MRI 導入事例 ・ Voice of Customer

画質も、時間も、そしてやさしさも。
SIGNA™ Prime 使用経験

医療法人回生会 宝塚病院 放射線科 副技師長

西山 奉冶 先生

SIGNA™ Prime 1.5T
宝塚病院 放射線科 副技師長 西山 奉冶 先生

医療法人回生会 宝塚病院では、2022年にSIGNA™ Prime 1.5Tを導入し、幅広い検査で活用されています。本稿では、副技師長の西山先生に、磁場均一性による安定した画質、AIR™ Recon DLを活用した高画質と撮像時間短縮の両立、AIRx™によるポジショニングの効率化など、日々の臨床現場で実感されているSIGNA™ Primeの価値について、活用事例を交えながらご紹介いただきます。

はじめに

当院は1956年、阪急今津線・逆瀬川駅からほど近い現在地に開設し、2026年に70周年を迎える。心臓カテーテル治療や脳卒中治療を中心に救急・急性期医療に力を入れるとともに、人工透析にも早くから取り組んできた。放射線科では、CT・MRI・血管造影・一般撮影など画像診断全般を担い、当院の診療を幅広く支えている。2022年8月には、他社製1.5T MRIからSIGNA™ Prime 1.5Tへ更新した。本稿では、導入から4年間の使用経験を、日々の検査で実感している価値と事例を交えて紹介する。

宝塚病院 外観
図1. 宝塚病院 外観

広範囲を、安定した画質で

磁場均一性がもたらす安定した画質
図2. 磁場均一性がもたらす安定した画質

SIGNA™ Prime導入後、当院では全脊椎のような広範囲撮像や、前立腺DWIなど磁場不均一の影響を受けやすい検査において、画質の安定性向上を実感している。これは、SIGNA™ Primeの高い磁場均一性による効果の一つと考えている。
特に、転移検索や骨折検索を目的として全脊椎を撮像する機会が多いが、広いFOV全体で均一かつ安定した画質が得られている。頸椎から仙骨までを一連の画像とし、部位による画質のムラを感じさせることなく、時間を延長せずに一度で撮像できるようになった。(図2-a)
また、前立腺DWIでは、脂肪抑制ムラが軽減され、より均一な画像が得られている。(図2-b)磁場均一性の向上に加え、AIR™ Recon DL(後述)がDWI撮像に一律適用されていることも寄与していると考えている。

画質と撮像時間を両立し、検査の可能性を広げる AIR™ Recon DL

AIR™ Recon DLは畳み込みニューラルネットワークを応用してMRIの画像再構成に深層学習を適用して開発された技術である。Raw Dataに直接AIR™ Recon DL画像再構成を適用することでSNRの向上(ノイズの大幅な軽減)、画像尖鋭度の向上、トランケーションアーチファクトの低減の3つの効果を同時に得ることを目的としている。(図3)

当院では、もともとAIR™ Recon DL 2Dを導入していたが、MR30から3Dシーケンスへ適用範囲が拡大されたことを受け、その活用価値を期待して2024年にバージョンアップを実施し、AIR™ Recon DL 3Dを追加導入した。これにより、従来は2D撮像を中心としていたAIR™ Recon DLを3Dシーケンスにも活用できるようになり、現在ではMRCPをはじめとする3D検査にも適用範囲を広げている。AIR™ Recon DLの活用により、分解能や画質を保ちながら撮像時間を短縮できることを、日々の検査で実感している。また、PROPELLERや3Dシーケンスへ活用範囲が広がったことで、体動の影響を受けやすい検査や3D撮像でもその効果を活用できるようになった。現在では、幅広い検査でAIR™ Recon DLを活用しており、画質向上と検査効率の両立に役立っている。

AIR Recon DLの3つの効果
図3. AIR Recon DLの3つの効果(GEヘルスケア提供)

3-1. PROPELLER MB × AIR™ Recon DL

PROPELLERは、通常のMRI撮像とは異なり、データを回転させながら収集することで、体動によるアーチファクトの影響を分散させ、動きの大きいデータを検出し、補正や重みづけを行う体動補正技術である。当院では、肩関節、頸椎、子宮・卵巣など、呼吸や消化管の蠕動運動などの影響を受けやすい部位で、PROPELLERをルーチンに使用している。AIR™ Recon DLとの併用により、撮像時間の延長をほとんど感じることなく、体動によるアーチファクトの少ない高精細な画像が安定して得られている。(図4)再撮像が減少したことで検査時間の短縮にもつながり、患者の負担軽減にも役立っていると感じている。

ルーチン検査でのPROPELLER MB×AIR Recon DL活用例
図4. ルーチン検査でのPROPELLER MB×AIR™ Recon DL活用例

3-2. 3Dシーケンス × AIR™ Recon DL

3Dシーケンスでは、AIR™ Recon DLにより高分解能を保ちながら撮像時間を短縮できるだけでなく、MPR(任意断面への再構成)を行った画像でも、その効果を確認できる。当院ではMRCPにおいて、胆管・膵管の評価に3D CUBEを用いており、AIR™ Recon DLの適用により背景のノイズが低減し、より鮮明な画像が得られていると感じている。(図5-a,b)また整形領域では、靭帯損傷などの評価に3D撮像を追加することがあり、詳細な観察に役立っている。(図5-c)

