コマンドセンター 導入事例 ・ Command Center VA (Virtual Assist)

GE ヘルスケア・ジャパンが上尾中央医科グループにおいて
新たな AI ソリューションを開発

- 病院運営の効率化を包括的に支援し、地域の医療提供体制を改善 -

Command Center VA (Virtual Assist)

医療の課題解決に取り組む GE ヘルスケア・ジャパン(本社:東京都日野市、代表取締役社長兼 CEO:若林正基、以下 GE ヘルスケア)は、上尾中央医科グループ(本部:埼玉県上尾市、会長:中村康彦、以下 AMG)と、2024 年 11 月より始動した、人工知能(AI)技術の活用による医療業務の効率化を目指す新たな取り組みを、2025 年 4 月 1 日より本格化させます。このプロジェクトは、Command Center VA (Virtual Assist) ソリューション・プラットフォームをベースに業務の自動化やデータの利活用を促進するもので、AMG の事務部門のプロセス全体の革新を後押しすることを目的としています。

上尾中央医科グループと GE ヘルスケア・ジャパンの関係者

背景・課題

AMG は、埼玉県上尾市にある上尾中央総合病院を基幹病院とする医療介護グループです。埼玉、千葉、神奈川、東京、山梨、茨城、群馬の 1 都 6 県において、28 の病院、21 の介護老人保健施設、その他にクリニックや学校などを運営しています。地域の人々に多様な診療科と高度な医療サービスを提供することに加え、ケアの質向上と効率的な病院運営にも注力し、最新技術の導入も積極的に進めることで業務の効率化とオペレーションの改善も進めてきました。

こうした取り組みを進める中で、近年、いくつかの重要な課題が浮き彫りになってきました。まず、職員構成において将来のマネジメントを担う人材の不足が徐々に表面化しており、同時に、属人的なマネジメント手法や知識に依存する傾向が見られることから、将来の安定的な組織運営に影響を及ぼす懸念が挙げられます。病院経営が厳しさを増し、高度なマネジメント力が求められる昨今において、これらは喫緊の経営課題となっており、AMG に限らず、病院業界全体が直面している課題であるともいえます。

実際に、多くの病院において院内情報や知識の整理・集約は依然として不十分であり、業務効率やオペレーションの最適化が進みにくい状況が続いています。特に、各種マネジメント機能の高度化が個々のマネージャーの能力に依存する傾向にあることから、組織としての取り組みの遅れが顕著です。

AMG では解決に向けて 2019 年より、「AMG 経営 DX」プロジェクトを立ち上げ、SE チームを強化し、独自のインハウス開発を推進してきました。経営業務の効率化を目的として独自に開発・導入した DX ソリューションは 50 以上になります。

AMG は、これまで取り組んできた改革をさらに前進させるべく、病院運営・経営管理の分野によりフォーカスし、それを支える人材の高度化と病院全体のオペレーション最適化を目指して、医療 DX 分野で世界をリードする GE ヘルスケアのサービスを採用することを決定しました。今後は、これまで取り組んできた DX 開発に加え、「AI 技術」を活用したプラットフォームを既存のグループ運営管理に組み込み、成果の最大化に向けて取り組んでいきます。

これにより、医療機関の経営、運営、臨床、研究の各領域において、AI 技術を活用したバーチャル・アシスタント(仮想知的労働補助者)を導入し、自働化・省人化を推進します。医療機関の生産性向上に寄与するだけでなく、労働人口減少などの社会課題に対しても抜本的かつ革新的な解決策を構築することを目指します。

AMG での実装について

AMG は、大規模言語モデル(LLM)を活用したバーチャル・アシスタントにより、事務部門の暗黙知を利活用することで、運用支援を図ります。さらに、医療機関の状態を示すリアルタイムデータも併用し、事務部門の負担を軽減しつつ、より重要な業務に時間を割くための働き方改革に貢献します。

