次世代SPECT装置StarGuideによる
臨床画像診断の新展開
慶應義塾大学医学部 放射線科学教室(診断)
岩渕 雄 様
1. はじめに
当院は2025年4月からStarGuideの運用を開始している。StarGuide は高感度・高分解能を特長とする次世代 SPECT/CT システムで、検査時間の短縮や画像品質の向上が期待できる装置である。本稿では、StarGuideの概要と、導入後の臨床面での評価、実際のワークフロー、運用面での取り組みについて紹介する。
2. 次世代SPECT装置StarGuide
StarGuideは従来のアンガー型カメラと比較して見た目が大きく異なる特徴的なリング状検出器を有しており、検出器が突起状に患者に近接して収集を行うユニークな装置である。この機構により空間分解能を向上させておりCZT検出器を用いる事で高いエネルギー分解能を実現し、低エネルギーから中エネルギー帯のルテチウムの核種に対応している。リリースから数年経過しており、これまで文献等の多くのエビデンスが出ている。ドジメトリにおける177Luイメージングに関するアンガー型カメラと比較検討の報告1) では、StarGuideにおいて鮮明な画像が得られているが、特筆すべき所としてアンガー型カメラに比べて短時間撮影においても綺麗な画像が得られているという事である。これは混雑しているSPECT検査の実運用にも組みこめる装置であると考えられ、新しい核医学治療検査に対しても力を発揮する装置である事が示されている。
StarGuideによる117Lu-PSMA 短時間イメージング
新しい機能としてはClarifyDLがありDeepラーニング再構成でその診断価値を高める。骨シンチに対応しておりノイズを低減しつつ、細かい骨転移病変を明瞭に描出できるメリットがある。
Clarify DL 骨イメージ(右)
興味深い機能としてはDynamic SPECT撮像でSPECTを動態解析にて評価できる事である。実際の応用例としては心筋シンチでの動態解析により心筋血流量(MBF)を計測できるという形で力を発揮すると考えられる。先行研究での報告によると動態ファントムを用いて、シミュレーションと実際にStarGuideで得られるMBFを測定した精度の検討2) ではシミュレーションと同じタイムアクティビティカーブが描けており、MBFの一致率も高く信頼性の高い結果が得られている。腎レノグラムの領域では従来はプラナー像から関心領域(ROI)を囲んでいたが、3DでSPECTの画像上で3次元でのTACでの動態解析ができ、新しい技術で応用範囲が広がる機能である。
3. 施設紹介:核医学検査室
当院の核医学検査室は3号館南棟2階に位置している。2012年に竣工された際にSPECT、PET装置が設置されSPECT1台、SPECT/CT2台、PET/CT3台の計6台体制で運用していた。2024年度ではPETが9000件弱、SPECTが4000件弱であったが、近年のPET検査増の背景を踏まえPET装置を増やして、SPECT装置を2台運用にする方針に切り替える事となった。
4. 導入背景:時間短縮と画質の担保に向けた検査方針
装置更新の課題や目標として2台体制でSPECTの検査件数を維持できるかという点と画質向上を目指す、さらには核医学治療のドジメトリを行いたいという所でStarGuideの導入が決まった。2台体制への移行にあたりStarGuideで心筋、脳血流、肺血流、DAT Scan、DMSAで検査運用を行う事となり、画質の担保と各検査で時間短縮できるかがポイントであったが、半年間の運用実績上、例年と同様の検査数をこなすことができている。
慶應義塾大学病院 StarGuide
5. 心筋シンチ(負荷心筋テクネチウム、負荷心筋タリウム)
負荷心筋シンチ(テクネ、タリウム)における同一患者の比較では明らかにStarGuideにて鮮明な画像となっておりStarGuideになって読影が楽になっている。現状、投与量や収集時間は従来装置と変更していないが、十分な画質が得られていることから、今後は時間短縮の可能性についても検討している。
6. 脳血流(I123-IMP)、DAT Scan
従来アンガーカメラで30分であった検査時間をStarGuideでは20分に時間短縮をして検査を行っている。
StarGudieではリストモード機能が備わっており、この機能を利用して30分、20分、15分画像を作成し画質を検討した結果、現在20分で運用を行っている。
7. DMSAシンチ、肺換気・血流シンチ
DMSAシンチ、肺換気・血流シンチについては、これまでアンガーカメラの撮像時間を時間短縮し検査を行っている。肺換気・血流ではDual SPECT(2核種同時スキャン)で行う事によって検査枠を拡大して運用している。DMSAと肺換気検査においてStarGuideではPlanar画像がとれないことがリミテーションとしてある。SPECT像からPlanar像を作成する技術をStarGuideから備えており、CT画像を利用し、Planar (Pseudo Planar) 像を構築する。実際に作成された画像が臨床で使用できるかが重要であるが、これまでの報告によると骨シンチの骨転移例で代用可能であるという報告3) がなされている。また肺換気血流シンチでの先行報告もあり、リアルプラナーとPseudo Planar像の診断の一致度が高いという報告4) もある。当院のDMSAでのリアルプラナーとPseudo Planar像を下に示す。ほとんど見え方は変わらないが、若干小さな瘢痕のような小さな欠損像(赤印)があり、SPECT/CTでみると集積低下が見え、小さな瘢痕が指摘できた例であった。肺換気・血流シンチ(CTEPH症例)では欠損像の領域はアンガー型カメラとほぼ同様であった。
8. 肺換気・血流ソフトウェア解析による定量評価
肺換気・血流2核種同時撮影のメリットを生かし換気/血流/ミスマッチ画像が一度に得られ、読影がしやすくなっている。ワークステーションのQ.Lung AIソフトウェアによりミスマッチ画像とのCT FusionやCTで区域分けを行い各肺野領域ごとでの体積とカウントの数値の割合を定量値として表示できる。CTEPH治療前後でのミスマッチ率の評価も、どの程度改善したのか定量化し客観的に評価する機能も備わっており、今後このような指標を使って研究的な所に加えて臨床応用ができるものと期待される。
多発性肺塞栓例におけるミスマッチ、Fusion画像
まとめ
StarGuide の導入により、当院では SPECT 検査の 検査時間短縮 と 画質向上 を実現できた。検査の種類によっては従来装置から StarGuide へ置き換えても十分な画質が得られ、日常診療の運用効率が向上している。さらに、Dual SPECT や Pseudo Planar の活用により、検査枠の拡大や新しい運用が可能となった。
肺換気・血流シンチでは Q.Lung AI による定量解析が治療前後の評価に有用で、診療の質向上にも寄与している。今後は Dosimetry や Dynamic SPECT への応用を進め、StarGuide のメリットを活かしながら、より付加価値の高い核医学診療を目指していきたいと考えている。
参考文献
1) Eur J Nucl Med Mol Imaging. 2023 Jul;50(8):2250-2257.
2) Ann Nucl Med. 2024 Nov;38(11):919-926.
3) Nuclear Medicine Communications 43(5):p 510-517, May 2022.
4) Nucl Med Commun. 2008 Apr;29(4):323-30