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前回のファントムでの検討に引き続いて、当院での半導体SPECTの研究と臨床例についてご紹介します。 当院でも循環器内科で半導体SPCTの有用性について数々の研究がなされています。 CAG予定患者で前日にSPECTが予定されている連続85症例を用いて研究を行いました。今回はCZTカメラ(Discovery NM 530c)でSupineとProneの両ポジションで撮影でき、さらにCT撮影ができた症例としました。冠動脈バイパス既往患者4人、透析患者3人、腹臥位できない患者6人を除き、72人がエントリーしました。 解析として、SPECTで後下壁に虚血が認められる症例については翌日のCAGから右冠動脈もしくは左冠動脈、回旋枝において比較評価を行っています。評価者は、循環器医2名です。CAG開始前までに評価は終了しました。AHAの17セグメントモデルを用いて評価をし、ミスマッチがあれば虚血、固定欠損があれば梗塞、なにもない場合は正常としました。 患者背景です。男性の割合81%、やや肥満、症状なし42%、既往歴は心筋梗塞が31%、PCIが53%でした。CAG若しくはFFRの結果より24人、35ベッセルに虚血が認められました。 仰臥位で診断率悪いように見えますがProneとCTACで上がる診断能があります。特異度に関して有意差はありませんでした。精度に関しては SupineよりProneで、ProneよりCTACで上がることが分かります。 追加評価として通常のSupineとProneで診断がどのように変わったかを評価しました。同様にSupineとCTACでも評価しました。Proneを加えることで曖昧な40例のうち5例が虚血と判断され、内CAGで3例が実際に虚血ありと判断されています。 4PLの狭窄例においてSupineのみでは下壁の低下領域が広く評価は困難ですが、Proneでも評価は大きく変わります。しかしCTACでは限局した領域に低下を認められました。カテーテル前のSPECT Supineでは下壁がどちらとも取れない症例でしたが、CTACでは矢印で示したところのミスマッチが指摘でき、翌日のCAGでも右冠動脈4PL領域に90%の狭窄を認めました。これらの結果よりProneとCTACで、以下のことが考察できます。
半導体カメラの特徴でもありますが、短時間の収集データから画像作成が可能となりDynamic SPECTでの定量評価が可能となりました。これにより今までの結果に加え、冠血流予備能、心筋血流量が算出可能です。Dynamic SPECTはアイソトープ注入直後から収集を行いました。 一枝病変の70歳代女性。7番の50%狭窄です。他は問題なし。愛媛大学のGlobal MFRの正常値は1.58であり、本症例は1.95と正常値でした。 解析結果です。LADの循環予備能に問題はありませんでした。 次に二枝病変例です。 LAD、LCXについてはFFRで検出できなかった低下が指摘できました。 最後に三枝病変例です。 解析結果です。
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