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Lunar iDXA

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PRODIGY Fuga

※お客様のご使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

Lunar iDXA  販売名称:X線骨密度測定装置Lunar iDXA
医療機器認証番号:21800BZX10007000

PRODIGY Fuga  販売名称:X線骨密度測定装置 PRODIGY
医療機器認証番号:21500BZY00582000
PRODIGY FugaはenCORE SW V16.sp1以降のVersionを搭載する
上記医療機器のニックネームです

全身用骨密度測定装置(GE社製DXA骨密度測定装置 PRODIGY)の使用経験

医療法人社団 慶泉会 町田慶泉病院
放射線科 技師長 清野 崇 様



当院では整形外科 上野正喜部長が骨粗鬆症診断・脊椎圧迫骨折の治療(骨粗鬆症薬、BKP)を積極的に行っている中の全身用骨密度測定装置GE社製 DXA骨密度測定装置 PRODIGY(以降、DXA装置PRODIGYと記す)は、骨粗鬆症の診断、薬剤(内服・注射など)治療の効果測定、更に経皮的椎体形成術(BKP:バルーンカイホプラスティ)などの脊椎整形外科的な治療後の診断の一つとしても使用されています。


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DXA装置 PRODIGYの導入、検査
当院の放射線科ではDXA装置PRODIGYを2015年に導入しました。週6日間(月~土)で常勤技師(5人)で適宜対応しています。写真(図1と図2)のとおり、限られたスペースですが、専用の検査室を設けています。操作室は、X線防護壁で放射線科と隔てられているだけで、操作者は他の放射線機器(X線撮影装置など)へのアクセスが容易な位置取りとなっています。一般X線撮影装置と同室に設置されなかったのは放射線科全体の生産性の維持を図るために良かったと思っています。


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検査件数はおよそ月間で60件です。導入前は20件/月であったのに、現在では60件/月であることから着実に検査件数が増加しているといえます。



DXA装置PRODIGYの特長
DXA装置PRODIGY導入前後に気付いたポイントを以下に列挙してみます。一言でいえば、患者様、医師、操作者である技師にとって、迅速・簡単・快適・正確・安全であれば良いわけですが、それを実現させるにはただ漫然と装置だけに依存していても実現できないことも改めて判ります。



(1)ディテクターの配列、鋭角ファンビーム。広角的ファンビームとの比較
図3をご参照ください。

ディテクターを脊椎に対し平行に配列し、鋭角ファンビームX線Dual Energyを活用している:ディテクターを脊椎に対して垂直に配列する広角ファンビームと比較すると正確で再現性の高い測定ができるように工夫されています。鋭角ファンビームを互いに走査ごとに重複して計測することにより、計測する骨の位置を割り出し、広角ファンビーム特有の拡大誤差の影響を受けない骨面積値が獲れるように工夫されています。

さらに照射野も小さく、被検者の被ばく量や散乱線量の低減にも効果があります。


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(2)測定の流れ(体位、手間、手順) ~ワンスキャン(OneScan)~
図4「検査の流れ」をご参照ください。


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DXA装置PRODIGYでは腰椎と大腿骨を別々の体位でScan – 解析するモードと腰椎と大腿骨を同じ体位で一度にScan – 解析するモードのどちらでも対応できます。

当院では、腰椎と大腿骨(左大腿骨)を同一体位で一連の測定で実施しています。受診患者の大多数が高齢で体の自由が余り効かず、体位の維持も難しいので、腰椎測定と大腿骨測定を別々に体位を取ることは患者さんにとって困難である一方、我々技師にとっても手間がかかります。また2つの体位を取ることによる測定データ再現性への影響も考えられます。1つの体位で腰椎・大腿骨の2つの部位を測定できるのは生産性、測定データ再現性に効果があると考えます。



(3)患者さんとのコミュニケーション ~多彩なレポートフォーマット~


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測定時の声掛けと体位を取るときの補助には気を使っていますが、測定レポートは当院内関連科の先生と相談しながら患者さんに理解しやすくなるように工夫しています。図5「レポート例」をご参照ください。骨粗鬆症においては患者さんの治療の継続維持が難しいと聞いておりますので、その点も念頭にいれ、患者さんにもわかりやすいレポートを使用したり、患者さんのモチベーションを維持するような接し方を心掛けております。



(4)骨粗鬆症の進んでいる患者さんのX線画像とDXA装置BMD測定範囲の判断と処理

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高齢で(背中が丸くなったりして)見るからに骨粗しょう症であろうと思われる患者さんのDXAでの骨密度測定を行い、意外にも骨密度が高くて驚いたことは皆様も経験されていることではないでしょうか?

脊椎の脆弱性圧迫骨折や骨硬化などがある骨粗鬆症患者さんの腰椎L2-L4の平均BMD値が正常値を示すことがあります。比較的新しい圧迫骨折や骨硬化がある椎体では椎体が圧縮された状態となり、X線の透過に影響を与えますので、BMD は高くなる傾向にあります。そういったケースでは、圧迫骨折や骨硬化のような変化を生じた椎体を除外して評価します。(このような椎体を含めて計測すると、当然、BMDは上昇しますので、その場合、腰椎L2-L4平均BMD値が正常値を示すことは、測定装置としておかしいことではないと判断しています。)また、脆弱性骨折があればBMD値に関係なく骨粗鬆症とされ、治療対象になります。大きなアクシデントもなく骨折した場合、それは脆弱性骨折であり、骨密度に関係なく骨強度が低下していると考えているそうです。その場合には脊椎の骨密度はあくまでも参考値として扱い大腿骨骨密度結果に注目しています。図6-aとbで脊椎の脆弱性圧迫骨折や骨硬化などがある骨粗鬆症患者さんの腰椎L2-L4の一般撮影画像と骨密度測定値をご参照ください。



(5)BKP後の測定
椎体に骨セメントを注入してあるため手術部位以外、所謂、腰椎での測定は避けて、大腿骨での骨密度測定を行います。更に隣接椎体の経過も一般撮影 MRi DXA装置PRODIGYなどで注意して観察しています。図7「BKP後の患者さん経過観察における画像診断」をご覧ください。


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BKP施行後から3か月目に下位隣接椎体(L3)の骨折を認めました。BKP後はセメントをマスクしても大腿骨と大きな骨密度のかい離が生じることがあります。また、図8-a.とb.をご覧いただくと、BKP後はセメントをマスクしても大腿骨と大きな骨密度の乖離が生じることがあることが判ります。


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(6)遅発性神経麻痺に対するインストゥルメンテーション手術後の測定
椎体にScrewをはじめとするimplantが挿入固着されているので、上記BKPと同様、腰椎での測定は避けて、大腿骨での骨密度測定を行います。更に隣接椎体の経過も一般撮影 MRi DXA装置PRODIGYなどで注意して観察しています。図9をご覧いただくと、固定の上下端などで骨折を起こすことがあるため腰痛を訴える場合にはMRI画像診断が有効であることがお分かり頂けると思います。


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続いて、図10をご参照ください。図10-aは、後方除圧固定術を施行したMRI画像です。T12の偽関節による椎体形成術を行いました。図10-b.にあるとおり、遅発性神経麻痺に対して、DXA装置PRODIGYでは腰椎はL4のみしか測定できないため大腿骨を主に測定評価・判断します。


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Closing
最後に、当院において、DXA装置PRODIGYは骨粗鬆症診断と薬剤治療の効果測定と外科的治療・BKP(バルーンカイホプラスティ:経皮的椎体形成術)やインストゥルメンテーション手術後のフォローアップに寄与しています。当院では今後も安全に確実な検査を継続していきたいと思います。