骨密度装置のフォトンカウンティング技術
GEヘルスケアのDXA装置の検出器に搭載されている、フォトンカウンティング技術についてご紹介します。
DXA法は、その名のとおり高エネルギーと低エネルギーの2種類のX線を用いて撮像を行います(図1)。高エネルギーのX線は透過力がありますが、低エネルギーのX線は透過力が弱いために骨部で大きな減衰が起きることになります。その2つの差分をもとに、骨部でのX線減衰の度合いから骨量を求めています。実際のX線の照射部位には骨の前後に軟部組織が含まれているため、骨を含まない近接部位から得た軟部組織のX線減衰の情報を脂肪組織の割合も考慮してベースラインを設定して補正に用いています。最終的に、このベースラインとなる軟部組織と骨部の減衰の合計値をさし引くことで、骨量を計算しているわけです。
図1. DXA法の原理
GEヘルスケアのDXA装置では、高エネルギーと低エネルギーの2種類のX線を取り出すために、K-エッジフィルターを使用しています(図2)。連続したエネルギーを持つX線を、K-エッジフィルターに透過させることで余分な中エネルギー領域のX線をブロックし、必要な高エネルギーと低エネルギーのX線だけを被検者へ照射することができるため、他の方法に比べて被ばくを低下させることができるメリットがあります。また、高エネルギーと低エネルギーの2つのX線を得るために高速で電圧を切り替える必要がないため、切り替え時のエネルギーの揺らぎを抑えることもでき、定量測定に適した常に安定したX線照射を使うことできるため、計測精度もあがり、タイムラグなく2種類のX線を照射することができるのも、K-エッジフィルターの利点といえます。
図2. K-エッジフィルター
GEヘルスケアのDXA装置では、このK-エッジフィルター透過後のX線の受け手となる検出器にフォトンカウンディング(光子計測法)を採用しています。フォトンカウンティングとは、ある一定値以上のエネルギーを持ったX線光子数をカウントすることでデジタル信号化することのできる検出技術のことです。近年、被ばく低減に取り組むCTやPETなどにも商用化されてきた検出効率の高い検出技術です。フォトンカウンティングでは、検出する高エネルギー帯と低エネルギー帯に、それぞれ上限と下限となるしきい値が設けられており、そのしきい値間のエネルギーをもつ光子数をそれぞれデジタルカウントします(図3)。そのため、それぞれのエネルギー帯で検出される光子には高/低のエネルギー混在が起きることはありません。
X線の発生方式と検出方式には様々な方法があり、各方式には利点と欠点があるわけですが、GEヘルスケアでは発生器側のK-エッジフィルターと検出器側のフォトンカウンティングの技術を組み合わせることで、それぞれがもつ利点を生かしながら、被ばく量低減と測定精度の向上に取り組んでいます。
高エネルギーの光子(緑)と低エネルギーの光子(黄)数をデジタルカウントする図3. フォトンカウンティング
Reference
1)Gruen TA, McNeice GM, Amstutz HC.“Modes of failure”of cemented stem-type femoral components.
Clin Orthop 1979;141:17-27
2)GE Healthcare Lunar News 08. 岩瀬 敏樹先生著 DXA(デキサ)X線骨密度測定装置 人工股関節大腿骨側
コンポーネント周囲骨密度計測の臨床的意義