始まり
GE HealthCareの骨密度装置における歴史は古く、その始まりは1973年にまでさかのぼります。
当時NASAの宇宙計画のために、ウィスコンシン大学の骨研究から生まれた骨密度測定装置を商業化するために、1973年にLunar Radiation corporationが設立されました。
同大学の医学物理学科の名誉教授であるRichard B Mazess博士が創設者として立ち上げたこの会社はたった20年間で、年間売上高 1 億ドルにまで成長しました。
その後、医療機器の分野で発展を遂げてきたGE社と2000年に合併し、GE HealthCareの骨密度測定装置としてさらなる飛躍を遂げ、今や全世界の臨床の場で活躍する装置となりました。
1978年 ここから始まる
世界で初めて実用化されたのは、SPA(Single Photon Absorptiometry) 法による前腕骨専用の骨密度測定装置(SP-1型)でした。そのわずか2年後の1980年には、DPA(Dual Photon Absorpyiom- etry)法を用いた初めての腰椎・大腿骨用の装置が開発されました。これにより、前腕骨よりも海綿骨の割合の多く、骨密度の変化をしっかりとらえることのできる腰椎測定が、骨密度測定における主要検査部位として普及し始めました。しかし、当時の腰椎の測定時間は約20分もかかっていたのでした。
SP-1世界初の骨密度測定装置を開発・実用化
DP-3・4世界初の全身用DPA装置
1980年代後期 第一世代の誕生
いわゆるDXA法の “第一世代” と呼ばれる、ペンシルビーム方式のDXA装置が誕生しました。当時としては画期的な方法で、細く絞ったX線を用いるペンシルビーム方式では、精度の高い測定と被ばく線量の大幅な低減を可能としました。しかし、細く絞ったX線では測定部位を計測するのに約5分以上かかることが欠点でした。
DPXペンシルビーム方式(DXA法の第一世代)
そして、第二世代へ
そこで次に生まれたのが、DXA法の “第二世代”といわれるワイドファンビーム方式のDXA装置です。1995年に確立したこの測定方式により、腰椎の測定時間は1分以下に短縮することができました。比較的、技術面としても簡便な方法であるワイドファンビーム方式は広く世間に普及しました。しかし、扇状に広がりのあるX線をもちいたワイドファンビーム方式では、被写体の投影像である骨面積が拡大するという、幾何学的拡大誤差が生じ、測定結果に影響するという潜在的な問題がありました。
EXPERTワイドファンビーム方式(DXA法第二世代)
ついに、第三世代の時代へ
そこでGE HealthCareは、さらに進化を成し遂げます。 “第一世代” “第二世代”を経て、その後の1998年、GE HealthCareはついに “第三世代” といわれる、鋭角ファンビーム方式の開発に成功しました。 この革新的なスキャン方式により、 “第一世代” のペンシルビーム方式のもつ測定精度の高さと被ばく低減に加え、 “第二世代”のワイドファンビームの長所でもある測定時間の短縮も併せ持つことを可能としました。
さらに、被写体位置により幾何学的拡大誤差を抑えることのできる機能(MVIR)を搭載し、腰椎・大腿骨をポジショニング変更なしで連続撮影できるOneScan機能を生み出しました。この画期的なDXA装置は当時の業界での注目を集め、「PRODIGY」という製品名をもって幅広く普及しました。
もちろん、そのスキャン方式の違いはあっても、GE HealthCareでは各機種のデータの相関性をしっかりと検証し、装置更新のお客さまにも安心して新しい技術に移行していただけるように努めています。
第一世代 ペンシルビーム方式のDPXと第三世代 鋭角ファンビーム方式のPRODIGYのデータの相関性スキャン方式が変わっても、自社製品間のデータの相関性はしっかりと担保されている
Bone Density Results with PRODIGY and DPX are Nearly Identical
R. Dore, AC Soriano, H. Bui, H.S. Barden UCLA, Los Angeles, CA, Anaheim, CA, GE Lunar Corporation, Madison, WI
時代とともに、これからも
GE HealthCareはその独自技術を継承しながら、今なお進化を続けています。「PRODIGY」販売後も 高画質のフラグシップモデル「Lunar iDXA」、幅広い臨床ニーズに応えるための多彩なアプリケーションが追加された「PRODIGY Fuga」、限られた設置スペースにも設置できるコンパクトモデルの「PRODIGY Fuga C」シリーズを発売、そして多様化する豊富なアプリケーションソフトを一つのプラットフォームに統合した「enCORE ver18」のリリースなど、時代に合わせたイノベーションを続けています。