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Lunar iDXA

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PRODIGY Fuga

※お客様のご使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

Lunar iDXA  販売名称:X線骨密度測定装置Lunar iDXA
医療機器認証番号:21800BZX10007000

PRODIGY Fuga  販売名称:X線骨密度測定装置 PRODIGY
医療機器認証番号:21500BZY00582000
PRODIGY FugaはenCORE SW V16.sp1以降のVersionを搭載する
上記医療機器のニックネームです

地域における介護予防のための骨粗鬆症診療

岩手県大船渡市 医療法人盛紀会 鳥羽整形外科医院
院長 鳥羽 有 先生/診療放射線技師 井上 春樹 様



2007年からお使いいただいていた弊社全身用X線骨密度測定装置の古いモデルDPX-BRAVO(以降、BRAVO)から、2017年に新しいモデルProdigy Fuga Compact(以降、Prodigy C)に御切替えいただいた鳥羽整形外科医院様 院長 鳥羽 有 先生と、診療放射線技師 井上 春樹 様にそのご経験をお聞きいたしました。


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鳥羽整形外科医院について
当地でも少子高齢化の傾向が顕著です。

院長先生:当院は1977年に開院し今年で40周年を迎えました。2011年の東日本大震災で同じ医師会の陸前高田市で開業されていた整形外科医の先生がお亡くなりになったため、患者さんが集中して非常に忙しい時期もありました。震災から6年が経過し、ようやく落ち着きを取り戻し始めたところです。少子高齢化の傾向は震災前からありましたが、それが更に顕著になってきています。そのため、来院される患者さんは高齢者が中心です。

当初は前腕DXAから腰椎DXAに切替えて骨粗鬆症診療に取り組みました。

院長先生:私が当院で診療を開始して13年目になりますが、当初は前腕DXAを使用していました。前腕DXAと骨代謝マーカーを併用して骨粗鬆症診療を行っておりましたが、特に治療効果判定において限界を感じておりました。骨粗鬆症で最も骨折の多い脊椎で骨密度を測定する必要性を痛切に感じておりましたので、2007年に腰椎で測定できるDXA装置BRAVOを導入しました。他社と比較しても装置の外寸がコンパクトで、価格も手頃ということで選定しました。

椎体骨折の治療を行った後、骨粗鬆症の治療を開始し、次の骨折を予防しています。

院長先生:当時MRIを先に導入して診療しておりましたが、骨粗鬆症による新規椎体骨折が予想以上に多いことがわかっておりました。
そこで、MRIによる新規椎体骨折診断と腰椎DXAの組み合わせで骨粗鬆症診療を進めていくことにしました。当院において骨粗鬆症診療の入り口は、骨粗鬆症による新規椎体骨折の患者さんが中心です。それは1次予防ではなく2次予防になってしまいますが、まず骨折治療を行った後、次に骨粗鬆症の治療を開始し、継続していくことで次の骨折が予防されるということを説明しながら骨粗鬆症診療を行ってきました。測定患者数は1日平均4,5件ですので、週に20件以上になります。薬剤は多種多様ありますが、処方する薬剤の基本方針として骨折のある患者にはビスフォスフォネート製剤、骨粗鬆症の程度が強い方には活性型ビタミンD3製剤を追加します。それでも、なお更に骨折が続く患者さんにはヒト副甲状腺ホルモン(PTH)製剤や抗RANKL抗体製剤を使用します。骨粗鬆症検診で骨密度低下を指摘されて当院を受診される50~60歳代の女性患者さんには、1次予防として選択的エストロゲン受容体作動薬(SERM)を処方することが多いです。


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BRAVOからProdigy Cへの切替えを決断した経緯
院長先生:骨粗鬆症を診療していくにあたり、腰椎の骨密度測定だけでも悪くはありませんでしたが、大腿骨近位部骨折は要介護状態になるか否かの最も重要なイベントであります。BRAVOでも腰椎と大腿骨を測定できましたが、同時測定ができないため時間が長くかかりました。患者さんの検査時間、他の患者さんの待ち時間、当院における全体的な効率を考え、BRAVOでは基本的に腰椎の測定だけを行っておりました。しかし、椎体骨折がある人は大腿骨近位部骨折の危険性がより高くなります。平成25年厚生労働省国民生活基礎調査で要支援・要介護状態になる原因疾患の1位は運動器の障害であり、骨粗鬆症による大腿骨近位部骨折はその中で最重要疾患の一つと考えられます。


