域、ベースラインが自動的に設定されます。
(2)global ROI方式:HO社、HA社
他社のglobal ROI方式は、WIDE-ANGLE FAN BEAMのsingle scanで、ベースラインを操作者が設定します。方法は、まず腰椎では、下肢を補助具に挙上し、スキャナー台から腰椎までの距離を一定にし、左右対称にしなければなりません。
次に大腿骨近位部を測定する際、下肢を下ろして、内旋固定して、ベースラインを再設定します。腰椎と大腿骨近位部のそれぞれを、ベースライン設定後、骨密度測定という手順です。
Narrow Angle Fan Beam とWide Angle Fan Beamについて
Narrow Angle Fan Beamでは測定対象部位(例、腰椎)に対して左右・上下方向にジグザグにScanがされます。 Wide Angle Fan Beamでは測定対象部位(例、腰椎)に対して上下方向にScanがされます。 拡大誤差は、Narrow Angle Fan Beam:小、Wide Angle:大 です。
GE社では、はじめに下肢を内旋固定し、その後、腰椎の位置を確認し、連続的に腰椎、大腿骨近位部を測定します。以上、主に操作性に焦点を絞って、発表させて頂きました。
結語
1. 腰椎と大腿骨頚部DXAの導入に際し、操作性を考慮して、GE社を選択した。
2. NARROW-ANGLE FAN BEAMを利用したSCAN AREA方式によるbaselineの設定の自動化により、体位を変えずに短時間で連続的な腰椎と大腿骨近位部の測定を可能であった。
3. 躯幹骨の骨密度は、腰椎で、硬化・骨棘・変性などの変形性脊椎症の影響があるため、大腿骨の併用が必要であると思われた。
発表後、測定精度CV値(coefficient of variation)について質問がありました。CV値は、一人の測定者を複数回測定して、その誤差が、少ないほど、測定精度が高いというものでした。その方に感謝して、今後、私が施行するPRODIGY-Cについて調べることにしました。
(つづく)