※お客様のご使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。
DXA装置に用いられている照射方法には、大きく分けて3つの方式がある。初期のDXA装置は、X線を線状に細く絞ったペンシルビーム方式という照射方式が採用されていた。ペンシルビーム方式は被ばくが少なく、対象骨の投影像に拡大誤差が発生しにくいため、高い測定精度を実現できるというメリットがあった。ただし、そのビームサイズからスキャン時のスイープ回数が多くなるため、測定時間が非常に長くなるというデメリットがあった。このペンシルビーム方式の持つ課題に対して次に生み出されたのが、ワイドファンビーム方式である。幅広い検出器全体に扇状のX線を照射して1回のスイープで測定を行うワイドファンビーム方式は、測定時間が短縮できるため、一般的にも広く普及した。当社でも古くは、ワイドファンビーム方式を採用していた(図1)。

しかしながら、ワイドファンビーム方式には大きな課題があった。扇状にX線の広がりを持つワイドファンビーム方式では、投影される骨面積にどうしても幾何学的な拡大誤差が生じてしまい、結果として、骨密度(BMD)の過小評価につながってしまう(図1(b))。また、その骨面積の拡大誤差の程度は、被写体の位置、例えばベッド中心からの左右方向のずれや被写体厚に起因するベッド面からの高さ方向の違いによって、投影される骨面積が大きく変化することになる。つまり、1回1回の測定精度だけではなく、ポジショニングや被検者の体格変化等によって、経過観察中の再現性にも影響がでることになる。そのため、操作者はシビアなポジショニングを求められることになるが、被検者の状態によってはそれが難しいことも多々ある。また、ワイドファンビーム方式では幅広いX線束を覆う多くの検出素子が必要となるため、素子毎の感度の不均一性のリスクや検出素子の故障リスクが上がること、幅広いX線照射によって不必要な部分への被ばくを増やし、かつ、周囲への散乱線も多くなるといった側面もあった(図1(c))。骨密度検査は画像診断ではなく、高い測定精度が求められる定量的な検査である。そのため、ワイドファンビーム方式が持つこれらの課題を打破し、なおかつ、測定時間も短縮させるために生み出されたのが、鋭角ファンビーム方式である(図2)。

鋭角ファンビーム方式では、体軸横方向に対してペンシルビームのように細く絞られたX線を使用することで、幾何学的な拡大誤差を抑制することができる。つまり、側弯症の腰椎撮影時や大腿骨近位部の撮影時等、被写体がX線の線束中心からずれている場合でも測定誤差を抑えることができる。また鋭角ファンビーム方式では、体軸縦方向には検出器を複数配列することで幅を持たせ、対象骨を自動追従しながら必要最低限の範囲だけをスイープさせることで、測定時間や被ばく量も低減させることができる(図2(b)(c))。
各スイープはオーバーラップした形で行われ、最終的に各スキャンで得られた画像に対して画像再構成が行われる。CT等にも使用されているこの再構成技術はMVIR (Multi-View Image Reconstruction)と呼ばれ、体軸方向に生じた各スイープ間の歪みをなくし、正確な骨面積を提供する(図3)。

ファンビーム方式による腰椎撮影では、腰椎と大腿骨撮影時にポジショニング変更を行う必要があった。対して、鋭角ファンビームを採用したDXA装置では、膝を伸展した仰臥位のまま、腰椎も大腿骨近位部も連続して計測することができる。幾何学的拡大誤差や被写体位置による影響を受けない鋭角ファンビームの特性を生かした撮影方法である(図8)。これにより、1回のポジショニングで腰椎と大腿骨近位部を連続計測し、測定精度を下げることなく検査効率を向上させることができる。被検者もベッドに横たわるだけの安定した体位維持ができ、操作者と被検者ともに検査負荷が軽減できるメリットがある。

また、スキャン終了後は、解析範囲や骨領域、軟部組織などの領域設定や解析が自動で行われ、わずか数秒で計測結果とトレンドグラフが表示される。この一貫したフルオートの解析プログラムでは解析時間を短縮できるだけでなく、操作者のマニュアル操作の頻度が減り、操作者間の変動誤差を抑制できるため、長期的な経過観察にも役立つといえる。
骨密度測定のゴールドスタンダードであるDXA装置には、高い測定精度、常に安定した計測(高い再現性)、X線被ばくの低減、そして検査の効率性が求められている。医療技術は日々進化を遂げている。本稿では、長きにわたる骨密度測定装置の開発・製造の歴史をもつ当社が、その膨大な納入実績から生み出した技術とその変遷を紹介した。

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