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Lunar iDXA

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PRODIGY Fuga

JB10598JA

※お客様のご使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

製造販売:GE ヘルスケア・ジャパン株式会社
X線骨密度測定装置 Lunar iDXA 医療機器認証番号 21800BZX10007000
X線骨密度測定装置 PRODIGY 医療機器認証番号 21500BZY00582000
PRODIGY は、販売名称 X線骨密度測定装置PRODIGYの類型「PRODIGY」のフルサイズテーブル
PRODIGY-Cは、販売名称 X線骨密度測定装置PRODIGYの類型「PRODIGY」のコンパクトサイズテーブル
PRODIGY Fugaは、enCORE SW V16.sp1以降のVersionを搭載する上記医療機器のニックネームです。

DXA法における人工股関節ソフトウェアについて

DXA装置においては、腰椎や大腿骨の骨密度を計測する機能に加え様々な用途に即したソフトウェアが用意されています。
今回はその一つである人工股関節ソフトウェアをご紹介いたします。



人工股関節ソフトウェアの概要
DXA法におけるこの人工股関節ソフトウェアは、全人工股関節置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)を行った被検者のステム周囲の骨密度を計測し、その領域ごとの骨密度の変化をモニタリングすることを目的としたものです。このアプリケーション(Orthopedic Hip Software)では、グルーエン領域(7つの領域)を使用して、それらの領域での骨密度の変化をモニタリング します(図 1)。
従来、人工股関節の全置換を行う領域では、ステム周囲の大腿骨をレントゲン画像上で7つの領域(zone)に分けて評価するGruen分類1)が使用されていました。このグルーエン領域は人工股関節のステムに沿って内側・外側の骨の変化を経時的に観察することを目的としたものです。置換後、人工関節による骨への力学的ストレスの影響が変化することで、強い力が加わる部分の骨強度は高くなり、逆に力が加わらない部分の骨は萎縮するという、「Wolffの応変則」と言われる原則があります2)。また、大腿骨への力学的ストレスの影響は、近位と遠位、内側・外側ではこの影響は異なってくると考えられるためこのようなグルーエン領域が考案されたようです。
人工股関節ソフトウェアでは、このステム周辺の骨の変化を、DXA法の本来持っている骨密度計測機能を応用し、客観的な骨密度値として提供し、その変化をモニタリングすることができます。
なお、すでにステムが挿入されている症例は通常の骨密度の状態を呈さない可能性があるため、この人工股関節ソフトを用いて通常の骨粗鬆症の診断を行うことは適してはおりません。


図 1.グルーエン領域
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当社DXA装置の人工股関節ソフトウェアの概要
【計測時】
当社DXA装置でこのソフトウェアを使用して被検者を計測する場合、図 2のように測定する脚を垂直に固定し、大腿骨自体をまっすぐに設定します。また、計測開始位置はステムの先端より3㎝~4㎝下方より計測を行います。再撮影を減らすためには、他検査の画像もご参照頂いたうえでの測定を推奨します。ポイントとして、被検者によってステムの長さが異なる可能性があるので、計測を開始した際、最初のスイープでステムが画像に混入していないか注視する必要があります。もしステムが混入している場合、測定を中止してリポジション機能を用いて測定開始位置を下方に設定し、再測定します。


図 2.
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【解析時】
当社のこのソフトウェアでは、ほぼ自動的に各解析プロセスが行われます。
まず、すべてのピクセルに関して自動的にポイントタイプ(ピクセルの仕分け分類)を行います(図3)。その際、特に重要なポイントは、骨領域、軟部組織領域、そしてアーチファクト領域です。このソフトウェアの場合、いかに正確にアーチファクトを認識して、計算する部分から除外するかが重要となります。


図 3.
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その後、本ソフトウェアはステムの先端(遠位)を自動認識し、ステムの長さを計測し、その長さの1/3の高さのROIをステムを中心に内外側に設定し、ステム先端部には常に高さ2㎝のROIを配置し、各領域のステム領域を除外した骨領域での骨密度を計算します(図 4)。
この解析プロセスは、自動的に行われ、測定後検査ファイルを開くだけで各ROIの骨密度結果が閲覧できます。また、必要に応じてステムの長さを変更することにより、各ROIを自動的に変更いたします。

また、通常の7つのグルーエン領域解析に加え、ROI1~3、5~7のROIの高さをさらに1/3に分割し、より詳細な領域で解析が行える拡張解析機能も用意されています(図 5)。特殊なケースやより詳細にBMD変化を観察する際に便利です。



図 4.
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図 5.
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また、結果レポートは、各領域ごとの経時変化が一目でわかるようなトレンドグラフ化されたレポートが用意されております(図 6)。ベースライン(初回計測)からの変化が一見で認識できるようになっております。

以上のように、弊社骨密度装置には、特殊な目的に応じたアプリケーションが用意されております。
また、弊社ホームページにも、人工股関節ソフトウェアを使用した実際のお客様からの使用経験が掲載されております。合わせてご閲覧いただければと思います。


図 6.
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Reference
1)Gruen TA, McNeice GM, Amstutz HC.“Modes of failure”of cemented stem-type femoral components.
Clin Orthop 1979;141:17-27
2)GE Healthcare Lunar News 08. 岩瀬 敏樹先生著 DXA(デキサ)X線骨密度測定装置 人工股関節大腿骨側
コンポーネント周囲骨密度計測の臨床的意義