知っておきたい骨密度用語
ご存じの方も多いとは思われますが、骨密度の用語について確認をしてみましょう。
診断で使われる用語または略語、診断基準についてまとめました。
まずはココから
BMD(Bone Mineral Density): 骨密度 = 骨塩量BMC÷面積Area (単位g/cm2)
BMC(Bone mineral Content): 骨塩量(単位g)
Area:骨面積(単位 cm2)
「密度」という名前ではあるものの、分母は面積(2次元)であることに注意ですね。
レポートの見方
日本の指標用語(日本骨代謝学会から)
若年成人比較%(YAM= Young Adult Mean):
若年齢の平均BMD値(基準値)を100%として、被験者BMD値と比べて%を出したもの。骨粗鬆症診断基準に用いられます。
【診断基準】
正常 YAMの80%以上
骨量減少 YAMの70~80%の間
骨粗鬆症 YAMの70%以下
同年齢比較%:
同年齢の平均BMD値を100%として、被験者BMD値と比べて%を出したもの。通常の骨粗鬆症診断には用いられません。(年齢とともに平均値が下がるため)
世界の指標用語(WHO:世界保健機関が設定)
Tスコア:
患者の BMD を若者平均値(YAM値)と比較し、母集団のデータから得られた1標準偏差(1SD値の幅)を使用して位置付けした値。(例: Tスコア= -1→ YAM値より、1幅分、マイナスなので下方に位置する)
【診断基準】
正常 Tスコアが -1以上
骨減少 Tスコアが -1 ~ -2.5の間
骨粗鬆症 Tスコアが -2.5以下
Zスコア:
患者の BMD を患者と同年齢の平均値と比較し、母集団のデータから得られた標準偏差(1SD値の幅)で位置付けした値。(例: Zスコア= -1 →同年齢平均値より1幅分、マイナスなので下方に位置する)
測定部位に関して
腰椎正面評価部位
L1-L4(腰椎椎体1から4までの4椎体部分)
または
L2~L4(腰椎椎体2から4までの3椎体部分)
1椎体しか評価できない場合はデータとして採用はしません。
隣接椎体と比べて1.0SD以上の差がある場合はデータとして採用しません。
椎体ごとの数字は用いません。
※腰椎が6椎体あるいは4椎体の場合、多くの薬剤の臨床試験等では最下端の腰椎を第5腰椎として同定する方法が使用されています。
腰椎解析時の確認ポイント:下記①~⑤を確認してください。
①椎体の名前(L1等)があっているか?
②椎体の上下の線の位置及び角度があっているか?
③除外すべき椎体はあるか?
(特定の椎体の変形、骨折、石灰化が平均骨密度数値を押し上げてしまい、患者本来の数値を示していないと想定される場合など)
※骨硬化や圧迫骨折などで診断部位として不適切である場合は他部位(大腿骨など)での診断を推奨致します。
④適切な骨領域が囲まれているか?
⑤軟部組織の領域が適切かどうか?
※図はGEヘルスケア社DXA装置での理想的な軟部組織領域です。軟部組織の理想的な取り方はメーカーによって異なります。
大腿骨近位部評価部位
頚部(大腿骨頚部領域)
または
全体(大腿骨頚部+大転子部+シャフト部合計の全領域)
全大腿骨近位部と頚部の骨密度のうちYAMに対するパーセンテージが低値の方を採用します。
ウォード三角部骨密度は診断に使用しません。
左右いずれの測定でも可です。
モニタリングには、全大腿骨近位部が望ましいとされています。
大腿骨解析時の確認ポイント:下記①~④を確認してください。
①頸部、大転子、シャフトの3つの範囲が表示されているか?
②頚部ROIに坐骨・大転子の骨領域が入っていないか?
③頸部や大転子などの部分の骨の領域を適性に囲っているかどうか?
④軟部組織領域が適切に設定されているか?
※図はGEヘルスケア社DXA装置での理想的な軟部組織領域です。軟部組織の理想的な取り方はメーカーによって異なります。