装置の治験活用について~
今回は、DXA装置を活用した新薬の効能などを調査するための治験に関する情報をお伝えいたします。 当社のDXA装置をご使用中のお客さまより、「DXAを活用した治験に参加する。 どのような装置のQC(Quality Control:品質管理)や情報を伝える必要があるか」などのお問い合わせを多くいただきます。 治験においてDXA装置を活用する場合の多くは、多数の患者を対象とした第三相試験(フェーズⅢ)です(図1)。 DXA装置を活用した治験では、骨粗鬆症の治療薬が主ですが、最近ではDXA法の体組成計測を活用した治験も行われているようです。
治験の実施においては、治験ごとにプロトコル(実施要綱)が定められており、その内容に沿った手順や情報が要求されます。 DXA装置を活用した治験の場合、様々な情報やデータの提供が要求されます。 要求される情報やデータとしては主にご使用中の装置のQAデータやPhantom計測データ、および対象被検者の検査データの提供が主なものとなります。
QAデータ
毎朝、DXA装置で行っていただいているQA(Quality Assurance:品質保証)のデータファイルを治験開始前に要求される場合があります。 これは治験に使用する装置が、納入時より安定的に稼働してきているかを確認するためQCチェックに使用されます。 また、治験終了時にもこのQAデータを要求される場合があります。 このQAデータの中には、X線管や検出器の状態を示す情報や装置の機械的な動作を示すもの、およびQA時に計測した高密度、中密度、低密度の基準ファントムの測定値、および高脂肪、中程度脂肪、低脂肪の基準値の測定値などが含まれております(図2)。 長期にわたる治験となりますので装置の長期安定性を確認するためのQCチェックに使用されます。 QAデータの取り出しは、システムより簡単に取り出せますので、その際は弊社までお問い合わせしていただければと思います。
腰椎ファントムデータ
装置に付属している腰椎ファントムのデータ(生データ)を要求される場合があります(図3)。 この腰椎ファントムデータは、治験開始前、治験中、および治験終了時に要求される場合が多いようです。 特に治験開始前や終了時には、この腰椎ファントムを複数回(例えば10回)計測し、その計測データそのものの提出を要求されます。 また、治験のプロトコルによっては治験期間中も定期的にそのファントムを計測し、そのデータの提出を要求される場合があるようです。 このファントム計測に際しては、このファントムを通常の患者と同様に登録しますが、その際プロトコルに指示されている情報を氏名、生年月日、性別などを入力し、使用するファントムのシリアルナンバーを指定の項目に入力が求められる場合があるようです。 また、通常の患者データベースとは別に、このファントム専用のデータベースの作成を要求される場合もあり、ファントム計測時は常にそのファントム用データベースを使用してファントムを計測する必要があるようです。 このファントムの計測は腰椎正面測定で計測して解析します。 ファントムデータの提出にあたっては、CDなどのメディアにコピーして提出したり、インターネットを経由してこのデータを提出する場合があるようです。 提出方法は、治験コーディネーターにご確認いただければと思います。 また、このファントムのデータもDXAシステムより、簡単に取り出しが可能ですので、弊社までお問い合わせしていただければと思います。
治験対象被検者の検査データ
これはもちろん治験に参加された被検者の指定された部位の検査データですが、その提出方法においては様々あるようです。 DXA検査後、その結果を解析して結果のプリントを提出する場合や、検査ファイルそのものを提出する場合。 もしくは、二重盲検試験(ダブル・ブラインド・テスト)方式の治験の場合、解析を行わず未解析状態のまま検査データを提出する場合があるようです。 この二重盲検試験での治験は、治験に参加した被験者群を2グループに分け、一方の群には被験薬を、もう一方には対照薬(プラセボ:偽薬など)を投与して比較するもので、どちらのグループにどちらの薬を投与しているかを医師、患者、スタッフが誰も知らない状態で行う方法です。 このように未解析で提出した検査データは、第三者機関の中央解析センターに送られ、客観的な解析を行い、効能評価の確認を行っているようです。 対象の検査データも、前述したファントムデータと同様にDXAシステムより簡単に取り出しが可能ですので、弊社までお問い合わせしていただければと思います。
その他
治験のプロトコルによっては、治験期間中の装置自体の更新や、装置のバージョン・アップ、もしくは装置の故障等が発生した場合など、いくつかの規定がありますので治験コーディネーターの方とよく確認して治験を実施していただければと思います。
以上、弊社が知り得るDXA装置を活用した治験の際に、要求される主なものを列挙しました。 ご使用いただいているDXA装置を治験分野にも、ご活用いただければ幸いでございます。