GE Smart Mail vol.129


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超高齢化社会にある本邦では中高齢者女性に骨粗鬆症患者が増加傾向にあると言えます。その環境下で産婦人科領域で骨粗鬆症の早期から診療するために2014年2月にGE社製DXA骨密度測定装置PRODIGY-Cを導入された宮崎県都城市の北原医院 産婦人科 吉山賢一先生から「装置の導入と北原医院における骨粗鬆症診療」、「骨粗鬆症治療薬、北原医院における骨密度測定の測定結果の報告」、「(GE社製DXA骨密度測定装置PRODIGY-C)装置の操作性について学会発表の紹介」を3回に分けてご紹介させていただきます。
 DXA(デキサ)X線骨密度測定装置 お客様の声
 PRODIGY-Cを用いた産婦人科診療所での骨粗鬆症管理(第2部)
第1部はこちら
第3部はこちら
 <骨粗鬆症の治療薬について>

治療薬を選択する前に測定する骨代謝マーカーは、腎機能の影響を受にくい血清TRACP5b,P1NPを使用します。投与後、4~6ヶ月に再測定します。続発性骨粗鬆症の場合は、それぞれの専門医に紹介する場合もあります。

治療薬は、当院では、ホルモン補充療法(HRT)、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、活性型ビタミンD、ビスフォスフォネート、デノスマブ、テリパラチド(PTH)等を用意しております。

更年期で、顔のほてり等の更年期障害の症状が著明な方には、エストロゲンとプロゲステロンのホルモン補充療法(HRT)を行います。その時期では、多くの女性の骨密度は正常ですが、骨量の減少する速度は急激です。数年後に発生する骨量減少、骨粗鬆症の予防になると思われます。HRTの副作用には、低頻度ですが、投与早期の静脈血栓塞栓症、5年以上の長期投与による子宮体部癌・乳癌等があるため、HRT施行前には、十分な問診、婦人科的内診、超音波断層法検査、子宮体部・頚部の細胞診、採血等を行います。乳がん検診は、当院では施行していないため、近くの乳腺外来を専門にする施設に紹介しています。施行後は、1年毎に再検査し、HRTの治療継続は、原則5年未満としています。

HRT以外では、骨粗鬆症で、骨密度が若年成人平均の60~70%、FRAXが15%以上、脆弱性骨折の既往等の女性に対しては、SERMや活性型ビタミンDを選択しています。ビスフォスフォネート、デノスマブ等の骨吸収抑制剤は、長期投与による顎骨壊死や非定型骨折等の副作用があるため、最初の投与はなるべく控えるようにしています。

骨密度が、極端に低い方(若年成人平均の60%未満)には、診療が継続できることに注意しながら、ビスフォスフォネートや、デノスマブを投与します。大腿骨近位部などの皮質骨の異常には、デノスマブが有効と言われています。また、デノスマブは、6ケ月ごとの皮下注の間、活性型ビタミンDを併用しないと、低Caを起こす可能性があるため、治療の継続性に注意しています。腰椎の骨折症例には、テリパラチド(PTH)を使用します。
治療後は、6ヵ月毎に骨密度を測定し、治療効果を評価します。

2014年2月末~12月末までに、女性256名、男性21名を初回測定しました。初回測定の約6か月後、経過観察の再測定が、女性26名、男性2名でした。合わせると、305回を約10ヶ月で測定しました。装置の操作性に関しては、簡便で、特に問題ありませんでした。

 <測定結果について>

グラフ1
ここで、測定した結果を女性256名に絞り、まとめました。まず測定年齢分布は、大半は50歳以上ですが、若干の20~49歳の女性の測定ができました。(グラフ1)

原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年版)によって測定者の分類をしてみると、大腿骨頸部の方が腰椎(L1-L4)よりも、骨量減少、骨粗鬆症のいずれにおいても、人数が多くなりました。(図1)

図1

大腿骨頸部においては20~39歳に骨粗鬆症が発見されました。(グラフ2)
グラフ2

更に年代別の骨粗鬆症と骨量減少の割合を腰椎と大腿骨頸部を対比しますと、大腿骨頸部における骨粗鬆症と骨量減少の割合が高く、大腿骨頸部の20~39歳に骨粗鬆症の割合が25%ほど見られます。(グラフ3)
グラフ3

この結果から腰椎と大腿骨頸部両方での測定の価値を感じると同時に、20~39歳の若い年齢層に骨粗鬆症患者が発見された点は、婦人科での患者測定の特徴と言えそうです。
 
念のため、再測定者数(n-53)を年代別に見ますと、初回(n=256)と同様の分布を示しています。

今回は、ここまでとさせていただきます。次回は2014年11月、日本女性医学学会の一般演題で発表させていただいた内容を御紹介させていただきます。

高齢化が急激な速さで進んでいく本邦では、今後骨粗鬆症の患者も急増すると考えられます。そのような中で、当院はより早期に骨粗鬆症への対策が可能な婦人科領域での取り組みは、重要と考えております。今後とも診療に日々尽力して参ります。ご精読、どうも有難うございました。

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