※お客様のご使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。
はじめに~施設紹介
当院は1911年に通信省管轄の『熊本逓信診療所』として開設され、1942年に『熊本逓信病院』に昇格、1981年に企業立病院となり『NTT九州病院』、『NTT西日本九州病院』と名称変更してきました。2011年に全国初の基金拠出型医療法人となり、NTT西日本から独立・移管し、2012年に『医療法人創起会 くまもと森都総合病院』と改称し、2017年に現在の熊本市中央区大江に移転し、創立113年を迎えました。当院の病床数は199床の地域の中核病院であり、二次救急告示病院、熊本県指定がん診療連携拠点病院とし地域に貢献しています。コロナ禍では入院患者の受け入れをし、Covid-19患者のCT検査も対応してきました。
病院外観図
GEヘルスケア社製SPECT単体機からSPECT/CT装置NM/CT 870 DRへの機器更新
当院のCT装置はPhilips社製Ingenuity CT(64列)1台で運用していました。199床の病院としては、2台目のCT装置は必要だが現実的またスペース的に困難な願望でした。核医学装置はGEヘルスケア社製NM630で吸収補正用CTは付いていないSPECT単体機で運用していました。今回、機器更新のタイミングで2022年10月に診断用16列CT付きNM/CT 870 DRへの機器更新を行いました。機器更新を終え、現在では当院の第2のCTとしても活躍できるようになりました。
NM/CT 870 DRの特徴としては、16列32スライスオーバーラップリコン可能で管球6.3MHUと管球容量の大きいCT装置となっております。画像ノイズ低減・被ばく線量低減には逐次近似再構成を応用したASiRを用いることができ、金属アーチファクト低減技術であるSmart MARも使えます。16列CTではありますが、整形外科領域や造影検査などにも十分対応できるスペックとなっています。
当院での自験例ですが、64列CTと16列CTの頚部から骨盤部の1相撮影では被ばく線量に大差なく撮影できています。またMARを用いることでインプラント周囲の情報も得ることができ有用な検査が行えています。
64列CTと16列CTの被ばく線量の比較
MAR +(左)によるインプラント周囲のメタルアーチファクトの改善
当院での運用
当院では年間約610件(3ヶ年平均)の核医学検査を行っています。骨シンチやアシアロシンチ、認知症関連の脳血流やDATスキャン、MIBGなどの検査を中心に行っています。SPECT単体機よりNM/CT 870 DRに機器更新したことにより、CTによる吸収補正を用いて核医学検査の画像、質の向上はもちろんのこと定量解析も行えるようになりました。
核医学検査以外での活用としては、通常のCT検査も核医学検査室で行うようになりました。従来のCT室が繁忙な時には、核医学検査室で撮影を行っています。また、核医学検査室が空いている時間であれば緊急の患者様や感染症疑いの患者様の検査をすることもできるようになりました。また、CT装置の定期点検(年4回)の際でも救急を断ることなく診療を行えています。今後、CT装置の機器更新も予定されておりその際には核医学装置を用いて少しでもCT検査を止めることなくCTの機器更新ができたらと考えています。また今後は、Ai(オートプシーイメージング)も行えるように準備をしております。
まとめ
当院の規模では、CT2台目の購入はハードルが高かったですが、核医学装置による第2のCT装置という考えは技師長をはじめ院長などにも十分に理解してもらい導入することができました。SPECT単体機からNM/CT 870 DRに機器更新したことにより、今では通常のSPECT検査に加えて、第2のCTとして、また点検時にはメイン機として活躍しております。