超高齢社会にある本邦では中高齢者女性に骨粗鬆症患者が増加傾向にあると言えます。
産婦人科領域で骨粗鬆症を早期から診療するために2014年2月にGE社製DXA骨密度測定装置PRODIGY-Cを導入された宮崎県都城市の北原医院 産婦人科 吉山賢一先生からお話を伺いましたのでご紹介いたします。
GE DXA装置導入の決め手
当院は、1964年に父、吉山政敏が、北原産婦人科医院として開業し、1998年、更年期女性の内科診療を取り入れ、北原医院と変更し、その頃、前腕骨専用の骨密度測定機を導入しました。
2001年、私が赴任し、父と共に通常の産婦人科診療をしていました。2008年、妻で、産婦人科医の吉山登志子が加わり、女性医師外来を始め、私の外来診療は、骨粗鬆症などの更年期外来に専念することとなりました。
2013年9月頃、女性医学学会の骨粗しょう症専門医試験を受けた頃、GE社の大腿骨・腰椎DXA骨密度測定装置に関するダイレクトメールが入り、初めてGE社が大腿骨・腰椎DXA骨密度測定装置を販売していることを知りました。
そのリーフレットには、診療報酬(前腕120点、大腿骨・腰椎を一度に測定で450点)の記載があり、購入を後押ししました。
2013年10月、日本骨粗鬆症学会(大阪)に参加し、日立アロカ社、東洋メディック社、GE社の3社のブースを訪問し、説明を聞きました。展示ブースで当時骨粗鬆しょう症診療でお世話に成り始めたばかりの宮崎県の整形外科の先生が、東洋メディック社だったら治験ができることを強調されていましたが、実は、治験は東洋メディックの販売している装置だけで行うものではなく、実際はGEのDXA装置でも出来ることが後日判りました。
2013年11月、都城市で実際、それぞれの業者立会いで、東洋メディック社とGE社の装置を見学しました。東洋メディック社のものは、産婦人科医である私には操作が難しいと感じました。
一方、GE社のものは、腰椎と大腿骨片側を一連の流れで測定できる機能(One Scan)が印象的でした。女性医学学会の理事で骨粗鬆症の研究を熱心に行っている先生に相談した所、GE社か東洋メディック社のいずれかを選んだらよいとアドバイスを貰い、自身が使いやすい方を選べば大丈夫と確信できました。
2013年12月、翌年には消費税が上がるため、最終的に操作性を考慮して、GE社の大腿骨・腰椎DXA装置に決めました。
2014年2月、これまで使用していた前腕DXA装置と胃のX線透視用装置を部屋からがあった場所を撤去して、 内装も含めて綺麗にしてGE社の 大腿骨・腰椎DXA装置PRODIGY-Cを設置できました。
また前腕DXAからGE 腰椎・大腿骨測定可能なDXA装置(PRODIGY C)に切り替えたことで当然ながら測定値に変化が生じましたが、その測定値の精度に私自身は不満・不信はありませんでした。患者さんには「当然、装置(前腕DXA装置から大腿骨・腰椎DXA装置)が変わったので、測定値は変わります。」のように説明することにより、患者さんも素直に理解してくださいました。
骨密度測定の勧め!
導入開始してから、産婦人科医の妻が患者に製品パネルを見せながら、骨粗鬆症と診断測定・治療の紹介説明を対話形式で行う問診の一環として行っています。それが功を奏しているようで、患者さんは好意的に受け入れてくださいます。
当院の対象患者は、主に50歳以上の女性ですが、他に、若年の早発閉経、手術により両側卵巣を摘出された方、抗がん剤の化学療法に伴う無月経など、20歳台~90歳 台まで、多岐に渡ります。稀ですが、測定者のご主人など男性を測定することもあります。妊娠中の長期安静等により、産褥期に骨粗鬆症による脊椎骨折が発生する可能性がありますので、分娩後は、妻が説明し、希望者や腰背部痛のある方などに骨密度検査を施行しています。
特徴としては、腰背部痛等がない閉経後女性を、骨量減少のレベルで介入し、骨粗鬆症の予防を目指していることです。更年期症状や、老人性膣炎、子宮癌や卵巣癌の検診に来られた方に、閉経後骨粗鬆症について説明し、人間ドック等での末梢骨の骨密度測定ではなく、生命予後に関係する躯幹骨の骨密度を測定することをお勧めしています。
実際に簡単、すぐに終わる検査
当院での骨密度検査は、基本的に腰椎L1-L4と大腿骨近位部の骨密度を測定します。被検者の情報を操作部に入力後(写真1)、被検者には測定 台に仰臥位で横になって頂き、大腿骨頚部DXA測定目的で両足を内旋固定し、次に腰椎DXA測定目的で、アームを動かし、臍下二横指にマーカーを合わせます。操作用PCよりアームを動かして、腰椎L1-L4、左大腿骨頚部を連続的に測定し、スループットで5分間前後です。
私が装置操作風景を一連、録画いたしました。簡便な操作性を感じていただけると思いますので、是非、こちらのビデオをご覧ください。
高齢者では、腰椎の骨硬化、骨棘、変性などによる変形性脊椎症の影響により、骨密度が高くなる可能性がありますので、大腿骨近位部と比較して、低い方を治療の適応に採用しています。
正常の方(若年成人平均の80%以上)は、1年後の再検査を指導します。骨量減少の方(若年成人平均の71~80%未満)は、FRAX (WHO骨折リスク評価ツール)を計算します。FRAXが15%未満の方は、6ヶ月後の再検査を指導します。
骨粗鬆症の方(若年成人平均の70%以下)やFRAXが15%以上、脆弱性骨折の既往歴のある方は、治療の必要性について説明します。説明は、検査結果のグラフでレッドゾーンにあること、FRAXの計算機の値が15%以上であること、脆弱性骨折の既往のある方は治療の対象であること等を示し、治療しなかった場合の危険性として、放置すると、亀背になり、さらに、腰椎骨折を招くことや、大腿骨頚部骨折で、寝たきりになることなどです。経済的な面や、副作用等に対しての不安があり、治療を希望されない方には、無理には、お勧めしていませんが、再検査はご指導します。
腰椎の骨密度が低下した方には、腰椎側面のレントゲンを測定し、骨折の有無を確認します。
(つづく)