GE ヘルスケアは、グループ内の病院・施設のパフォーマンスをリアルタイムでモニタリングし、事務部門の業務負荷を削減するとともに、グループ経営を支援します。

今後は以下の短中期の成果を目指して展開していきます。

① 病院経営を支える施設基準管理の革新:AI を活用したリアルタイムモニタリング

施設基準がもたらす収入は病院収入の大きな割合を占めると言われているように、施設基準の管理は極めて重要な業務となっています。病院経営に寄与する施設基準の管理を通じた日々のデータ収集・集計業務は、これまで多くの人的リソースを必要としていました。

これに対して、バーチャル・アシスタントを活用することで、電子カルテ情報や人事情報などの抽出作業を自動化し、正確かつ迅速に管理・評価できるようになります。さらに、AI が得意とする機能として、例えば、各入院料において、退院予定などのスケジュールをもとに、将来の重症度や医療・看護必要度の統計予測を行う機能により、リスクの早期検知やアラートの自動発信が可能になることも想定されています。このようなアプローチにより、病院経営に影響する各種施設基準の詳細なモニタリングが可能になり、スキルや経験によるばらつきも最小限に抑えることができるようになります。さらに、業務の効率化に加え、人的ミスの削減や業務の標準化が促進され、病院全体の運営効率の向上が期待できます。

② リアルタイムデータ解析と必要なアクションの促進を自働化

バーチャル・アシスタントは、病床稼働率の低下など平時と異なる事態の発生をリアルタイムで予測的検知し、即座に対応を促す機能を備えています。様々なリマインダー業務は、人海戦術に頼らざるを得ず、担当者のストレスや労力は計り知れないものです。

AMG 経営 DX では、リマインダー機能を随所に実装し、業務の効率化を図っています。今回の AI の活用についても、このリマインダー機能を実装し、病院内の運用データをバーチャル・アシスタントが継続的にモニタリングすることで、例えば、病床稼働率(各診療科の KPI を含む)が一定の値を下回った場合、管理者および関係者に通知が行きます。管理者はその通知をきっかけに、組織的な対応を迅速に行うことができます。臨時・緊急時には素早い対処を、平常時・標準時には今後の改善に向けて示唆することで、運用の効率化が進みます。

これらの取り組みにより、属人状態の是正・暗黙知の形式知化と共有を進めると共に、グループとしての方針管理や意思決定プロセスのさらなる再整理ができるようになります。

③ バーチャル・アシスタントによる 365 日 24 時間のリアルタイム・レスポンス・サポート

LLM を活用したバーチャル・アシスタントは、医療従事者の質問にリアルタイムで対応し、必要な情報を提供します。医療従事者はバーチャル・アシスタントに質問するだけで、24 時間 365 日、昼夜を問わず瞬時に回答を得ることができます。

例えば、インターネット上に公開されているガイドラインや法改正などの情報に加え、AMG 内部の規約やマニュアルなどの文書も LLM に学習させることで、グループ内のクローズドの環境でより幅広い情報提供が可能になります。さらに、電話やメールで行われていた問い合わせ対応履歴の学習による自動化や、手作業での調査・回答時間の削減により、医療従事者が本来の業務により多くの時間を割くことができるようになります。この様に、経験値が浅い職員のサポートを通じて能力のばらつきを最小限にし、重要業務を安定して遂行できる環境を整えることにも繋がります。

マネジメント層向けには、損益計算書や各種経営統計などのデータを学習させることで、前年同月比較の増減要因のドリルダウン分析を自動化できます。また、AMG 内の各病院における詳細な項目ごとのベンチマークを行う作業も、ナビゲーション機能により短時間で実施できるようになります。昨今では、比較作業自体は容易に行えるようになりましたが、要因分析のためのさらなるドリルダウンや、関連する各種統計資料からの要因分析には依然として多大な労力と時間を要します。LLM を活用することで、こうした分析も迅速かつ効率的に行うことが可能になります。

