Q1:初めに施設の紹介をお願いします。
釧路赤十字病院は1945年に開設され、1959年に現在地へ移転、1983年に病院棟が完成、2003年に増改築工事が竣工し現在に至っています。
診療科23科、病床数は487床で、エイズ治療拠点病院、総合周産期母子医療センター、小児救急医療拠点病院などの指定を受け、北海道東部の釧路根室地域の基幹病院としての役割を果しています。また、急性期の病院として地域の医療機関との密接な地域連携体制の構築を図っています。
Q2:装置更新に際し、 PRODIGY Fuga を選ばれた理由などをお聞かせいただけますか。
更新のきっかけは、18年使用していた他社製旧装置が故障し修理不能となったためです。更新時に重要視したことは、故障による突然の更新状況につきスピーディに装置導入ができるか、近隣施設での装置稼働実績、旧装置からの患者検査データの移行がスムーズにできるか、旧装置からGEの装置に変更する場合のメンテナンスのサービス体制が確保できるかどうかです。
PRODIGY Fuga選定の決め手となったのは、実際の技師側の操作性として『撮影+処理』のトータルスピード、ルーチン撮影で最も多い『腰椎正面+左股関節』の場合に旧装置とは異なり、患者のポジショニングを変えずに一連での撮影が可能であること、自動ROIの精度・再現性が高いことです。
Q3:ルーチンの測定部位を教えていただけますか。また、 TBS の活用についてはいかがでしょうか?
基本ルーチンの測定部位は『腰椎正面+左股関節』です。ただし、健診者は『左股関節のみ』、5歳未満の小児科患者の場合は『腰椎正面のみ』です。
股関節については、左股関節に人工関節があれば『右股関節』を、両方人工関節があれば原則『左股関節』をルーチンの測定部位にしています。
TBSについては全例の検査で使用しています。整形外科医師からは「診療の幅が広がった」との高評価を得ています。
導入後の医師や近隣施設等からの反響については、旧装置では出力されていなかったTBSに関する問い合わせが多数ありました。
Q4:実際に使用されての感想はいかがですか。
ワークフローについては、本装置ではポジションボタンを押して本体アームが患者の測定部位周辺に移動するまでの時間を利用して患者の体位設定ができることと、患者の体位を変えずに連続で複数部位の撮影ができることで、スムーズに検査を進められるようになりました。
オペレーションでは、撮影後の自動ROIの精度が高くストレスなく作業が進むようになりました。腰椎内や股関節内の金属除去の精度も高く、旧装置では金属除去範囲の修正作業に時間がかかっていましたが、本装置ではほぼ修正の必要はなくなりました。
担当技師は、一般撮影部門エリアの技師5名が週交替で携わっています。自動ROIの精度が安定して高いので、解析結果の技師間変動は旧装置と比べて少なく、高い再現性が得られていると思います。
『全身骨』の検査の場合、旧装置では検査前に全身骨専用のQAファントムの撮影が必須で煩雑でしたが、本装置では通常の朝電源投入時のQAファントムの撮影で事足りるので、時間削減ができました。また、患者が極めて大柄で測定可能範囲に入らない場合は、右上肢は確実に含め左上肢を欠損させて撮影します。本装置では欠損部分を右上肢と同等と推測して左上肢の結果を算出することができるので、推測値ながら全身骨の骨密度を得られて便利だと思いました。
Q5:スループットはいかがでしょうか。
1検査あたりの検査時間は、当院で最も多いルーチン撮影である『腰椎正面+左股関節』の検査において、患者が入室(患者の脱衣着衣を含む)してから患者用に提供している検査結果の印刷終了まで、旧装置では平均で13.0分だったのに対して本装置では9.8分に短縮できました。
当院では予約検査枠を基準に運用していますが、当日受診での臨時検査も随時受け付けています。検査数については、撮影の種類にもよりますが、午前中においては旧装置では最大12件程度でしたが、本装置では18~20件対応可能になりました。
本装置は旧装置と比較して撮影後の解析処理に要する時間が短くなりました。そのため、旧装置において臨時検査が多い時間帯に生じる混雑時の検査待ち時間が、1時間程度から30分程度に改善されました。
本装置が稼働してから7カ月経過し1080件ほどの検査を実施しましたが、毎年定期的に検査を受けられている患者から、本装置になって検査時間も検査後の待ち時間も早くなったと大変好評です。
Q6:旧装置からのデータ移管についてはいかがですか。
旧装置からの患者の測定データ移管については、技師サイドでは多少不安がありました。装置が変わることによる骨密度測定結果の変動についてです。
メーカー側からは、旧装置のデータを本装置に移管する際には、所定の変換係数で調整するとの事でした。
稼働後半年ほど経過し、旧装置での過去検査歴がある患者を多数検査しましたが、大腿骨の骨密度の場合、前回測定値との変動幅は旧装置の過去歴の変化履歴と同程度で問題はないようです。しかし、腰椎の骨密度については本装置での検査の方が、 患者の加齢などの状態変化などもあるからか、旧装置よりわずかに高めに出る傾向があるような印象ですが、現在のところ医師からの問い合わせは特にありません。
Q7:GE装置に望むことがあればお聞かせください。
装置の使用感もさることながら、導入当初よりアプリケーション担当の方のきめ細かいサポートがあり、大変満足しております。今後もご助力をいただきながら、本装置を診療に役立てていきたいと考えております。