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骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版においても、骨密度は腰椎と大腿骨近位部の両者を測定することが望ましいとされております。また腰椎と大腿骨近位部を同時に測定することで保険点数の加算もあります。BRAVOが製造中止になる情報を耳にしたのを切っ掛けに、DXA装置を腰椎と大腿骨近位部を同時に測定できるモデルへ切替えることにしました。当初は新製品Choraleへの切替えも考えましたが、Prodigy CもBRAVO、Choraleと同様に装置の外寸がコンパクトで価格も手頃でしたし、更にChoraleよりもProdigy Cの方がより測定時間が短く、X線撮影室を効率的に運用したいという当院のニーズに合っていました。これらのことを総合的に考え、Prodigy Cへの切替え導入を決断しました。


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Prodigy C導入後:患者さん向けレポートの検討
院長先生:測定結果を患者さんにお伝えする医師の立場として述べます。BRAVO使用時には、測定結果のレポートは患者さん用と医院保存用があり、それぞれ別の形式でした。今回Prodigy Cへ切り替えるのを切っ掛けに、測定結果のレポートは患者さん用と医院保存用を同じものとし、腰椎と大腿骨近位部の骨密度を1枚に上手くまとめて表示させるよう工夫しました。患者さんが一目で分かるようなデザイン・レイアウトに仕上がったと思っております。(※図:こちらは当院のレポート・サンプルです。)実際の診療でも、患者さんの骨密度の理解に役立っていると思います。導入した日は休診の土曜日の午後から当番医であった日曜日にかけてでしたが、時間をかけてレポートに何を掲載し何を割愛するかをじっくりと吟味し、様々なレポート例も参照してレポートのデザイン・レイアウトを練り上げた甲斐がありました。


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新しいモデルがもたらした操作性、生産性、安心感
技師様:私は装置を操作する技師として述べさせていただきます。BRAVOと比較するとProdigy Cは撮影可能領域が拡がったお蔭で、患者さんのポジショニングにさほど気を使わずに測定を行えるようになりました。


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BRAVOは測定時間がかかりましたので、腰椎測定だけをしていました。その際には、脚上げマットを使って測定していました。Prodigy Cでは測定時間が短縮されたことから、腰椎と大腿骨の測定をしています。脚上げマットを使わないため脚上げ・脚下げが不要で、脚を伸ばした楽な姿勢で腰椎から左右いずれかの大腿骨を一度に測定しています。ポジショニング時間も短縮されたため、BRAVOによる腰椎だけの測定よりも、Prodigy Cによる腰椎と大腿骨の測定の方がより短時間で測定できるようになりました。


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また、検査時のソフトウェアの起動、調節時、再設定時にもソフトウェアの反応が早くなったことで、患者さんの待機時間も短縮されたことにも好感触を持っています。検査時間の短縮が実現されたもう一つの理由は、X線ビーム方式がBRAVOのペンシルビ-ムからProdigy Cの鋭角的なファンビームに変更されたことも上げられるかと思います。


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データのコンバートについて
院長先生:BRAVOからProdigy Cへのデータコンバートは全く問題ありませんでした。
更に、診察時に「骨密度測定の装置が新しくなったので、腰の背骨といっしょに太ももの付け根も測定出来るようになりました」と紹介して嫌な顔をする患者さんは1人もいません。患者さんの中には「どちらかというと腰の背骨より太ももの付け根に興味ありました!」というコメントを下さる患者さんもいらっしゃいます。



ワークフローの改善について
技師様:グローバルROIなどの設定をする必要がなく、Scan測定終了後すぐに自動的に解析をして結果を表示してくれます。操作者である私はその自動解析が正常に作動し結果を出しているかを確認するのが主な役割になります。勿論、必要であれば修正を行いますが、装置は自動でちゃんと分析して結果を出してきますので違和感なく使えています。Prodigy Cに切替えてからは、患者入室から順調に測定が進む方であれば、腰椎と大腿骨の測定でも3分間、寝たり起きたりが困難な方の場合には4,5分間位程度です。BRAVOですと腰椎だけの測定だけで4,5分間かかっていましたので、Prodigy Cでは、その3分の2位にまで時間短縮されたことになると思います。


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X線の被ばくについても気になられますか?
弊社のDXA装置Prodigy Cにはスマートスキャンという機能が搭載されています。
技師様:X線被ばくについては以前から気にはしていますが、骨密度測定装置に関してはそもそも低被ばくであることは認識しておりました。骨密度測定装置におけるX線照射は、他のX線を使った診断装置(CT、X線一般撮影装置など)と比較すると非常に低いと記憶しています。骨密度測定装置による腰椎・大腿骨測定は、胸部一般レントゲン写真撮影の約1/6程度に相当だったと思います。(※Prodigy Fuga 製品カタログ JB38297JAより抜粋)ですから、Prodigy Cを選定するに当たっては特別に気にしていませんでした。ただ、広角のファンビーム方式ですと測定する骨の形状や位置とは関係なく一度に広範囲にX線を照射しますが、Prodigy Cは鋭角的なファンビ-ムでX線照射していますし、骨領域を自動認識しながらその周囲の軟部組織に適当な範囲を自動的に検知しX線照射するスマートスキャンという技術も使われているので、短時間なだけでなく無駄なX線照射も抑えられているので、被ばくも少なくなるでしょう。患者さんには安心して骨密度測定の検査を受けていただけていると思います。