グループ全体の共通文書に加え、各病院・施設ごとにカスタマイズされた文書や、職種・職責ごとに異なる内容の文書、さらには膨大な経営統計データが存在し、事務業務が膨大かつ多岐にわたる AMG では、バーチャル・アシスタントの導入により、AI を活用したナレッジの蓄積・活用が強化され、ヘルプデスク機能の高度化を図ることができ、効率化や省力化にとどまらず、あらゆる業務プロセスの最適化が期待できます。

今後の展望

本プロジェクトは 2024 年 11 月より始動し、現在、AMG において実装を開始するべくシステムの最終調整を行っています。2025 年 6 月までにデータ収集と検証を完了し、本格的な運用の開始を予定しています。

本プロジェクトの AMG 側のファシリテーターである上尾中央医科グループ協議会 総局長 久保田巧(くぼた たくみ)氏は次のように述べています。

「私が現在の役職に就任した 5 年前、当グループの会長である中村康彦より、次世代の経営管理を担う人材にしっかり継承し、グループの持続性を担保するため、さまざまな DX 開発を進めるようミッションを受けました。このミッションを実現するために、就任当初から AMG 本部における SE 人材の採用を強化し、現在まで数多くの独自開発を進めながら「AMG 経営 DX」を推進してきました。これまでに構築されたさまざまな DX に加え、新たな切り口として「AI 技術」を活用したプラットフォームを共存させることで、通常のデジタル技術では実現できなかった AI 特有の機能を取り入れ、さまざまな課題の解決につなげられると考えています。グループの運営管理に組み込み、さらなる成果の最大化を目指し、この採用を決定しました。「Command Center VA」のソリューション・プラットフォームを活用したバーチャル・アシスタントの導入により、AI の学習機能を活用した問い合わせ工数の削減をはじめ、様々な業務の最適化および効率化が可能になります。今回は、GE ヘルスケアが開発した AI を当グループでは「AdminAssist AI(アドミンアシスト AI)」と名づけ、グループ内の病院および介護施設の経営管理と事務効率化を次のステージへと進化させます。これからの医療現場では、多様な業務に精通した “オールマイティー職員”の減少が予想されるなか、本システムを活用することで、データの予測機能やプッシュ型のパニック値リマインダーなどを通じて、職員の自律的な行動変容を促す組織づくりを目指します。また、この取り組みにより、事務部門のリソース配分を最適化し、限られた人材の育成にも貢献できます。従来のデジタルソリューションの枠を超え、AI 特有の予測機能や多様な QA 学習機能を実装することで、単なる業務の自動化にとどまらず、データを活用した経営の最適化を実現します。しかし、病院や介護施設の運営においては、デジタル技術だけでなく、現場の経験や直感といったアナログの要素も不可欠です。AdminAssist AI は、この「デジタルとアナログの融合」を大切にし、医療・介護機関の経営管理をより効果的かつ柔軟に支援します。私たちは、未来志向の病院経営を実現するためのパートナーとして、変化に強く、持続可能な管理体制の構築を本部として全面的にサポートしていきます。今回の事例は一例に過ぎず、AdminAssist AI は事務管理のプラットフォームとして、今後もさまざまな機能を追加していく予定です。これにより、全国の医療・介護現場でも活用できるソリューションとなることを期待しています。」

GE ヘルスケアの代表取締役社長兼 CEO の若林正基は次のように述べています。

「医療界において長きにわたる貢献を重ねてこられた上尾中央医科グループ様と、病院経営に革新をもたらす新たな AI ソリューションの開発を進めることができ、心より嬉しく思います。Command Center VA をベースとしたお客様に寄り添うバーチャル・アシスタントを創出し提供することで、院内におけるより迅速な意思決定、医療事務の効率化、医療従事者の負担軽減が期待され、最終的には個別化された質の高い患者ケアの提供に貢献できると確信しています。今後の実装を通じて、日本の医療が直面する労働人口減少という課題に共に向き合い、求められる医療の構築に貢献できるよう取り組んでまいります。」

記載内容は、お断りなく変更する場合がありますのでご了承ください。

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