3D撮像におけるAIR Recon DL活用例
図5. 3D撮像におけるAIR™ Recon DL活用例

3-3. DWI × AIR™ Recon DL

全身DWIは、悪性腫瘍の転移検索や不明熱の熱源検索といった目的で使い分けている検査である。頭部から骨盤まで複数のステーションにまたがって撮像するため、部位ごとの磁場の変動により、脂肪抑制不良や歪みによる位置ずれが生じやすいという課題がある。SIGNA™ Primeでは、スライスごとに中心周波数をリアルタイムに調整するRTCF(Real Time Center Frequency)という技術により、こうした位置ずれの軽減に寄与していると考えられる。またAIR™ Recon DLの適用により広範囲にわたる撮像でもノイズが抑えられ、より鮮明な画像が得られていると感じている。これまでは、複数ステーションにまたがる画像を自動でつなぎ合わせることができず、広範囲の全身DWI撮像自体を行っていなかったが、SIGNA™ Prime導入により実施可能となった。転移検索や不明熱検索など、広範囲を複数ステーションにまたがって撮像する検査においても、ステーションの継ぎ目を感じさせない歪みの少ない画像を、ノイズを抑えた鮮明な状態で安定して得ることができている。(図6)

MIP (Invert)
a: MIP (Invert)
Fusion
b: Fusion (T2 SSFSE & STIR-DWI)
MIP Sag (Invert)
c: MIP Sag (Invert)
図6. Whole Body DWI

誰が撮っても、同じ精度で。AIRx™による安定したポジショニング

AIRx™は、膨大な画像データを用いたディープラーニングアルゴリズムにより、頭部・膝関節領域において自動で撮像断面を設定できる機能である。当院では、DWIやFLAIRなど頭部の多くのシーケンスをOMの断面で、脳MRAをAC-PCの断面で撮像しており、これらにAIRx™による自動設定を活用している。担当する技師が変わっても、自動設定によりばらつきの少ない安定した断面設定が可能となっている。経過観察で同じ患者を複数回撮像する際も、ほぼ同じ断面で追跡できている。(図7)また、断面設定のわずらわしさがなく、スキャン開始までの時間を短縮できている。

2024年4月 新人技師
2024年4月 撮影者:新人技師
2025年5月 中堅技師
2025年5月 撮影者:中堅技師
2026年3月 ベテラン技師
2026年3月 撮影者:ベテラン技師
図7. 異なる操作者による断面設定比較

圧迫感が少なく、動きもスムーズに

SIGNA™ Primeは、ガントリー入口を徐々に絞るワイドフレア機構や、最低高49cmまで下がる患者テーブル、フットスイッチによる寝台の昇降操作など、患者の負担軽減とスタッフの操作性向上を両立する設計が採用されている。当院でも、入口部分がより広く感じられ、圧迫感の軽減を実感している。(図8)またフットスイッチにより寝台を昇降しながら両手を使えるため、コイルの装着や取り外しがスムーズに行える。(図9)患者テーブルは49cmまで下げられるため、身長の低い患者でも安全に移乗できている。(図10)さらに、ガントリー中央上部に搭載されたタブレットモニターで患者名や使用コイル、呼吸同期波形などを確認できるため、検査中にコンソールへ戻ることなく患者確認や検査準備がガントリー脇で完結でき、安全性の向上にも役立っている。

ワイドフレア機構が採用されたガントリーデザイン
図8. ワイドフレア機構が採用されたガントリーデザイン
フットスイッチによる寝台操作
図9. フットスイッチによる寝台操作
低床テーブルによる患者移乗
図10. 低床テーブルによる患者移乗

高性能と低消費電力を両立し、効率的な運用へ

SIGNA™ Primeは、高画質化や撮像時間短縮といった性能向上に加え、省電力性能も向上している。参考としてGEヘルスケア製の従来世代1.5T MRIとの比較では、撮像時の消費電力を大幅に削減しており、高い性能と省エネルギー性を両立している。(GEヘルスケア製装置間での参考比較, 図11)また当院では、AIR™ Recon DLをはじめとする技術の活用により、高画質を維持しながら撮像時間を短縮できている。基本的なプロトコル構成は維持したまま、頭部ルーチンでは約25分から約15分へ、腰椎ルーチンでは約23分から約15分へと、いずれも大幅な時間短縮が実現できている。撮像時間の短縮は患者負担の軽減だけでなく、効率的な装置運用にもつながっていると感じている。

従来世代装置との撮像時消費電力比較
図11. 従来世代装置との撮像時消費電力比較(GEヘルスケア提供)

さいごに

本稿では、磁場均一性やガントリー周りの設計による安定した検査環境、AIRx™による断面設定の効率化、そしてAIR™ Recon DLによる画質と撮像時間の両立など、SIGNA™ Prime 1.5Tの使用経験を紹介してきた。中でもAIR™ Recon DLは、本来トレードオフの関係にある画質と撮像時間を両立させる技術であり、当院でも、高い分解能や画質を保ちながら撮像時間を短縮できることを、日々の検査で実感している。また、装置の省電力設計により、高い性能を保ちながら省電力での運用も可能となっている。今後も、こうした先進技術を日々の診療に活かしながら、地域の急性期医療に貢献していきたいと考えている。

製造販売:GE ヘルスケア・ジャパン株式会社
販売名:シグナ Prime
医療機器認証番号:303ACBZX00016000

JB15754JA

各モダリティの導入事例(VOC)一覧

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