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Prodigy Cに切替え、短時間で測定できるようになり、医院にとっても患者さんにとっても改善が得られた。
院長先生:装置を切替えて測定時間が短縮されたことから、以前は諦めていた腰椎と大腿骨の同時測定を開始できました。骨密度測定の流れがスムーズになりましたので、院内における検査全般の効率も上がりました。スタッフのストレスも減ったように思います。待ち時間が減ること、検査姿勢が楽であること、被ばくも少ないこと、腰椎だけでなく大腿骨の骨密度診断情報も得られること、それらは全て患者さんにとって良いことです。腰椎と大腿骨の同時測定による診療報酬の加算は医院経営にとっても良いことです。まだ導入して半年が過ぎた程度ですが、最近2回目の検査の患者さんが出てきましたので、これから患者さんの検査に対する評価もさらに聞くことができるものと思われます。当院はX線撮影室に骨密度測定装置を配置していますが、通常は最初にX線撮影を行います。その際に、患者さんからProdigy Cを指さして「それはなに?」と問われることがあります。「骨密度を測定する機械です」とお答えしています。おそらく患者さんは新しい装置を観て興味が湧くのだと思います。そのお蔭か、骨密度測定を希望される方が増えて来ているように思います。


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BRAVOから最新モデルへの切換え導入を躊躇されておられる全国の皆さまへ
院長先生:経営者であり、整形外科医である立場から皆様に申し上げます。BRAVOからProdigy Cに切替えることで、患者さんにとっても、技師や看護師にとっても、医師にとっても、経営にとっても改善が得られました。


技師様:操作者である技師の立場から皆様に申し上げます。BRAVOをお使いのご施設様がProdigy Cに変えることで、格段に仕事の効率も良くなり、落ち着いて仕事ができるようになります。



前腕DXAを使用されていて全身DXA骨密度装置の導入に躊躇されている先生方に
院長先生:それぞれ設置スペースの問題や設備投資のご都合などもあるかとは思いますが、骨粗鬆症診療において整形外科医が整形外科としての専門性を発揮するためには、前腕DXAでは不十分だと思います。腰椎・大腿骨を測定するべきです。骨代謝マーカーは日内変動があるもの、保険診療において検査回数に制限があるものがあり、特に治療効果の判定において限界を感じます。骨粗鬆症の患者さんは高齢者で認知症や難聴を併発している場合も多いため、複数の検査結果を説明し理解していただくことは困難だと思います。やはり、今現在においては腰椎・大腿骨を同時に測定できる骨密度測定装置を利用した診療がベストだと思います。よく骨粗鬆症の患者さんが途中で治療を自分で中止してしまう話を聞くと思います。その一因は当院でも以前に行っていた前腕DXAと骨代謝マーカーによる組合せによる診療などで、せっかくお薬で治療しているにも関わらず治療効果判定ができず、患者さんが治療効果を実感できないことだと思います。骨粗鬆症の治療を継続して腰椎・大腿骨の骨密度が維持されていることや上昇していることを患者さんにわかりやすく説明すること、そして骨密度が上がった際には「お薬をきちんと続けたからですよ!」と励ましてあげることが骨粗鬆症診療には欠かせないと思っています。ですから、整形外科の先生方には状況が許されるのであれば、当院のように腰椎・大腿骨を同時に測定できる骨密度測定装置の導入をご検討されることをお勧めします。



最後に:今後の展望
院長先生:新たに骨密度測定装置をProdigy Cに入れ替えたことで患者さんやスタッフへの負担が軽減されましたので、腰椎・大腿骨の骨密度測定の重要性を患者さんやスタッフと今後も享受して参りたいと思います。更に、新規骨折診断に絶大な威力を発揮するMRIも当院にはありますので、骨粗鬆症を起因とする骨折を早期に発見して治療し、その後骨粗鬆症の治療を行ってProdigy Cで治療効果を評価しながら2次予防をしていきたいと思います。1次予防と2次予防を併せて行い、それが最終的に地域の介護予防に繋がっていけばと考えています。


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