第1回「99mTc-GSAを用いた肝機能解析」はこちら
前回に続いて当院で使用しているアラジンソフトについて述べる。
今回は, Mask処理を用いたセンチネルリンパ節シンチグラフィについて述べる。
センチネルリンパシンチグラフィでは,センチネルリンパ節の同定が目的であり,明瞭かつ正確に同定ができなければならない。Planer画像に比べSPECT/CT画像は三次元的な位置関係,CT画像による解剖学的位置も加わるため,容易で正確に同定ができる。
しかし,乳腺領域のセンチネルリンパ節シンチグラフィでは,注射部位からのアーチファクトにより,センチネルリンパ節が見えにくくなる症例がある。特にC領域では,腋窩に近くその影響が大きい。そこで,当院は,センチネルリンパ節を明瞭に描出するために,注射部位を三次元的にMask処理ができるソフトを作成した。
図1に実際の処理画面を示す。わかりやすい様に,ドパミントランスポーターシンチグラフィの画像を示す。横断面,冠状断面,矢状断面からMask処理を行う。
Mask処理する大きさ,形状はユーザーで設定が可能である。
(図1)
図2に実際の症例を示す。Planar撮影では,注射部位に鉛を置いて撮影している。Defectになっている部位は鉛である。
(図2)
この症例では,2つのセンチネルリンパ節が描出された。このMask処理前のSPECT/CT画像を図3に,Mask処理後のSPECT/CT画像を図4に示す。
(図3)
(図4)
Mask処理を行うことで,センチネルリンパ節の同定が容易である。
これにより,読影医,実際に手術を行う術者に対してもはっきりしているためわかりやすい。
センチネルリンパ節への集積は患者ごとで異なる。特に集積が低い場合では,濃度調節を行う場合,注射部位によって,見えにくくなる場合がある。そのような場合において特に有用である。
当院では,3D画像も作成している。この場合にもMask処理は有用である。
図5に3D画像を示す。
(図5)
左の画像が,Mask処理なしで,右の画像がMask処理した3D画像である。
注射部位があると,センチネルリンパ節の濃度に合せるのが非常に困難であるが,注射部位がないと,濃度調節が容易である。これにより,画像処理のスループットも向上する。
|