MRI 導入事例 ・ Voice of Customer
~診断価値を高める患者中心の腹部 MRI 検査~
新百合ヶ丘総合病院 消化器内科 部長 / 肝疾患低侵襲治療センター長
Discovery MR750w 3.0T / MR Touch(MRE)
※本カスタマーボイスは SIGNA Pulse を和訳したものです。
近年、脂肪肝疾患(NAFLD / MASLD)患者は増加しており、疾患の状態を非侵襲的に評価できる技術の重要性が一層高まっています。脂肪肝疾患(非アルコール性脂肪肝疾患:NAFLD、現在は代謝機能障害関連脂肪性肝疾患:MASLDと呼称)に関する診療ガイドラインでは、段階的な評価プロセスが推奨されています。まずFIB-4 indexによるスクリーニングを行い、次に超音波ベースの評価法や Enhanced Liver Fibrosis(ELF)スコアによる二次評価を実施し、その後、MRエラストグラフィ(MRE)または肝生検のために専門医へ紹介されます。
当院では、2014年にGE HealthCare のMREソリューションであるMR Touchを導入し、日常診療において積極的に活用してきました。脂肪肝が疑われて紹介された患者さんに対しては、初診時にMREと肝脂肪定量画像 IDEAL-IQ(PDFF)を組み合わせたMRI検査を実施することが多くあります。日本ではMRI検査のコストが比較的低く、また放射線被曝がなく造影剤も使用しないことから、患者さんの受容性も非常に高いと感じています。
MREとPDFFを組み合わせることで、線維化と肝脂肪量(脂肪沈着)を高い精度で評価することが可能となり、多くの患者さんでは診断のために肝生検を必要としません。当院では、臨床試験への参加が求められる場合や、診断が極めて困難な例など、限られた状況にのみ肝生検を実施しています。このように、非侵襲的な検査で幅広い情報を取得できることは、患者さんにとって大きなメリットであると考えています。
MREによって測定される肝臓の「硬さ(肝硬度)」、IDEAL-IQによるPDFFで定量した肝脂肪量、さらに炎症マーカーの評価を組み合わせることで、疾患のタイプに基づいた患者分類が可能となります。
このようなフレームワークを用いることで、患者さんに疾患の状態を分かりやすく説明することができ、治療方針についての共同意思決定(Shared Decision Making)も円滑に進めることが可能になります。
| Discovery™ MR750w 3.0T | MR-Touch | IDEAL-IQ | T2WI |
|---|---|---|---|
| TR(ms) | 1000 | 26.6 | 2000 |
| TE(ms) | 59.9 | 13 | 86.3 |
| FOV(cm) | 42 | 44 | 35 |
| Slice thickness(mm) | 7 | 10 | 8 |
| Frequency FOV | 64 | 128 | 320 |
| Phase FOV | 64 | 128 | 192 |
| NEX | 1 | 1 | 1 |
| Scan time(min.) | 0:16/BH | 0:10/BH | 0:21/BH |
| Options / other | ASSET | FS, ARC | ― |
MRE撮像時には、通常の腹部MRIシーケンスも併せて実施されるため、膵臓を含む腹部全体を同時に評価することができ、腫瘍性病変の有無を確認することも可能です。近年、膵がんが増加傾向にあることを考えると、この点は特に重要であると考えています。実際に、私たちは脂肪性肝疾患患者の経過観察中に、偶発的に膵がんを発見した経験があります。脂肪性肝疾患と膵がんとの直接的な関連性は必ずしも強くありませんが、膵がんの早期発見の重要性を考慮すると、MREと通常の腹部MRIを併用することには大きな臨床的価値があると考えています。
MRE用の新型 Flex Passive Driver(Resoundant, Rochester, MN)は、簡便に装着でき、患者さんの快適性にも配慮したデザインです。軽量で柔軟性に優れたドライバーが身体に自然に沿うため装着感が良く、調整可能なベルトによって確実に固定することができます。




MREは現在、脂肪性肝疾患(NAFLD / MASLD)の診療において重要な役割を担っています。MREを腹部MRI検査と組み合わせることで、患者さんは肝線維化や肝脂肪含有量を高精度に評価できるだけでなく、膵臓を含む他の腹部臓器についても包括的な評価を受けることができます。これらを1回の検査で実施できることは、患者さんにとって大きなメリットです。
MREは日常診療のみならず、研究や臨床試験においても不可欠な検査となりつつあります。特に近年では、肝線維化を対象とした臨床試験においてMREの実施が求められるケースが増加しています。MREを実施できる体制を整備することで、施設の臨床試験への参加を促進できるほか、特に多施設共同試験においてデータ収集の効率化や標準化にも貢献します。当院では、MREとIDEAL-IQ(R2*)を主要な評価指標として組み合わせて運用しています。撮像プロトコル自体はここ数年で大きく変更していませんが、消化器内科と放射線科の緊密な連携体制を構築したことで、安定した検査運用を実現しています。
MREでは、せん断波を十分に伝達することが極めて重要です。当院では診療放射線技師による継続的な調整と最適化により、安定したデータ取得を可能にしています。新しいFlex Passive Driver の導入後しばらくは、従来のパッドと新しいパッドを並行して使用し、取得データの比較を行いました。Flexパッドは柔らかい素材で作られており、特に痩せ型の患者さんから「圧迫感が少ない」という声が多く寄せられ、快適性の向上が確認されました。
一方で、図1および図2に示すように、診断性能は従来パッドと一貫していました。現在も症例数を増やしながら比較解析を継続していますが、現時点のデータでは、新しいドライバーによる定量値と従来ドライバーによる定量値との間に有意な差は認められていません。また、測定値の再現性は良好で、顕著なばらつきもみられないことから、従来と同様のワークフローで検査を実施することが可能です。その結果、診断価値を維持しながら患者さんの快適性を向上させることができています。また、門脈圧亢進症の評価を目的として、MREによる脾硬度測定の有用性についても検討しています。これまでの経験から、安定した波動伝達を確保するためには、Flex Passive Driverの装着位置や配置方法をさらに最適化する必要があることが示唆されています。このような評価においては、超音波ベースの手法も引き続き有用な選択肢となります。




今後、MREのさらなる普及と活用拡大に向けては、患者さんにとってより受けやすい検査とするための技術的進歩が期待されます。例えば、以下のような改善が考えられます。
さらに、結果解析の自動化が進めば、医療従事者の負担軽減とレポート作成の標準化が期待でき、より患者中心の医療の実現につながると考えています。




1. “EASL–EASD–EASO Clinical Practice Guidelines on the management of metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease (MASLD): Executive Summary” Diabetologia (2024); 67(11): 2375-2392.
2. Huang K, Lan X, Chen Z, Xiao H, Jia S, Du C. “Global trends and future predictions of pancreatic cancer incidence and mortality from 1990 to 2030: A comparative analysis of China, Korea, Japan, and the USA” PLoS One (2025) 20(12): e0337181.
※本カスタマーボイスはお客様の使用経験に基づく記載です。製品の仕様値として保証するものではありません。
JB14983JA
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