top お問い合わせ 印刷
 核医学検査装置 お客様の声
 半導体検出器ガンマカメラの光と影 後編
島根大学医学部附属病院
技師長 山本 泰司 先生
山本先生

前回のファントムでの検討に引き続いて、当院での半導体SPECTの研究と臨床例についてご紹介します。

pic1

当院でも循環器内科で半導体SPCTの有用性について数々の研究がなされています。
下図は半導体SPECTのSupine positionに加えProne positionを行った場合と、Supine positionの画像にCTを用いた減弱補正を加えた画像の評価を比較した研究です。つまり、Supine positionのみの場合に比べProne positionとCT減弱補正を加えると診断がどのように変わるか研究したデータです。

pic1

CAG予定患者で前日にSPECTが予定されている連続85症例を用いて研究を行いました。今回はCZTカメラ(Discovery NM 530c)でSupineとProneの両ポジションで撮影でき、さらにCT撮影ができた症例としました。冠動脈バイパス既往患者4人、透析患者3人、腹臥位できない患者6人を除き、72人がエントリーしました。

pic2

解析として、SPECTで後下壁に虚血が認められる症例については翌日のCAGから右冠動脈もしくは左冠動脈、回旋枝において比較評価を行っています。評価者は、循環器医2名です。CAG開始前までに評価は終了しました。AHAの17セグメントモデルを用いて評価をし、ミスマッチがあれば虚血、固定欠損があれば梗塞、なにもない場合は正常としました。

pic3

患者背景です。男性の割合81%、やや肥満、症状なし42%、既往歴は心筋梗塞が31%、PCIが53%でした。CAG若しくはFFRの結果より24人、35ベッセルに虚血が認められました。

pic4

仰臥位で診断率悪いように見えますがProneとCTACで上がる診断能があります。特異度に関して有意差はありませんでした。精度に関しては SupineよりProneで、ProneよりCTACで上がることが分かります。

pic5

追加評価として通常のSupineとProneで診断がどのように変わったかを評価しました。同様にSupineとCTACでも評価しました。Proneを加えることで曖昧な40例のうち5例が虚血と判断され、内CAGで3例が実際に虚血ありと判断されています。
同じくCTACでも4例が虚血と判断されています。Supineでははっきりしない症例が40例に対してProneとCTACで少なくなっている点は特筆すべき事項だと考えています。また、CTACでは正常と判断された症例が大幅に増えています。これは従来診断に苦慮していた後下壁領域の評価が可能になったことを意味すると考えています。

pic6

4PLの狭窄例においてSupineのみでは下壁の低下領域が広く評価は困難ですが、Proneでも評価は大きく変わります。しかしCTACでは限局した領域に低下を認められました。カテーテル前のSPECT Supineでは下壁がどちらとも取れない症例でしたが、CTACでは矢印で示したところのミスマッチが指摘でき、翌日のCAGでも右冠動脈4PL領域に90%の狭窄を認めました。これらの結果よりProneとCTACで、以下のことが考察できます。

  • どちらとも取れない症例が減る
  • 有意な診断能向上
  • 腹臥位は高齢者でできないケースもある
  • 腰が曲がった方はできない
  • 高齢者には良い
pic7

半導体カメラの特徴でもありますが、短時間の収集データから画像作成が可能となりDynamic SPECTでの定量評価が可能となりました。これにより今までの結果に加え、冠血流予備能、心筋血流量が算出可能です。Dynamic SPECTはアイソトープ注入直後から収集を行いました。

pic8

一枝病変の70歳代女性。7番の50%狭窄です。他は問題なし。愛媛大学のGlobal MFRの正常値は1.58であり、本症例は1.95と正常値でした。

pic9

解析結果です。LADの循環予備能に問題はありませんでした。

pic10
pic11

次に二枝病変例です。

pic12
pic13

LAD、LCXについてはFFRで検出できなかった低下が指摘できました。

pic14
pic15

最後に三枝病変例です。
80代、女性。主訴:労作性狭心症。
CAGにて、LAD Seg.6に90%狭窄、LCX Seg.11に99%狭窄、 RCA Seg.1に75%狭窄と三枝病変を認めました。カルシウムスコア; 1186。Global MFR indexは0.98とびまん性に低下していました。Regional MFR indexは、LCX領域で0.80と特に低下していました。CABGを施行しました。

pic16
pic17
pic18

解析結果です。
画像とレポートから判断して、LADの循環予備能には問題ないと判断されました。

pic19
pic20

 

※お客様の使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

お電話以外でのお問い合わせの場合は、こちらをご利用ください。
info
(お問い合わせ例)
Discovery NMついて詳細の質問がしたいので、営業から連絡がほしい
Discovery NM/CTの価格・工事期間について、教えてほしい
導入済みの施設を見学したい